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活動内容

いっぷく会便り 2018年9月号

平成30年9月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男

日時
平成30年8月12日(日)
テーマ
「一人ひとり違うことを前提に考える他者・社会との関わり方」
講師
静岡大学大学院 准教授 伊田 勝憲氏
会場
静岡市番町市民活動センター


PDFファイル201809.pdfLinkIcon

8月例会のご報告

8月例会は、8月12日(日) 静岡市番町市民活動センターで開催しました。

◆準備会 10時~
16名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り8月号」「9月個別相談会案内」を入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせについて話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
弁当持参ですが、例会に少し早く出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで構いませんので、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。

◆例会 13時15分~16時30分 参加者47名(非会員1名、初参加者8名、当事者1名含む)

◇連続学習会
テーマ「 一人ひとり違うことを前提に考える他者・社会との関わり方 」~ 不登校・ひきこもり経験者&心理学研究者の一人として ~
講師 静岡大学大学院 准教授 伊田 勝憲 氏

・伊田先生は「私の不登校物語」としてネットでも公開しておられますが、「小学校5年生の終わり頃から、中学1年生終わり頃までの約2年間、不登校・ひきこもりを経験されている。しかしその経験があったからこそ、今は心理学の研究者として仕事をさせて頂いている」と自らの生育、不登校の経験を話されて、現在取組んでいる心理学者としての立場からお話しいただきました。

・座右の銘は 以下の3つを言っていました。
「人間万事塞翁が馬」「不登校・ひきこもり」を負の経験と位置付けたら厳しいが、この経験を生かして教育に携わる、心理学の研究をするというストーリーに仕立てるならば、不登校経験は「強み」になる。
「知足」 現状を満ち足りたものと理解し、不満を持たないこと。
「鶏口牛後」小さな集団であっても、その中の長になる方が、大きな集団の末端となるよりは良い

・学習会では、プロジェクターを使って、68頁のスライドでお話しいただきましたが、専門的な部分は、ここでは報告しきれませんので、前段でお話をいただきました自らの「不登校・ひきこもり」の経緯と恢復に至る部分についての報告を中心にします。

自己紹介と自身の「不登校・ひきこもり」について

昭和51年2月、札幌市生まれの現在42歳。一人息子で、経済的には恵まれた家庭ではなかった。
幼稚園の頃、従兄が東大に合格した。このため周辺からも何となく期待されて「東大、防衛大、エリート」の意識をもった。その期待と自分の成長が合わず、小学校5年の終わる直前に、風邪で休んだのをきっかけに不登校になった。6年生では年間100日超の欠席だった。
中学校に入り、学級代表に名乗りを上げて取り組みだしたがすぐ挫折、5月の連休明けから学校に行けなくなった。その不満を親にぶつけて、相当激しい家庭内暴力もしました。(特に父親に対して)
勉強は全くせずに、趣味の鉄道のことばかり考えていたそうです。(相当な鉄道マニア)

ある日、鉄道ファンの仲間(他校の生徒で、私を不登校とは知らない人)に誘われて出かけることにした。その頃は、母の対応も変わってきており、以前は学校のことなど口うるさく言われていたが、「私を好きにやらせてみよう」という姿勢がみられるようになり、鉄道ファンと出かけることに背中を押してくれるようになっていた。毎週のように鉄道を見に出かけることで、少し気持ちも楽になってきた。その仲間には高校生や浪人中の人などもいて、色々の人に接することで世の中が広くなった感じがしました。

そんな時、いくつかの偶然も重なり、プライドも捨てて、中学1年の学期末試験の頃に復帰をはじめました。みんな試験に夢中で取組んでおり、私が登校してもあまり意識されずにすんだこともとても良かったです。運動は苦手でしたが、理科だけは頑張ってみようと集中して取り組んだ。そのうちになぜか他の科目も成績が向上してきました。このようにして学業にも意欲が出てきて、高校進学へと進んでいきました。そして不登校経験のおかげで、その経験を生かして「教師」になりたいという目標ができました。(自分で目標を見出すことができたことがすごいです)

この頃には、周辺も大きな期待をすることなく、自由に、自分の生き方ができるようになりました。
ただ生活習慣は、今では考えられない位、出来ていなかったことがありました。
高校では話し出したら聞いてくれる仲間がいました。そして一転して無欠席、無遅刻、無早退という皆勤賞をいただくことができました。更に、学習意欲も高まり、大学進学を目指すことになりましたが、残念ながら不合格で浪人生活に、予備校に入った。思い悩んでいたその頃に、ある先生との出会いから「心理学」の本を紹介されて、それが今の研究テーマ「動機づけ」教育心理学を学び、今の道に入ることになりました。

具体的目標は変わったが「不登校経験を大切にする」という生き方は一貫しています。
不登校・ひきこもりからの恢復には、数々の偶然ともいえる出会いがありました。
親が子に期待するのは良いことです。しかし特定の生き方を押し付けてしまっては、結局子どもが一人の人間として精神的に自立することを妨げることになります。
その点、私は幼少期に親戚から高学歴志向の圧力を受けながらも「不登校」でそれを断ち切り、自分なりに考えて進んだ進路の実現を、両親が喜んで支えてくれたことにより、大変恵まれていたと言えます。

こうして不登校から恢復までの話をしましたが、(伺いましたが)まとめますと
・周囲の期待に応えられないなどの自分がいて「不登校・ひきこもり」になり
・ひきこもり中に夢中でやっていた、趣味の鉄道マニアが外に出るきっかけになり
・「好きなことをやらせてみよう」と、親の姿勢が変わり、目標に向かう背中を押してくれたこと
・動き出したら、色々な偶然に出会って、目標を見つけて達成ができた。 ということです。

心理学研究者として

・「一人ひとり違う」ということの意味 ~ 焦点理論から考える複数の危機要因
青年は対人関係の中で多くの問題と関わっている。大多数の青年はこの多くの問題に1つずつ焦点をあててそれを乗り越えている。換言すれば、一度に2つ以上の問題に直面する人が少数ながら存在し、単独では問題に直結しないとしても、同時に重なると対処不能に陥って、不適応行動等に至らざるを得なくなる可能性が高くなる。これがひきこもりのきっかけになったり、続く要因になったりします。

・2つの適応と恢復のプロセス
社会的適応(外的対応) 環境との調和が保たれている
自己適応(内的適応) 自己受容、自己肯定感(まずはありのままの自分を認めて成長を目指す)
そして恢復へのプロセスでは、「一進一退」があって当然。「下剋上」「一発逆転」にこだわらない。
完全主義からの脱却。など、単に「元通りに戻す」ことではないということです。

・「無条件の肯定的関心」
これは「無条件の肯定」というよりも、むしろ「関心」に軸足を置いて考えてみたい。どんな内容であっても否定せずに、関心を向けることが感情への寄り添いにつながる。

その他 研究者としての立場から幅広くお話をいただきましたが、ここでの報告は以上にします。

◇例会終了後 5時半から納涼会を開催、第一ホテル内「四川料理渓邦」で
本日の講師伊田先生を含め10名の参加で、和気あいあいに美味しい料理をいただきました。

10月例会のお知らせ

日時 :平成30年10月14日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F 504会議室
<連続学習会テーマ>『 恢復に被害妄想・強迫神経症は伴う 』
(講師)SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 高橋 晋氏


※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>今年度も赤い羽根共同募金からの助成金交付が決定しましたので
1家族 ワンコイン! 500円、 初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています、是非、皆さんのご参加をお待ちしています。

「個別相談会」のお知らせ

日時:平成30年 9月22日(土) 9:30 ~ 21:00 小会議室
                               23日(日) 9:30 ~ 18:00 中会議室
                               24日(月) 9:30 ~ 12:00 小会議室
場所:静岡市番町市民活動センター 2階
(カウンセラー)「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで

「“学校”に行かないという選択」

見た方もおられると思いますが、これは9月1日にNHKのEテレで放映された「ウワサの保護者会スペシャル」のタイトルです。
教育評論家尾木直樹氏が司会をする番組ですが、夏休みが終わり新学期を迎える時期が、不登校になる人が多い時期だそうです。
番組は、現在不登校状態にある中学生3人と、過去に不登校を経験した4人が話し合う番組でした。
不登校の中学生は、みんなが学校に行って勉強をちゃんとやっているのに「私だけ行けないという罪悪感」と「将来に対する不安」もあり、自殺ということを考えた人もいました。
不登校に至るきっかけとか期間は様々でした。

経験した人の話は「好きなことに出会って、それを軸に」ということで、好きなことに取り組むために自分の進む道に出会い、夢中にできたというのがほとんどでした。
「好きだから続けられ、気持ちも安定した」「楽しいというのは強いです」「夢があると力になる」などありましたが、見つけられない時期も経験していますが「何もしないという時間も大事でした」苦しいこともあったが、決して無駄ではなかったと話していました。

産業構造も変わっている現代においては「学び方も色々とあってもよい」という思いがあります。
色々な道があり「自分に合ったものに取り組んでもいいんだ」・・と思えた時に気が楽になったと。
学校に行くという選択がすべてではないということです。
しかし、この子どもの思いを、親が受け入れることが重要ですね。「わが子のことを考えるチャンス」で「この子にとって何が一番良いのか」というように寄り添えることが大事と感じました。

8月の学習会で伊田先生の「不登校物語」。鉄道ファンという趣味が外に出るきっかけになり、その時に親が「好きなことをやらせてみよう」と背中を押してくれたこと。その不登校・ひきこもりは今の仕事、生き方に大変役立っているという話。同じだと感じました。
今、冨山さんが「囲碁教室」を企画してくれています。たった一つ「自分の好きなものに出会う」このことがすべてのことに良い影響を与えてゆくということです。是非とも多くの方の参加があると嬉しいですね。
親からも背中を押してみて下さい。何かの変化が起こるかもしれません。 (編集室)


《会長コラム》

昨年富士宮市に開館した「ふじさんミュージアム」より早くオープンした同様の施設「山梨県立富士山世界遺産センター」見学のため、富士吉田市を訪れました。江戸時代から最も賑わった登り口であり、富士山信仰のメッカとしての雰囲気を随所に残しておりました。二つの施設の対比も大変興味深いものがあります。なにせ初めての土地、思えば他にも足を踏み入れたことのない所が如何に多くあることか。残された時間は限られているのに、なすべき事の多さに妙に慄然とする近頃です。


初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川

連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。