活動内容
いっぷく会便り 2018年11月号
平成30年11月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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平成30年10月14日(日)
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テーマ
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「ひきこもりに伴う強迫神経症、ひきこもりと被害妄想」
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講師
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KHJ本部カウンセラー 高橋 晋氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル201811.pdf
10月例会のご報告
10月例会は、10月14日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」で開催しました。
◆準備会 10時~
12名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り10月号」「11月個別相談会案内」を入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせについて話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
弁当持参ですが、例会に少し早く出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで構いませんので、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者37名(初参加者5名含む)
◇連続学習会
テーマ「ひきこもりに伴う強迫神経症、ひきこもりと被害妄想」
講師 KHJ本部カウンセラー 高橋 晋 氏
(前SCSカウンセリング研究所 カウンセラー)
この学習会も色々な講師の方のお話を聞きますが、各家庭、当事者の状況も異なりますので、講師の話が100%当てはまるとは限りません。子どもの状況(ステージ)により取り組むべきことを親が判断できる力をつけて取組んで欲しいと思います。
わが子が、良い方向か?悪い方向か?おかしいかな? 納得しながらやることが大事と思っています。
今日の話も、先ずは子どものことを理解するところから始めることが大事だと思います。
1、根底にある不安・恐怖
ひきこもりの子は、こだわりが強く表面の症状として強迫神経症となる人も多いが、被害妄想については、親から見た時にそう見えても、他の人から見た時にはそうは感じないことが割と多いです。
ですから、単にひきこもりからだけでは無く、統合失調症や発達障害が絡んでいたりすることがあります。それぞれの症状がどのところからきているのか、理解しながら子どもに向き合ってゆく必要があります。
子どもは、自分一人でこの世界に放り込まれて、この世界とのつながりがないという恐怖、絶望感ですね。元々、人の気持ちとか、その場の雰囲気とか感受性が強く、その場にある問題を吸収してしまうという、それが物心つく頃に奥深くにある、自分でもわからない不安、恐怖が、症状・行動に出てきます。
2、強迫神経症とその対応
①ひきこもりで出てくる強迫症状・神経症
こだわりの強いタイプの子、挫折してひきこもった時に自分で自分を許せない、自分を責める。
現実をそのまま感じるのはすごく苦しい、壊れてしまうのですね。
自分を守る、現実逃避の手段としてゲーム、パソコンなどに集中する、また、汚れている、不潔だとかいう判断も出やすいので、汚い、雑菌がいるなどのことで「こだわり」が出てきます。
更に、父親は社会を代表する存在で、父親に対して何となくプレッシャーを感ずるので、一緒にいられないとか、敵視する、苦手な存在に感じていて、父親を避けるということも結構多いです。
②家族の対応
強迫行動が出てきた時にどう対応したらよいか?
親も気になるが、説得して止めさせようとすると、子どもの方も、おかしいと頭の方で分かっていても止められないのでストレスが高くなる。自分がおかしなことをやっているとして自己否定の気持ちが強くなって苦しさが増したりして止められない、逆に悪化することがあります。
家族が今やっていることを容認して、家の中にいて「自分は家族から受け入れられているのだ」という安心感を与える。又、子どもとの話す機会を増やすこともとても効果的です。
話すことで発散できる。それを遮ることなく最後まで話させることが大事です。
③強迫症状がエスカレートした時の対応
強迫症状にどの程度対応をしていかなければならないか?
認められる程度であれば、本人が気のすむまでさせておくという対応で良いでしょう。受け入れることで徐々に満たされて症状が減ってきます。
ただ、アルコール依存・買物依存などでエスカレートしてきた時には、何らかの抑制をしてゆく必要があります。しかし親に対するひがみ・怒りがあると、こだわりが強くなり、抑制しきれないことがあります。
難しい場面ですが「これはもうできないよ」「もうそれはやりたくない」そんな感じで線を引いてゆく必要はあります。でもお互いに理屈での対応は感情がゆすぶられたりしてまた難しいものがあります。
暴力的行動が出た場合は、一旦引き下がって暴力の届かないところから関係を作り直すという選択肢も。ただ子どもの本音がどこにあるのか? 本音を理解してゆこうという姿勢も大事ですね。
3、被害妄想とは
①親・兄弟に対するわだかまりと攻撃
親とか兄弟とか、以前の気持ちが本音はこうして欲しかったのに、自分の願いとは別の対応をされたとか、そういった気持ちが強いとそれに引きずられて、本人の気持ちも矛盾を含んでいることが多いです。
兄弟における差別感覚(親は色々な経過の中で公平にやっているつもりでも)があったりします。
親の愛情の感じ方を違った受け取りをする。こんなことから親に特別な要求したりすることがあります。
②統合失調からくる被害妄想
自分の考えていることが外に漏れている。監視されている。部屋に盗聴器を仕掛けられている・・など。この場合は統合失調症の疑いがあり、薬が効くことが多いので、お医者さんにどうつなげていこうか?
③発達障害と認識の単純化
人間関係で、自分の視点が出て、相手の視点が抜けてしまうのですね。
自分に害がある、それをやっている人は(例えばたばこを吸っている人など)自分をいじめているんだ・・というような。ひきこもっている子は、ある程度発達障害的な傾向をもっていることがあります。
4、本人にとっての取り組みと回復
①自分の苦しさを理解してもらう
頭で考えて処理しようとすると別のこだわりを生んでおさまりがつき難いことがあります。自分が苦しい状態を自覚して、誰か分かってくれる人を、身近な親に理解してもらうことが大事です。大分楽になります。
②主体的な取り組み
自分で何とかしようと試行錯誤することを認めてやる。あまり背中を押し過ぎず、止めることもしない。子どものやることを認めて「うまくいくと良いね」と軽い受け止める位で良いですね。
③医療の利用
うまくいかない時には、医療の利用もあります。薬を出すだけの医療でなく、本人の気持ちを理解するような、その上での対応していただけると良いですね。
④自分自身を受け入れながら現実に取り組む
自己否定が強くて自分をありのままには受け入れられないのです。外に出るにしても葛藤して時間に遅れる。回復してゆく時には普通にあります。本人が「それでもいいんだ」と受け入れるといいのですね。
5、安心感と「つながりの感覚」
はじめに話したように、心の奥にすごい恐怖と絶望を抱えている。生まれ育ってきた中で、人に合わせて、無意識の内に自分を押し殺してきた。親子関係の中でも自己表現が少ないので、親の指示で動いてきた。
「自己表現があまりできない」「強く自己表現ができない」ので、それを気遣ってくれて「居やすい状況」「安心できる環境」そういったつながりも大事で、必要になってくると言うこともあります。
社会とつながって「自分が生きていていいのだ」そういった感覚に戻すことが大事です。
概略こんな学習をしました。 その上でグループ別の話し合いを約1時間しました。
12月例会のお知らせ
日時 :平成30年12月 9日(日) 13:00 ~ 16:30
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」 3F 生活関連実習室
『 家族交流会 ~ いっぷく会・会員の集い ~ 』
12月の例会は、恒例の会員同士の交流会です。
別紙でもご案内していますが、今年の交流会は「そば打ち」です。
そば打ち師匠・曽根さんのご指導の元、そば打ち体験と打ち立てのおそばを皆さんでいただきましょう。
※事前の参加申し込みは必要ありません、<参加費> 無料
持ち物:エプロン、三角巾、タオル
※爪を短めに切りましょう
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。家族、当事者の方など、どなたでも参加できます。むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とは一味違った雰囲気で、気楽なお話もできます。
また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
アンケートにご協力をお願いします
「いっぷく会」も発足して16年経ちました。
ひきこもりの子どもを抱えた家族・支援者で組織し、当事者の自立を支援することを目的に諸々の活動をしております。現在の会員数は約70名にのぼっています。
活動内容につきましては、少しでも会員皆さんのお役に立てるように役員一同取り組んでおりますが来年度の計画策定にあたり、より皆さんのニーズに合ったものにしてまいりたいと考えています。
つきましては、皆さんの状況・思いを、別紙のアンケートにてご協力をお願いします。
11月例会出席者は当日会場でご記入いただき、欠席の方はこの便りに同封いたしますので、返信用封筒にて11月末までには返送いただきますようにご協力下さい。よろしくお願いします。
支援機関の情報です
青少年交流スペース「アンダンテ」
静岡県教育委員会社会教育課のもとで運営されており、社会的ひきこもりの青少年に対して、相談や様々な活動等をとおして社会参加するための支援事業です。以下は資料から引用です。
場所は、静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F
電話は、054-255-0600
ホームページ http://www.youthnet.or.jp/andante
アンダンテの考え方は、ひきこもり状態からの回復には「これまで」のことではなく「これから先」自らの未来をどう生きていくか、自分らしい社会参加の姿を獲得していくかが重要です。
従って就労や社会への適応を第一とするよりも、自分らしく自らを生きようとする力を支持、支援することが大切だと考えています。
対象は、社会的ひきこもり状態で悩んでいる15歳~39歳までの若者やその家族等です。
開設時間は、月曜日~土曜日(祝日除く)12時~16時 利用料は無料です
面接相談は、事前予約必要、一人50分、家族も利用できます。
電話相談は、054-255-0600で 家族も利用できます。
フリースペースは、自由参加型居場所づくり(開設時間内はいつでもご自由に・・・)
くつろぎと癒しの場であり、色々なことが出来ます。
その他の支援活動もあるそうですので、詳しくは問い合わせ下さい。
《会長コラム》
駿府城天守台の発掘現場から金箔を施した瓦が多数見つかったとの報に接し、早速現地説明会に出掛けました。金箔を好んだ秀吉が、関東へ移封させた家康への抑えとして、後の大阪城や江戸城に並ぶような壮大な天守を構えた城を、家臣の中村一氏に築かせたらしいことが初めて明らかになりました。僅か400年前のことであるのに記録に残されてはいない。しかも、関ヶ原以降家康が豊臣への抑えとしてその城を取り壊し、更に壮大な城を築いたとのこと。天下人の権勢の凄さに驚愕するとともに、歴史のロマンに浸りました。発掘を進め、全国から人を呼べる静岡の名所として保存を考えて欲しいものです。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。