活動内容
いっぷく会便り 2016年7月号
平成28年7月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 上杉 博美
日時 |
平成28年6月12日(日)
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テーマ |
「 無条件に肯定的に聴くということ 」
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講師 |
KHJ千葉県「なの花会」理事長 SCSカウンセリング研究所カウンセラー 藤江幹子 先生
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会場 |
静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル201607.pdf
6月例会のご報告
6月例会は、6月12日(日) 静岡県男女共同参画センター「あざれあ」で開催しました。
◆準備会 10時~
13名の参加をいただきました。
まず、「いっぷく会便り6月号」「個別相談会案内7月」「7~9月学習会案内」「KHJ旅立ち№81」)を封
筒に入れて、参加者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。
そして、いくつかの報告事項、打ち合わせをして、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごし
ました。
場所も例会場と同じですので、弁当持参ですが、例会に少し早めに出掛ける感じで参加してみて下さい。
親の居場所でもあります。是非とも楽しい時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時50分 参加者28名(当事者1名、初参加3名含む)
◇報告事項;①27年度学習会記録集 1部200円にて頒布しています。ご利用下さい。
②7月の個別相談会、現在2枠の空きがあります。希望者は申し込み下さい。
③ピアサポート研修会、9月下旬頃の開催予定です。2泊3日 富山県・宇奈月です
会員の方で希望者ありましたら是非とも申し込み下さい。旅費は補助されます。
◇連続学習会 13時25分~16時50分
テーマ「 無条件に肯定的に聴くということ 」
講師 KHJ千葉県「なの花会」理事長
SCSカウンセリング研究所カウンセラー 藤江幹子 先生
この「いっぷく会」は、よく継続して学習をしておられますね。
ひきこもりの子から見ると「親という免許取ってから親になれ」という話もあります。
しかし、なかなか勉強するところが無いですね。親も迷いながら「どうしよう、どうしよう・・・」と
やっている。
人間は大体「忘れる生き物」です。繰返し繰返し、諦めずに学習してゆく。「継続は力なり」です。
また、こうして同じ問題を抱えた仲間がいると安定してやってゆけますね。私達は生き物だから型通
りにいかない、だから、子どもは更に不安になるので予定通りにいかないのです。
ここに来ていれば回復の方向には行くが、薄皮をはがすように少しづつしかいかない・・、そんな中
で親は安定を求めながら取組んでゆくのです。それがコツです。
ひきこもりの回復のゴールはなんだろう? それぞれ人により違うでしょうが、社会に出れるというか、
まずは「人とつながっている人になって欲しい」困ったときには「ここに聞こう」という位には。
そのためには、親子関係ができていないと「力」が出ませんね。親としての勉強をしていきましょう。
さて、SCSでは基本として、常に「無条件の肯定的関心」ということを言っております。
これはカウンセリングの基本です。ひきこもっている人が元気になるには、これが一番大切なことと
して取り組んでいます。
無条件の積極的関心
無条件の積極的関心は、変化の兆しが受容され、大切にされ、賞賛される雰囲気を創り出す事です。
『無条件の積極的関心』と名付けました。
来談者が各時点でいかにあろうとも、治療者が肯定的で受容的態度を体験しているほど治療的動
きや変化が生じるというものです。
来談者がその時味わっているものが何であろうと ~困惑、うらみ、恐怖、怒り、勇気、愛、誇
り等 何であっても~、治療者はそれを喜んで受け入れるのです。
治療者が体験するものは所有欲を脱した態度であります。治療者は来談者に条件を押しつけるこ
となく全存在を評価するのです。
カール・ロジャース/畠瀬直子監訳 「人間尊重の心理学」創元社
(ここでは 来談者 = 子ども、治療者 = 親 と読んでいただければ良いですね。)
これが何で必要と思うか? 2~3人で話し合い発表した。
ひきこもりの子は、どんな気持ちでひきこもっているのだろう?
会話ができるといいのだが、会話がないと分からないですね。
一般的には、多くの人が「人間不信」(親を信じられない人は、他人などとても無理です)そして
「不安」(対人不安、対人緊張、対人恐怖、社会不安など)「自己否定感」がいっぱいあります。
こういう人達が元気になるには「自己肯定感」が出るということです。丸ごと受けとめるしかないです。
心が弱っている時には、「白」か「黒」か。ちょっとしたことで変わってしまう。中間が無いですね。
これだと生き難いです。「自己肯定感」ができてくると、中間もある。「まあいいか」というような。
自然の摂理として、土があって種を蒔いて、水をやって、太陽の光を浴びれば、芽が出てくる。
無条件の肯定的関心には、そういう力をもっているのです。でも暴言、暴力、犯罪など難しい場面も
ある。それでも、心から肯定できないと駄目なのですね。
例えば、次のようにコミュニケーションが段階的に進んでいきます。
無言 ⇒ 挨拶する ⇒ 日常のことを話す ⇒ 趣味のことを話す ⇒ 気持ちを言う(怒り・
批判など)⇒ 親を批判する ⇒ 暴言・暴力(事件にもなったり)これをすべて受け入れるのです。
例え殺人を犯してもです。親だけは「この子にはきっと何か訳があったのだろう・・」必ず更生します。
「どんな枠をもっているか」自分の枠を知らないと、人と話をする(子どもであっても、他人であっ
ても)自分の色とか、考え、それを通して人の話を聞いてゆくので、分かっていないと透明に聞けな
いです。自分がどんな枠をもっているのか知ることが大切です。人間は、自分が生きてきた、育って
きたものが自分の「常識」となっている、それしか知らない。世間の常識 = 自分の考え その枠
を少しでも広げてみれば子どもの言うことも理解ができることがあります。「常識」という枠にとら
われず、広げてみると、変わってきます。
「無条件であることの意味」このように枠にとらわれず、無条件ですべてを受け入れること、そして
「肯定的なことが力になる」肯定には、今まで話してきたようにとても大きな力をもっています。
「否定は存在に関わる」ひきこもりの人は、自分は生きていて良いのですか? 自分は生きている価
値があるのですか? ここに居ていいんだろうか? 生まれてきていいんだろうか?
