活動内容
いっぷく会便り 2020年7月号
令和2年7月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2020年6月14日(日)
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テーマ
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「ひきこもり実態調査から見えるもの」~行政の立場から~
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講師
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静岡県精神保健福祉センター 所長 内田 勝久氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル202007.pdf
令和2年度総会の報告
総会資料(前年度活動報告・決算報告、本年度活動計画・予算書)は4月の配布物に同封してお送りしてありますが、4月、5月の例会が新型コロナウイルス問題から中止となりましたので、6月の例会の中で開催しました。しかし、本年度の活動計画もこのウイルス問題により、4、5月の例会を中止し、7、8月の例会も変更せざるを得なくなっております。
また、その先についても計画通り実施できるかどうか分かりませんので、その状況を見ながら検討し、実行させて頂くということで、詳細の説明は省略して承認して頂きました。
何卒よろしくお願い申し上げます。
6月例会のご報告
6月例会は、6月14日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」501会議室で開催しました。
◇準備会 10時~
16名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り6月号」「新型コロナウイルス感染拡大防止でのお願い文書」「7月個別相談会案内」「7月~9月学習会案内チラシ」などを入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。
そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時 参加者25家族28名参加(内初参加1名を含む)
◇令和2年度総会(上記記載の通り)
◇連続学習会
「ひきこもり実態調査から見えるもの」~行政の立場から~
講師 静岡県精神保健福祉センター 所長 内田 勝久氏
内田所長は、「静岡県ひきこもり支援センター」を統括する立場でもあり、精神科医として広く「こころの問題」に携わっておられます。静岡県では昨年度、初めてひきこもりの状況調査を実施しましたので、その結果を中心にお話いただきました。
1、最近の国の調査結果(いずれも標本調査による推定です)
①15歳~39歳までの者(若者)
内閣府 平成27年度 若者の生活に関する調査 (全国5000人対象にした調査)
ひきこもり出現率 1.57% 人口に照らして全国の推計数 54.1万人
②40歳~64歳までの者
内閣府 平成30年度 生活状況に関する調査 (全国5000人対象にした調査)
ひきこもり出現率 1.45% 人口に照らして全国の推計数 61.3万人
この二つの調査から全国のひきこもり推定人数(15歳~64歳で) 115万人余とされています。
2、静岡県における推定人数
上記の出現率を静岡県の人口で照らして見ると
15歳~39歳までが 14000人
40歳~64歳までが 18000人 合わせて32000人と推定されます。
3、静岡県における状況調査
これらの全国調査結果を受けて、静岡県と県内市町の共同により、民生委員などの協力のもとで「ひきこもり等に関する状況調査」を、令和元年度に次の通り実施した。
・調査対象 県内の民生委員・児童委員 6257人
主任児童委員 566 人 合計6823名に調査票を配布した。
・調査基準日 令和元年9月1日(12月末までに調査票回収)
・調査票回収数 6146人 回収率90%(とても高いです)
・ひきこもり把握状況 1525人 把握している人の率 約25%
・結果(民生委員・児童委員が把握しているひきこもり状態にある人数・個票の提出)2134人
・この調査で明らかになったのは、あくまでも民生委員等が把握している(わかっている)ひきこもり状態にある人の状況で、本人や家族に聞いて歩いたというものではありません。
よって「実態」を表しているものではありません。
4、結果から見えるもの(分かっている人の、分かっている状況から)
・男女比率 男3:女1 (全国調査とほぼ同じ状況だそうです)
・当事者のひきこもり期間 分からない、無回答を除くと10年以上が約50%
・当事者の年代 40代が一番多く、続いて50代、30代でした
・ひきこもり状態に至った経緯 就職後の失業・退職、本人の病気が多かった
・同居家族の構成 「母親」65% 「父親」45% 「同居家族無し」16%
・現在受けている支援 分からない、受けていないが多い などでした。
5、考察(一部抜粋)
これらの状況調査の報告について、静岡大学学術院人文社会科学領域 江口昌克教授、同じく荻野達史教授は次の通り考察している。
・「本調査結果と内閣府の調査結果、とくにその件数を比較するとき、今まさにひきこもりで困っている方の多くが、誰にもその状況を知られることなく、また、相談する方法を知らないままに毎日を暮らしているであろうことが推察される。これが「実数」「実態」把握としては一定の限界をもつものの、この度の調査結果で最も確実で重視されるべき点であると考える。」
・「今回の調査を通し、既に民生委員等は1192人について、早急に、又は今後支援が必要になる可能性があると危惧していることが明らかになった。」
