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活動内容

いっぷく会便り 2021年12月号

令和3年12月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男

日時
2021年11月14日(日)
テーマ
「無条件に・・・肯定的に・・・そのことに疲れたなら・・・」
講師
人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
会場
静岡市番町市民活動センター大会議室


PDFファイル202112.pdfLinkIcon

11月例会のご報告

11月例会は、11月14日(日)静岡市番町市民活動センター大会議室で開催しました。

◇準備会 10時~

16名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り11月号」「12月会員交流会案内」などを入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。
そして、いくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。

◆例会 13時15分~16時30分 参加者30家族36名(別にオンライン参加3名)

◇連続学習会
テーマ「 無条件に・・・肯定的に・・・そのことに疲れたなら・・・」
講師:人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏

1.「無条件の肯定的関心」とは

カウンセリング用語で、Unconditional positive regardを日本語に訳したものです。相手の状態によらないで、肯定的に、みなしましょうと言うことです。我が子に対しては、子どもがどんな状況であっても子どもに条件を付けることなく肯定的に受け入れることです。
子どもは反抗期を経験して成長していきます。第一反抗期では、何でもかんでも自分でやろうとします。
第二反抗期では、家族に対して反発することで社会に出て相手と対等に渡り合える訓練をします。共に大事な時期です。そして、近年では大人の理屈で自分の正しさを通そうとする中間反抗期もあります。

親は我が子に対して成長とともに色んな条件を付けがちですが、我が子が乳幼児の時に、無条件に肯定的に理解する感覚を経験しています。それは、喋ることが出来ない我が子に対して、条件を付けること無く、想像力を働かせることで、関心を寄せ、理解し、尊重し、育ててきたのです。感覚的には分かっていることです。

無条件の肯定的関心で子どもに接していると、子どもに変化が出てきます。最初は警戒しますが、段々と安心感へと繋がっていき、変化が著しくなる急性期、そして緩やかになったりする慢性期が来ます。この慢性期を悲観しないでください。慢性期は、子どもには安心感が継続されていることなのですが、親は行き詰まりを感じて焦ってしまいつい急ぎたくなるものです。そして、子どもの要求がエスカレートすることもあり、親は対応に疲れることも多々起こります。

無条件の肯定的関心は、基本的には大変重要なことですが、これを正論と捉えてしまうと、子どもへの対応でストレスが溜まる一方で継続は困難になります。正論ではなく、「丸ごと」受け入れる感覚でいいのです。条件は付けずに、そして子どもを引き算ではなく足し算で見るようにしてください。子どもは、絶対的安心感が欲しいものです。

大きく捉えると「無条件の肯定的関心」とは、
①感覚的には難しいことです
②やってはみるけど何となく掴みどころが無く疲れてくるものです

2.コミュニケーションを阻むもの

カウンセリングのメリット、デメリットを出し合いました。
メリットは、気持ちが楽になる、気づきが得られる、専門知識を得られる、状況の整理が出来るなど、デメリットは、期待外れがある、答えを急ぎ過ぎてしまうなどが出ました。

カウンセリングを受ける場合は、そのメリット、デメリットを十分理解してから取り組んでください。
カウンセリングは、クライアントが何を期待して来ているのかを正確に受け止め、判断し、方向付けを行うもので、最大のメリットは、気づきが得られることです。その気づきによって視界が大きく開ける場合もあります。しかしながら、大きなデメリットがあります。それは、気づきを得るには苦しみを伴うことです。そして、苦しくなっても後戻りできないことです。まさにパンドラの箱で一度開けてしまうと閉じることが極めて困難であり更に苦しむことになるのです。また、自分の内面に向き合うことも必要となり、そのコツも養っておかなければなりませんが、気づきのメリットは人の生き方を変える力を持っています。

人間は、考え方、行動に矛盾を生じるものです。例えば、「怒ってねえよー」と言って、怒っているのです。そして、曖昧な動物です。自分の発した言葉の正確性、相手の受取り方など様々です。また、思い込みもあります。これらは、コミュニケーションの妨げとなるものであり十分気を付けてください。

子どもの状態、状況によって、具体的な対応方法を変えていく必要性が生じてきます。カウンセリングでは色々な情報提供も行っていますので、その都度状態、状況に応じた資源の有効活用をしてください。

親の無条件肯定によって、子どもは家庭から社会へと繋がろうとしますが、そこに新たな不安と恐怖が生まれます。
この段階をどうやって克服するかが大きな課題となってきますが、親の無条件肯定から得られる安心がベースであることを決して忘れないでください。

3.勘を磨いて、打てば響く親になる

良かれと思ってやってきたことが、結果として裏目に出ることがあります。あるご家庭でのことですが、子どもさんから大昔のことを持ち出され、子どものためにとの思いでやってきたことが、子どもには真逆で伝わっていたのです。大衝撃を受けるとともに気持ちの糸が切れてしまいました。良くやっているがゆえに、子どもへの対応で行き詰まることは必ずあります。その場合は、一旦撤退が必要となりますが、その一旦撤退を子どもが許してくれるかどうかは別の話です。だから“しんどい”ですが、親が次のステップへ進むためにエネルギーを蓄える貴重な時間だと捉えてください。弱々しい親(調子が悪い、何かダメだなあなどと言っている親)を見て、子どもはどう思うか。気持ちの優しい子は、遠慮して気遣うためにデメリットとなります。親は、どっしりと構えて居て欲しいのです。そのためには気持ちの余裕がとても大事です。

子どもの発言では、親を気遣う言葉と、そうではない時の言葉は、必ず反転して出てくる場合があります。例えば、「俺に本音を言ってくれよ」と言われて、本音を言うと、「だれがそんなこと言った、もう少し気を使えよ」となる。
お前が本音を言えと言ったじゃないかと言うと、「そういう意味じゃねえよ」となる。これは意訳をしなくてはいけない言葉なのです。

現代の資本主義、評価主義では、学歴、地位、経済力などが条件となり、それが人間性とイコールと見なされがちですが、全く異なるものです。『無条件の肯定的関心』のように、人間性には『条件』は関係ありません。そして、無条件に子どもの対応が出来ない自分はダメな人間ではないのです。

・『月下独酌』(中国の詩人、李白の漢詩)の紹介あり
・ムーミン「リトルミイ」の名言の紹介あり
逆よ、全く逆よ。自分と向き合うにはひとりになるんじゃないわ。いろんな人と関わりあうのよ。
お友達とおままごとしろって言っているんじゃないの。自分の知らない、自分を知らない人たちと関わりあうのよ。見えてくるわよ、本当の自分が。

怒ること、苦しいこと、悲しむこと、これらのマイナス感情は、必ず出てくるもので、感じなくてはならないものです。そして出し方を考えないといけないことです。

◆質疑応答から
・親が対応に行き詰まり体力も気力も限界にきた場合は、抱え過ぎないで外部に助けを求めてください。
・プライドが高いが故に動けない子どもに対しては、そのプライドが社会的にどう見られているのかなどのような不要なプライドの場合があります。そのプライドがあったからこそ生きて来られたのですが、自分らしく生きるためには必要ありません。そのプライドがどのように形成されてきたかをも含めて時間を掛けてゆっくりと捨てられる様に働きかけてください。
・何を言っても理屈を付けて反発される時期があります。これは、不安な自分を守りたいからです。ちゃんとした答えを準備しなくてもいいですよ。
・「本音を言ってくれ」に対して、「そうね、そうだねえ」より少し前進した答え方の例として、「かつて、こう考えていたこともあるんだよ」があります。
・普段から子どもに対しての答え方を準備しておくことが大事なことです。
・子どもから肯定的な言葉が出るのは稀なことです。しっかりと受け止めておいてください。聞き洩らして子どもに確認したい場合には、下記のことを想定した上で、タイミングを見計らって聞いて下さい。
1.すんなりと教えてくれる、2.教えてくれない、3.そんなこと言ったっけ、4.誰が教えるか、
5.今さら何のつもりなのか、6.その他
・子どもから「抱っこしてもらったことないよね」と言われたら、「どうしてそんなこと聞いたの?勿論あるよ」と答えて下さい。子どもは、不安であり安心したいのです。

このように学習をさせて頂きました。ありがとうございました。

1月例会のお知らせ

日時 :令和4年1月9日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」4F 第1研修室
連続学習会テーマ: 『 ひきこもりのプロセス ~点ではなく線で見る~ 』
講師:ヒューマン・スタジオ 代表 丸山 康彦氏

尚、当日は10時より同場所で準備会を行っています。配布物の準備やら、話し合いを行ったりしていますので是非お出かけください。例会時とは一味違った雰囲気で、気軽な話もできます。
皆さんの参加をお待ちしています。

◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
◆会員の方にはオンラインでの参加ができるように準備していますので申し込み下さい。

受付担当: □富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 ■藤枝・焼津以西

第15回KHJ全国大会が開催されました

11月27日~28日に、オンライン方式で開催されました。
今回のテーマは「ポストコロナ 新しい社会を創る」 ~すべての人が生きやすい社会をめざして~
このテーマにより、調査報告、基調講演、行政の説明が行われ、様々な立場の人が参加してのシンポジウム。
更に「テーマ別分科会交流会」が行われました。
(詳しくはKHJ本部のホームページでご覧下さい)

最後に、次のような「大会宣言」が発表されました。
1,ひきこもりであろうがなかろうが、誰もが同じように生きていくことを保障される権利がある。
2,【行政に対して】各市町村に格差のない断らない支援窓口、居場所づくりの整備を求める。
3,【私達ひとりひとりに対して】誰もが孤立せずに、迷惑をかけ合いながら、お互いさまで暮らせ
る地域社会の実現をめざす。
4,ひきこもり基本法の立法を求める。
以上のことを、産・官・民・学が協働連携して、実現させていくことを宣言する。

情報コーナー

各種講演会 (事前に問い合わせ又は申込み下さい)

KHJ本部主催
「ひきこもりの理解促進と支援力向上のための研修会」~基礎編(オンライン開催)~
12月コース 2021年12月19日(日)
1月コース 2022年 1月10日(月・祝日)いずれも9;20~16;10 定員200名
(プログラムは本部ホームページ参照下さい。http:/www.khj-h.com)
参加費10,000円 申込締切 12月13日(月)メールで lecture@khj-h.com

お知らせコーナー

役員会の開催予定です

1月15日(土)午後2時~4時 役員会を開催します。場所は番町市民活動センターです
来年度の活動計画、予算の検討をいたしますので、役員の方は出席して下さい。

特別学習会の開催予定です

2月19日(土)午後1時30分~4時30分 場所は「あざれあ」5F 第3会議室です
テーマ:「8050問題を考える」~事例紹介による「今」と「これから」をよりよく過ごしていくために…~
講 師:一般社団法人 OSDよりそいネットワーク 代表理事 馬場佳子氏
長期、高齢化による様々な問題が生じてきて、不安に思っていることもあります。
どんな問題が起きるのか、どのように対応したらよいのか・・などを学ぶ機会に。

「出張面接相談」について(丸山康彦氏による)

1月の例会は講師をヒューマン・スタジオ 代表の丸山康彦さんにお願いしています。
丸山さんは、ご自身が不登校・ひきこもりの元当事者で、20年にわたり「体験的不登校・ひきこもり論」を理念として当事者と家族への相談援助を実践しておられます。
静岡に出かける機会に、1月8日夕方から9日の午前中に「面接相談」の時間が取れるとのことです。
ご希望の方はいっぷく会事務局「090-6081-0766」に問い合わせ下さい。
また丸山さんのホームページ https://husta.is-mine.net 電話 0466-50-2345です。

お勧め書籍です

“親も子も楽になる“
「ひきこもり“心の距離”を縮めるコミュニケーションの方法」
著者 山根俊恵氏 山口大学大学院教授。NPO法人ふらっとコミニュティ代表
出版社 中央法規出版 定価 2000円(税別)
推薦 ジャーナリスト、KHJ本部理事 池上正樹氏推薦

あんなこと・こんなこと

[皆さまからの投稿をお待ちしています]

・カウンセリングのことですが、自分の場合はカウンセリングの先生と安心して話せるという信頼関係になるには時間を要しました。親も途中であきらめずに時間をかけて受けることが大事だということを学びました。
自分の心を安定させ安らぐ時間となれば子どもにも良い影響があると感じました。

・親に対して、こういう見方、考え方もあるというアドバイスをもらいたいと言われても、結局、本人の思うような答えでないと色々と理屈をつけて話がとても大変になる。
「そうだね~」「大変だよね~」とか言っていると「いいね あなた達は、そう言っていればいいんだから」となる。その答え方も、その場その場で変わってくると思うが一苦労です。

・ひきこもりの子どもの世話に、体力も気力も衰えてきました。子どもは何も進展がありません。
今までは、自分がやらなければ誰もあてにならないと思いやってきましたが、私自身が動ける内に子どもが一歩でも家の外に出られればいいな~。と思うこの頃です。

・いっぷく会に入って、親も一時でも楽になろう・・・と言われ、親の気持ちも楽になっています。


いっぷく会は、会員制で会員の会費で運営されています。会員以外の方もご参加されることは大いに歓迎していますが、その場合は参加費を一回1500円負担して頂いています。ただし初回は体験として無料で参加いただけます。そして年会費6000円(年度途中での加入は月割額)で、加入していただければその後の参加費は無料です。詳しくは事務局まで問い合わせ下さい。

事務局 電話 090-6081-0766 E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
電話番号が変わりました。また、ファックスは利用できませんのでご了承ください。

本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。

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