言葉に出しても、出さなくても そんなことを感じています。生きていることへの罪悪感、それを取
ってあげる。そのためには無条件に受けとめることがよいのです。
ある事例;お金を毎日のように多額に使った人。(親は家を処分して工面したり、サラ金からも借り
たり)本人は本人なりに必死なのです。本人は確認のための行動だったのです。何の確認? 愛情の
確認です。自分は本当に生きていて良かったのか? 親は本当に自分のことを大事に思ってくれてい
るのか? だから大体気が済むまでやるとやめます。徹底的に対応すると止まるのです。逆にケチる
とずっと続いたりします。大変判断の難しいところですね。でも基本的には「気の済むまでさせる」
ということでしょう。
親はどうしたら力がつきますか? 一番は「子どもが親を困らせる」ことです。それが親孝行なのです。
子どもが親を困らせてくれるのは、何か理由があるはずです。「甘えることが出来なかった」「我慢ば
かりだった」など。親の気がつかない処で生じていたりします。
「聴くということ」(ワーク)
3人一組で体験してみましょう。役割は A = 話す人 B = 聴く人 C = 観察する人
「肯定された場合。」「否定された場合。」「批判された場合」などを交代しながら体験した。
それぞれの感想を話し合った。聴いてくれる、受けとめてくれるととても元気になることを体験した。
また、相手のリズム、トーン、ペース、雰囲気に合わす。子どもの声を聴けますか・・・ですね。
親自身もストレス溜まりますから、外で吐き出してから家に帰る。
このような例会が、そんな場所となるといいですね。
こんな学習会をさせていただきました。ありがとうございました。
◇最後にいくつかの質問に答えていただきました。このためグループでの話し合いは時間がなく、
今回は中止としました。
8月例会のお知らせ
日時 : 平成28年 8月 7日(日) 13:15 ~ 17:00
会場 : 静岡市番町市民活動センター 2階 大会議室
< 連続学習会テーマ >
『 抑うつ・強迫神経症の苦しさ 』
(講師)NPO法人 KHJ千葉県「なの花会」理事長
一般社団法人 SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 藤江 幹子 先生
※当初桝田宏子先生の予定でしたが、都合により急遽藤江幹子先生
に変更となりましたが、テーマは変更ありません。ご了承下さい。
参加費:今年度は、赤い羽根共同募金から助成金を戴きましたので、
お一人ワンコイン! 500円とさせていただきます。
(初めて参加される方は体験日として無料で参加できます。)
(当事者の方は、いつでも自由に、無料で参加できます。)
尚、当日10:00より例会準備会を同場所で行っています。会報の郵送作業や家族
同士の歓談などを行っています。家族、当事者の方などどなたでも参加できます。
例会時とはひと味ちがった雰囲気で、気楽なお話も出来ますよ。また、居場所として
活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
「個別相談会」のお知らせ
日時:平成28年 7月23日(土)、24日(日)
場所:静岡市番町市民活動センター 2階 会議室
☆23日(土)9:30~16:30 小会議室
☆24日(日)9:30~17:30 大会議室
(カウンセラー) 「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
「ひきこもりスクール」についてのお知らせ
元当事者で、いっぷく会にも長く参加して運営にもご協力を頂きました「冨山雅広君」が
自主的に「ひきこもりスクール」を開設してくれることになりました。
ここに冨山さんの考えている居場所の構想をご紹介します。
ひきこもりスクールは、学校形式の「子どもの居場所」です。
授業形式の居場所で、集団行動は禁止です。教室で音楽を聞いたり、DVDを見たりします。
音楽療法や作業療法もあります。話さなくても通じ合える感じで、時間を共有しようというものです。
当面は、いっぷく会の例会日(第2日曜日)の午後に、同じ会場で開催できればと考えています。ひきこ
もりの人達の評価が得られれば、週1回のペースでと考えています。
1回は2時間位です。初めは親子同伴で来て頂ければと考えています。当分は無料です。
軌道に乗れば、会場費もかかりますので、1回500円程度のご負担をお願いするかもしれません。質問・
申込は、冨山の携帯 080-2612-3429に電話して下さい。
「参加者がなくても継続してやってゆきたいと考えていますので、何時でもお電話下さい」
とのことですので、是非ともご利用下さい。
会長コラム
毎日々厳しい暑さが続き、熱中症にならないようにして下さい。母親が、ICUで手術をしましたが、
孤立した所に(10時間以上の)長い時間いると、普通の脳ではなくなり、訳分からないことを言いだし
ました。閉鎖された所に居ると、心に非常にダメージを受けるみたいです。子供には、毎日々声を掛け
て孤独にしないようにすることが必要だと思いました。子供が部屋から出ないからといっても、親の声
が子供の救いになるものだと思っています。
7月の例会の日は、町内の消毒の日ですので、今年は班長なので、休ませてもらうかもしれませんが、
暑い毎日ですので身体に気をつけて下さい。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。
その後よろしければいつでも入会手続きができます。
年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。