活動内容
いっぷく会便り 2021年3月号
令和3年3月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
PDFファイル202103.pdf
2月例会のご報告(学習会は中止)
2月例会は、2月14日(日)に予定しましたが、誠に残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑みて、1月に続いて中止とさせて頂きました。
ただ10時からの準備会は、静岡市番町市民活動センターにおいて、13名の方の参加を頂き「いっぷく会便り2月号」「公開講演会チラシ」「3月分個別相談会案内」「新年度グループカウンセリング案内」を会員、関係機関に郵送作業をいたしました。そして、連絡事項や新年度の活動などについて話し合いをさせて頂きました。参加者にはお忙しい中を誠にありがとうございました。
◆学習会にかえて
桝田智彦著「中高年がひきこもる理由」~臨床から生まれた回復へのプロセス~ より(青春出版社2019年12月刊)
(著者は、「SCSカウンセリング研究所副代表」「臨床心理士」で 2月の講師に予定した先生です)
この中から第5章「中高年ひきこもり」回復へのプロセス の一部を紹介させていただきます。
(尚、記述は当いっぷく会編集担当の責任で書籍よりポイントを書かせていただきましたものですので、詳しく、正確には書籍をご覧下さい。書籍はいっぷく会でも斡旋をしております。)
まず取り組みの基本は、SCSが提唱している「親育ち、親子本能療法」によるものです。
◇親が取り組み、子どもの心に「希望の灯」をともす
「親育ち・親子本能療法」の特徴は、取組みの主体がひきこもっている当人ではなく、親である点です。
この療法では、親がこれまで良しとしてきた、自らの物の考え方や価値観を問い直し、わが子への接し方や態度を、そして、親子関係がどうあるべきかを学んでいきます。
親の「育ち(成長)」を支援することによって、子どものひきこもりからの回復をめざすわけです。
ひきこもりの多くの方々が親との関係性が変わるだけで復活していきます。それも自分の人生をイキイキと取り戻し、ひとまわり逞しくなって回復していくのです。そして就労・就学が最終目的ではなく、ひきこもっているわが子を親が支え続けることによって「自己実現の道に導く」ものです。
◇アイデンティティ獲得までの5つのプロセスとは
親は具体的にどのような役割を担うのか?
子どもがアイデンティティを獲得するまでの5つのプロセス。
①「希望のプロセス」家庭内に安心・安全な風土を根づかせる。生きていていいという希望の灯を。
②「意思のプロセス」恨み・つらみ・罵詈雑言など陰陽混合する思いの聞き役に徹する。
子どもは「吐き出し」によって心の浄化を得られ、「自分自身と自分の意思に価値があると思える」ようになります。
③「目的のプロセス」子どもが「これをやってみたい」という欲求が芽生え大きく育ってゆく時期でその気持ちを経済・心理の両面で支えて「自己決定能力」を培います。
④「有能性のプロセス」子どもの社会参加が始まる時期。有能性と劣等性の間で、揺れ動く子どもの弱音や愚痴、未来への展望を聴き「有能性」をもって生きられるように支える。
⑤「アイデンティティのプロセス」自分が自分でいい。社会からもそう思われているという確信。
社会的位置づけを模索する子を遠くから見守りながら、求めてきたすべてのサポートをする。
◇中高年ひきこもりも、青年期のひきこもりも回復法は変わらない
10代でも、中高年でもひきこもりの人達が親との関係で抱えている問題は本質的に同じなのです。
年齢に関係なく親との間で信頼関係を修復して、アイデンティティのプロセスに入らない限り回復は期待できないわけです。子どもは自分の親にさえ理解してもらえないことに絶望感と孤立感を深めます。
わが子がコケた時に、子どもが何歳であれ親が何歳であれ親の出番なのです。
◇正論は絶対に言わない!
5つの全プロセスを通じて親に心がけて頂きたいことは「安心・安全な環境を提供し続ける」ことです。
ポイントの3つは「決して正論は言わない」「決して叱咤激励をしない」「無条件肯定に徹する」です。
「働かざる者喰うべからず」「〇○はダメ」「○○でないといけない」などと言われた方は反論のしようがありません。追い詰められて、逃げ場を失います。「正論は百害あって一利なし」と言われます。
◇叱咤激励しない
「がんばれ」と言う言葉に励まされ発奮できるのは心身ともに健康な人です。ひきこもりの人達は傷つき心身ともにボロボロになっているわけですので、ムチで打たれるような痛みとしか感じられません。
◇無条件肯定とは
正式には「無条件の肯定的関心」です。「口をきかなくても、手伝いをしなくても、働かなくても、ひきこもっていても、あなたが生きていてくれるだけでいい」何の条件もつけずに肯定していくものです。
その気持ちだけでも、雰囲気で部屋にとじこもっている子どもに必ず伝わります。
そして魔法の言葉「そう」を使うことを意識してください。自分の価値観と相いれないなと思っても「そう」「そうなのか」「そう思っているんだ」と一度必ず受け取り、共感的に受け入れて聴いていきます。何を言っても反論されたり、怒られたりすることなく共感的に受け入れてもらえること自体が安心・安全な環境そのものです。
◇安心、安全の環境を根づかせるには6カ月はかかる
このような風土を根づかせるのには、一朝一夕にはなるものではなく、子どもが親の変化を本物とみなして、安心・安全を実感できるのは多くの場合6か月はかかると言えます。
続けること、その我慢が大事なところです。
◇親の精神的な健康保持のために、家族会に参加する。
これらの取り組みには、親の精神的負担も多くなります。親自身も支援を受ける必要がありましょう。
親も、誰にも相談できずに孤立していき、追い詰められていくこともあります。
そのためには「家族会」や「親の勉強会」に参加して頂きたいのです。同じ境遇の人達と話をすることで孤独が癒されたり、同じ悩みを抱える人がいるということを身をもって知るだけでも気持ちが軽くなります。安心感にもつながります。精神的な健康のためにも家族会の参加は欠かせません。
その中で色々な情報も得られます。
◇夫婦喧嘩をやめることから始める
更に、安心・安全な環境を風土として根づかせるには、親同士の関係、つまり夫婦仲が良いことはとても重要な要素です。夫婦がいがみ合っているような環境では安心・安全な環境とは言えません。
自分のせいで親たちが喧嘩していると思ってしまいます。
◇きょうだいとの関係性
同居しているきょうだいは、難しい存在かも知れません。どうか理解をして頂き安心・安全な環境づくりに協力してほしいものです。親戚や隣近所の人達との接し方も悩むところでしょうが、事実を隠そうとすることなく自然体で堂々と構えていることです。
◇毎月のお小遣いも安心・安全の風土づくりに欠かせない
経済上の安心・安全な環境を整えることも必要です。つまり小遣いをあげるということです。
お金がないと何もできません。お金を渡さないということは「いつまでもひきこもっていなさい」と言っていることと同じです。お小遣いは年単位ではなく、月単位で渡すことがおすすめです。
月1回のお小遣いをもらうたびに、大事にされ、愛されているという愛情確認ができるのです。
そして、お小遣いの使い道については一切干渉しないことです。
◇家庭内暴力にどう対処すべき?
ひきこもりが引き起こす深刻な問題の1つです。しかし、親が正論や叱咤激励をやめると家庭内暴力の多くはおさまるということです。家庭内暴力は自分の愛情が愛する親に伝わっていないということの悲鳴と言えます。衝動的に出てしまったときには「暴力だけはやめてくれ。当たり所が悪いと死んでしまう。そうしたら、大事なお前を支えられなくなってしまう、それが一番悲しいのだ」と。これでもやめ
られなかったら、警察を呼びます。暴力は絶対許さないという強い態度を示すためにも重要です。
◇ひきこもり当事者たちの集まりがある
中高年のひきこもりの方、決してあきらめないでほしいのです。とにかく外とつながって、現在の孤立した状態から抜け出すことが先決です。
ひきこもりの当事者が同じ悩みを抱えている人達に向けて「居場所」をつくったり、ミーティングの場を設けるなどの活動をしています。機会があれば参加することも良いことです。
◇40代、50代でも遅すぎることはない!
中高年のひきこもりから脱出した方が目指すのは、仕事を得て経済的に自立することでしょう。
厳しい面もありますが、理解のある会社も増えてきています。また、経済的支援がある方は、資格をとることも遅すぎることではありません。
就職氷河期に卒業した方に向けての支援も行政が取り組みはじめています。
あきらめることなく取り組んでいきましょう。でも真面目な方が多いですから頑張りすぎないように。
4月例会のお知らせ
日時 :令和3年4月11日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
- 令和3年度総会 13:15~14:00
- 連続学習会 14:00~16:30
テーマ:「ひきこもりの長期化と生き方支援」
講師:静岡大学学術院 人文社会科学領域 教授 江口 昌克氏
<参加費> 本年度より無料の予定(総会承認を受けて)
4月は年度総会を予定しています。前年度の活動を振り返り、新たな年度に向けて計画の協議を行います。皆さんのご協力をお願いします。
尚、当日は10時より同場所で準備会を行っています。配布物の準備やら、話し合いを行ったりしていますので是非お出かけください。例会時とは一味違った雰囲気で、気軽な話もできます。
皆さんの参加をお待ちしています。
更に今回の学習会は、静岡市番町市民活動センターとの共催で、別紙でご案内のように会員にはオンラインでの参加ができるように準備しています。
◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
受付当番 : □富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 ■藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
オンラインでの参加について
新型コロナウイルスの影響により、学習会・交流会を計画通りに行うことが困難な状況です。
いっぷく会の主目的は、「学習会」と「親同士の交流」ですが、やむを得なく例会に参加できない、又は遠隔地の方が近場に集まって学習を受け交流したいなどのニーズも出てきております。
このため4月からオンラインでの参加が出来るように準備しております。
会員限定のものですが、詳しくは別紙案内の通りです。会場、講師の都合によりオンラインでの参加ができない場合もあります。「いっぷく会便り」などでご案内しますのでご利用ください。
東部地区会のお知らせ
日時 :令和3年3月21日(日) 13:00 ~ 17:00
会場 :プラサヴェルデ408小会議室
(沼津駅北口徒歩3分 有料駐車場有50円/30分)
大変お待たせしました、第一回目の東部地区会を行いますので是非ご参加下さい。
特にテーマなどは設定していませんが、色々と情報交換をしてコミュニケーションを図りたいと思います。(参加費無料です)
途中からの参加も、途中での退出も自由にしていただいて構いませんから、時間のご都合がつく方は少しの時間でもお寄りください。
幹事:味岡範子 090-9223-2873
「個別相談会」のお知らせ
日時:令和 3年 4月2日(金) 9:30 ~21:00 中会議室
3日(土) 9:30~21:00 中会議室
4日(日) 9:30~18:00 小・中会議室
場所:静岡市番町市民活動センター
(カウンセラー)「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
「グループカウンセリング」のお知らせ
複数の家族が順番に状況を話して、先生からアドバイスをいただきます。
(カウンセラー)「SCSカウンセリング研究所 副代表理事 KHJ千葉県なの花会 理事長」藤江 幹子氏
年6回(偶数月) お申込み・お問い合わせは 090-3952-5810(中村会長)まで
《会長コラム》
ラジオ深夜便を聴いていると「明けない夜はない・・・」とよく耳にしますがホントでしょうか?
コロナ禍の話ではありません、我が国の議会の話です。アメリカは何とか夜が明けそうですが、我が国はここ何年も言い訳とうわべだけの謝罪が溢れ、委縮しきった官僚の姿が目立ちます。無意味な時間が流れ、無駄なお金が浪費されております。黙って夜が明けるのを待つしかないのでしょうか、時計の針を回すのは国民の力であると思うのですが。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。