・「ひきこもり問題で困り孤立している家族に対して、いかにひきこもり支援を提供するのか、より具体的に行政機関として考えなければならず、同時に、今回の調査で知られることとなった既にひきこもりで困っている方に対しては、早急に支援の手を差し伸べる必要があると思われる。」
6、民生委員・児童委員が把握や支援について感じていること
・各家庭の家族構成を全て把握していない為、ひきこもり状態の人物を特定する事は困難。
・家族にSOSの発信をしてもらわない限り把握するのは難しい。
・まず家族などまわりの人達への支援が必要に思う。本人だけでなく家族にも、正しい理解が得られるようになって欲しいと思う。
・本人が満足し幸せである状態、どのように生きたいかを聞き出すことが、まず重要かと思う。時間をかけて接する必要があると思う。
・「ひきこもりに関する支援窓口等の周知・PR」「家庭以外の居場所の支援」が対応方法として重要と思われる。
・ひきこもりに関する知識が乏しく相談にのるのに躊躇する。
・地域住民の理解が必要。
また、要望として
・中学、高校との情報交換会をもって、相談窓口を充実させてほしい。
・本人を連れて行くことは難しいというより実際には不可能。行政機関からの電話や家庭訪問を望む。
・行政ばかりでなく、民間の組織の拡充を望む。 などがあったそうです。
7、質疑応答を通じて出された要望
・ようやく話し合える関係になった頃に人事異動で相談員が代わってしまうと、また一から人間関係を作り上げないといけないことが繰り返される。同じ人が長く継続して欲しい。
・身近な所でも相談できるように、スキルをもった人を多く養成して頂きたい。(市町に)
・当事者の回復、親の対応、居場所、就労支援、経済問題、孤立化など実にたくさんの問題があります。これらを一元的に相談できる体制をお願いしたい。各種支援体制の充実を合わせて。
・いっぷく会のような活動をしている民間の団体に対して、財政的な支援をお願いしたい。
・ひきこもり問題はSOSを発信し難い面があります。民生委員さんには気配りもお願いしたい。
以上のようなお話を頂きました。この調査結果から、より一層支援体制の充実をお願いします。(事務局)
8月例会のお知らせ
日時 :令和2年8月9日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」 5F 501会議室
<連続学習会テーマ>
『 今からの脱却 』
講師:NPO法人 てくてく 理事長 山本 洋見氏
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。是非ご参加下さい。
◆新型コロナウイルス感染症の今後の状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
受付当番 : □富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 ■静岡市葵区 □藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
静岡県のひきこもり支援について
1、静岡県ひきこもり支援センター
422-8031 静岡市駿河区有明町2-20 静岡県精神保健福祉センター内
相談専用電話 054-286-9219 (月曜日~金曜日 10~12時、13~15時 祝日・年末年始を除く)
相談の流れ まずはお電話を。現在の本人の様子などを聞いて、その人に合った支援を。
来所相談、居場所、家族教室、訪問・同行支援などもあります。
(その他、県内7ヵ所にある健康福祉センターでも相談できます)
尚、静岡市、浜松市の在住者は、それぞれにある「ひきこもり地域支援センター」利用になります。
2、居場所
ひきこもりに悩む本人が、家以外で安心して過ごすことのできる場です。家の外に意識が向いてきた方に、次のステップに進む前のワンクッションとして利用できます。県内5ヵ所にあり。
利用は事前に;電話問合せ(054-286-9219)⇒ 来所相談 ⇒居場所見学 ⇒利用申込み
(但し、祝日、年末年始は除く)
◇賀茂「めばえ」(運営;NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡)
毎週 水曜日 13時~17時
場所 下田市四丁目6-16 中央公民館
◇東部「とっこ」(運営;NPO法人臨床心理オフィスBeサポート)
毎週 金曜日 12時45分~16時45分
場所 伊豆市小立野66-1 生きいきプラザ
◇東部「いっぷく」(運営;社会福祉法人共生会)
毎週 火曜日、木曜日 10時~15時30分
場所 富士市江尾150-1 マックスバリュー冨士江尾店 テナント「いっぷく」
◇中部「みなと」(運営;NPO法人サンフォレスト)
毎週 土曜日 13時~17時
場所 焼津市大覚寺3丁目2番地の2(焼津市総合福祉会館内)
◇西部「ひとむれ」(運営;社会福祉法人デンマーク牧場福祉会)
毎週 月曜日 13時~17時
場所 袋井市山崎5902-185 こひつじ診療所内
3、各市町の相談窓口一覧
県内の各市町に「ひきこもり相談窓口」があります。3月31日現在別紙の通りです。
《会長コラム》
例年この時期東京にて開催されるKHJ総会及び支部長会議が、新型コロナの影響で6月28日ZOOMを使ったネット開催となりました。 この分野不得手な私は、とても無理だと半ば諦めていましたが、番町市民活動Cのスタッフが接続してくれて滑り込みセーフの参加となりました。まさかの感動の初体験です。総会は24支部、支部長会議は27支部の顔が揃いました。 詳細は後日としまして、コロナが押し進めた変革の一例であります。事務局のPCではスカイプも可能ですから、皆さんもどうぞお試し下さい。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp