活動内容
いっぷく会便り 2019年11月号
令和元年11月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2019年10月13日(日)
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テーマ
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「義務で働く? 幸福感で働く?」
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講師
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SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 長島 俊行氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル201911.pdf
第14回KHJ全国大会in北海道 大会宣言
10月12日、13日の2日間に渡って、北海道で大会テーマ「ひきこもり者が生きる力を育む地域共生社会に向けて」として開催されましたKHJ全国大会における大会宣言です。
1.私たちは、ひきこもっている本人や親、兄弟姉妹の誰もが幸せに生きる権利があることを広く社会に理解してもらうために、継続して幸福を求めていく権利を有することを宣言する。
2.私たちは、全国組織を有する唯一のひきこもり当事者団体「ひきこもり家族会連合会」として、孤立するのは自己責任ではなく、地域共生社会の理念を全国の各自治体に伝えていくことを目指す。
3.私たちは、ひきこもっている本人とその家族が困ったときに悩みを抱えることなく、安心して相談できるよう、地域に受け皿づくりと生き方の多様性を認められる地域社会づくりを目指す。
4.私たちは、ひきこもっている本人とその家族が本当に必要としている安心してつながれる地域資源の創出のために、就労などの成果を求める目標だけではなく、まずは今ある生活の困りごとを応援していけるような仕組みづくりを求める。
5.私たちは、ひきこもり支援の年齢枠が、全国で撤廃されることを求める。
6.私たちは、以上の項目を幅広く、産・官・民・学が協働することによって、誰もが孤立しないで、自分らしく安心して暮らせる共生社会の実現を目指す。
令和元年10月13日
特定非営利活動法人KHJ 全国ひきこもり家族会連合会
10月例会のご報告
10月例会は、10月13日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」で開催しました。
◇準備会 10時~
12名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り10月号」、「11月の個別相談会案内」などを入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。
そしていくつかの報告事項、打ち合わせについて話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。
都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者25家族28名(初参加5名含む)
前日の大型台風19号の影響で(被害の方も?)参加者が少なかったですが、講師も東京から来ていただくことができまして開催ができました。
◇連続学習会
テーマ 「 義務で働く? 幸福感で働く? 」
講師 SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 長島 俊行 氏
長島先生は、いっぷく会の学習会には初登場ですので、簡単にご紹介しておきます。
高校卒業後運送業のバイトで資金を溜め、23歳から
2年間オーストラリアで過ごす。その後、10年間のコールセンターでのクレーム処理の仕事で『なぜ人はこんなに怒るのか?』ということに興味を持ち民間カウンセラーの資格を取得、更に本格的な心理学を学ぶため30歳で大学へ、そこで、桝田智彦氏と出会い親交を重ねる。31歳の時に父が急逝し、家業(電気工事業)の継承を決意、大学、家業、サラリーマンの“三足のワラジ”を何とか乗り越え、大学を4年間で卒業。2016年春、SCSから誘われキャリアコンサルタントを取得し、現在、就労体験、就労相談に同行する担当として活躍中。
1.「働く」ことの意識改革
SCSの活動の中で、親御さんや当事者から聞く話として、親は期待を込めてとにかく子どもを前へ前へと動かしたがるが、当事者としてはありがたい半面重荷に感じているものです。
親は、働かない子どもに対して、なぜ働かないことを良しとしてしまっているかが理解できないが、子どもは働くべきだと分かってはいるものの身体が上手く動かないことを理解してあげて下さい。
やらなければならないという義務感で働き始めるのは、瞬間的には大きな力を発揮しますが、長続きするものではなく先細りとなります。親の思いに応えようとして、働かなければならないというのではなくて、働きたいと思えるようになる環境を作ってあげることが大切です。
家業(電気工事業)ですが、最初は義務感で継承したのですが、現場での実作業を通してお客さんに喜んでもらえることで幸福感を覚えるようになりました。そして、その幸福感が家業継続の原動力になっていると思います。
幸福感はどこから生まれるか
幸福感は本来は本人が見出すものですが、それを自覚するかどうかは、親の働きかけ次第です。例えば、初めて給料をもらってきた子どもに、「よく働いたね、よく頑張ったね、好きな物を買ったら」の声かけです。
義務感ではなく幸福感で働けるように、親が子どものためにできることの事例(SCSでの活動から)
<事例1:N君(40代)> ADHD(注意欠如多動性障害)の診断を受けている青年
親もそろそろ働いて欲しいと思っている、その思いに何とか応えたいN君。ハローワークに就労相談に行き、就労支援をしてくれる所を紹介してもらったが、そこに踏み出せない。自分に向いている仕事が分からない、そしてどんな仕事が出来るのかもわからない。ADHDで時間の約束を守れないこともあって就労はまだ早いと思われます。そのため、今後どのように対応していくかを親御さんと詰めていくことにしました。
<事例2:I君(20代)> 吃音(きつおん)のある青年
区の施設で週一回の清掃作業を二人で半年続ける。最初は、指示されたルーティンでの清掃作業であったが、それを本人達が自発的に効率よく出来るように改善し、その結果施設の利用者を含め感謝されるようになった。本人達が働きたいとの思いで始めた清掃作業、そしてこれまで何一つ続いたことが無かったのに、週一回2時間の清掃作業といえ、こんなに続いていることへの親御さんの大きな喜びが息子さんに伝わったのでしょうね。
<事例3:H君(20代)> 人の気持ちを想像できない青年
SCSだよりの編集に携わる中で、自分の仕事は差し置いて、人の仕事に口を出し過ぎてしまう事が難点。
働きたいと思っているが、自分が何が出来るかが分かっていない、何をしたいかも分かっていない。
自分で自由になるお金が欲しいから働きたいと言うが、その自由に使えるお金をどう使いたいのと聞くと、漫画を買いたい、ライブに行きたいと答える。これでは働く意義、ビジョンが欠如していて仕事を継続することは困難です。働きたい気持ちが余りにも大き過ぎて、働きたいという意欲には至っていないのです。これは、SCSの仲間達の仕事への動きに刺激を受けて、気持ちが先走ったものだと思われます。
2.親の意識
親の意識、無自覚な価値観の偏重、例えば、『働かざる者食うべからず』、そう思っている親御さんがおられます。親御さんの気持ちも分かるのですが、それでは、決して問題は解決しません。
まずは、親が変わる(意識、行動)事です。親が変われば、子どもは意識無意識の中で親の変化に気づき行動を起こしてくるものです。
3.当事者の意識
働けと言われなくても、本来ならば何かきっかけを欲しているものです。このままでいいと思っている子どもはいません。本当は何かしなければならない、何かしたい、だけど動けないのです。その時に親の正論は逆効果でしかありません。子どもの自発的な動きを待ち、見守って下さい。親の無条件肯定が本人の欲求を育むのです。
4.本人が働くために親ができること
無条件の肯定的関心です。例えば、働き出した我が子が三日で止めてしまった場合、「三日だけか」ではなくて、「三日間も続いたのか、凄いじゃないか」と前向きにとらえて欲しいのです。
親のフォローが無いと、子どもは親の期待に応えられない思いから自己否定に陥り、そして不合理な信念(義務)により精神的苦痛を感じて前に進めなくなってしまうのです。反対に、親のフォローがあると、「欲求」が育まれ、それが信頼(アイデンティティの形成)を生み、そして安全安心(幸福感)へと繋がっていくのです。
その後で、本日のテーマを含め色々の質疑にアドバイスをいただきました。
グループ別の話し合いを含め概略こんな学習をしました。今回は、地区別のグループとしました。
12月例会のお知らせ
日時 :令和元年 12月8日(日) 13:00 ~ 16:30
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」3F 生活関連実習室
『 会員交流会 ~ いっぷく会会員の集い~ 』
12月の例会は、恒例の会員同士の交流会です。
別紙でもご案内していますが、今年の交流会は、ひきこもり経験者の話をうかがいその後「鍋パーティー」で楽しみたいと思います。ご期待下さい。
※事前の参加申し込みは必要ありません。参加料は無料です。持ち物:エプロン 三角巾
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。家族、当事者の方など、どなたでも参加できます。むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とは一味違った雰囲気で、気楽なお話もできます。
また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
12月例会の 受付当番(輪番制)は静岡市葵区の方です。よろしくお願いします。
ピアサポーター養成研修参加報告 (冨山雅広)
今年度のピアサポーター研修の報告です。
9月8、9日に埼玉県比企郡嵐山町の国立女性会館という静岡市民文化会館に似た建物で行われました。
宿泊施設で、雨に悩まされることもなく、参加者は40名程でした。
ピアサポートはアメリカ発祥で、まごころ支援ではなく友人としての支援だそうです。
二日間の講義内容は、ひきこもりの理解と基本対応、実践報告、相談の手法等です(台風による講義変更有)。実例をもとにした教材で学び、今後の考えの始まりとなる講座でした。実際に訪問して、自分の方針ができていくと思います。
個人の話に移ります。いろんな県から来た人と夕食会で交流し、楽しい時間を過ごしました。最近NHK「あの人に会いたい」で放送されたことなどを話しました。番組内の先生が20年前録画されたフィルムの中で「教育も人生も基準が偏差値になってしまっている」という場面があり、自分がそれに関することを恥も知らず語り続けると、周りの人が真剣に耳を傾けてくれました。また、隣にいた大阪人らしき人は、食べ方、話し方が豪快で面白いでした。大分人らしき人が、大勢の前で漫才を10分ほど自主的にやり、その場が青春の一コマの様でした。
夕方、研修が終わって、宿泊先の会館から最寄りの駅に行く帰路のことです。住宅地を一人歩いていると、体が動かないことに気づきました。四十半ばになり体力が衰え始めてきたからです。列車で東京駅へ向かう際、心の中で「この年齢で、今車窓から見ている風景に夢を抱いて飛び込んでも、二十歳のような希望はないな」と思いました。
切ない帰り道、その時間を人生に一春来させるための思考に費やしました。ひきこもりの人は中年になる前に社会復帰してほしいと考えています。
「個別相談会」のお知らせ
日時:令和元年 11月22日(金) 9:30 ~ 21:00 中会議室
23日(祝・土) 9:30 ~ 18:00 小会議室
24日(日) 9:30 ~ 18:00 小会議室
場所:静岡市番町市民活動センター 2階
(カウンセラー)「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
《会長コラム》
県教委の調べでは、昨年度不登校の生徒は5、690人で、1998年以降最多であるという。公立の小中学校のみの集計であるから私立を加えればもう少し増えるでしょう。生徒数減が進む中でも増え続けるのは由々しきことです。原因として多いのはやはり「いじめ」であるという。強い者が弱い者をいじめることはよくありますが、弱い者がより弱い者をいじめることが横行している。何ともやりきれないが、ひきこもり予備軍になりかねないと思えば放置できないことです。長い人生私も「いじめ」を受けた記憶はないが、「嫌がらせ」は時折経験しています。対処法は、相手を哀れみの目で見て距離を置くに尽きる。
己
の日常の不平不満を他人にぶつけて憂さを晴らす行為が蔓延。今の世の中、正義正論が吹き飛んで政権側に組みしてさえいれば何でも許される異様な状況が長く続いている。壊れつつあるこの国の澱んだ雰囲気が、大人のみならず廻り回って子供たちにも影響しているのではと考えます。オカシイ思われる身近な出来事にも見過ごさないこと声を上げることを続けて行くべきでしょう。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp