活動内容
いっぷく会便り 2021年4月号
令和3年4月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2021年3月14日(日)
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テーマ
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「人生のエネルギーと希望(親との信頼感)」
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講師
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SCSカウンセリング研究所 代表 桝田 宏子氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル202104.pdf
3月例会のご報告
3月例会は、3月14日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」501会議室で開催しました。
◇準備会 10時~
13名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り3月号」「4~6月学習会案内」「たびだち冬季号」更に会員には「オンラインシステム導入について」を入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。そして最近は、ミニ学習会も行っています。
あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者28家族29名(内初参加1名含む)でした
◇連続学習会
テーマ「 人生のエネルギーと希望(親との信頼感) 」
講師 SCSカウンセリング研究所 代表 桝田 宏子氏
親育ち・親子本能療法(親が取り組めば回復は約束される)の創始者である桝田宏子先生の1年半ぶりの学習会です。30年を超えるひきこもり支援、百戦錬磨の先生です。SCSにおける多数の事例を含め、親が子どもに対してどのように関わるかがいかに大切であるかのお話しをいただきました。
-『親から始まるひきこもり回復 桝田智彦【著】』出版後、SCSも様変わりしています。全国各地からの問い合わせが増えています。ひきこもり問題で悩んでいる人がいかに多いかと言うことです。この本によって、親として、子どもの育て方への反省の掘り起こし、そしてわが身を省みて、自分のことを知るきっかけにもなっているのです。
- 復学、就労のために、子どもを何とか直さなければならないと言う考え方は一旦外して下さい。子どもをどうやって助けるか、その手段、知恵、覚悟が親に備われば、その親の変化を子どもはキャッチして自ずと反応するものです。
<例>商売を営んでいる家庭です。明日から店を閉めろと息子からの脅迫に従い休業。子どもの暴力に対しては、警察の力を借りることが必要ですが、子育て中に親が子どもに暴力を振ったことがある家庭の場合は、即110番ではありません。親が怪我をしたら子どもの回復のサポートが出来なくなるので、それを防ぐために警察の力を少し借りると言うぐらいのイメージです。このお父さんは、とても正直な方で、その正直さが息子さんに伝わったのでしょうか、現在は商売を再開しています。親の正直さも子どもの回復には大きな要素となります。
<例>長年SCSに通い勉強を続ける8050に近い母親の家庭です。昼夜逆転だった息子が、この頃朝出掛け夜帰宅、それが週五日続くので、母親は息子が働いていることに気付くが、“親が先手を打ってはいけませんよ、後手後手で行くんですよ”の教えを忠実に守り、あなた働いているのと聞きたい気持ちを抑えていた。ある日、「俺、働いているよ、採用されたよ」、そして、「何も言わないでいてくれて、さすがだ」と、自分から伝えてくれました。
<例>何年間も暴れまくる息子。「俺が働けないのはお前らのせいだ」、「SCSに行ったってお前らは変わりやしない」、そう言っていた息子が一度SCSを訪れた。親が変わったのは誰と会っているのかを見届けたいと思ったのでしょう。ある日、「この家を出て一人で生活するから金と住む家を用意しろ」。親は無条件肯定で“探してきます”と書いたメモを置き、物件のチラシを持ち帰った。すると、「全てお前らのせいだと言ってきたが、違った、全て俺のせいだった」、その後、部屋の片づけが始まった。親が無条件肯定で根気よく取り組んだ成果です。
- お母さんが、明るく、たくましく、ユーモラスになったら起きること、次に何が起きるのでしょうか。
思いつくことを一人ひとり順番に話しました。
・子どももお父さんも元気になる
・子どもが言いたいことを言えるようになる
・子どもがやりたいことをやれるようになる
・子どもが楽になる
・子どももお父さんも本音を言えるようになる
・子どものお母さんへの退行が出てくる、などなどが出ました。
以上のように、お母さんが、明るく、たくましく、ユーモラスになることはとても大切なことで、お父さんも子どもも元気になることに加えて、お父さんの退行が始まったりすることがあります。その時は、夫を手のひらで転がす様な感覚を学ぶ機会です。
- 息子が抱く男としての性的関心や自慰行為などは、ひきこもっているのに何事だとは考えずに健康的に前向きに捉えるようにして下さい。回復へは必要なことなんです。
- コロナ禍が若者たちを覚醒しているのでしょうか、回復の報告が増えています。そのコロナ禍で、若者たちが一番心配するのは、“親がコロナに掛かって死んだら俺は一体どうなるんだ”、それだけ親を頼りにして生きているんです。
- 夫のDV(暴言暴力)や夫が強いアスペルガーの場合は、子どもはその負荷を大きく受けるため、離婚や別居を検討することが必要です。DVの場合は特にそうです。夫のDVは夫の親子関係の問題であり、嫁と子どもが納得できるものではありません。吐き出し対象となってしまいます。
- 子どもが何らかの資格を取ったからと言って、親がもう大丈夫ではないかと勝手に判断しないでください。子どもは、その先を見据えて親に相談したいと思っているものなんです。
★親が学習をして、“子どもの育ち直し”に取り組んで下さい。子どもは親を信頼できるようになり、
安心した日々を送ることが出来るようになります。すると、自己肯定感が持てるようになり、自分に正直になり、そして聡明(自己肯定が高い、相手の気持ちや立場を理解、判断力・決断力がある、知的で思慮深い、食の知識がある)さが身についてきて生き易くなって行きます。
これまでの長いひきこもり支援から、子どもが一人で頑張ってみても、対人緊張、被害妄想などによって上手くはいきません。また、他人を頼っても、結局はぶり返してしまいます。
親が成長することによって、子どもは回復していくのです。だから“親”なのです。
皆さん、継続して取り組んでいきましょう。
ひきこもりに関する行政関係の動向について
厚生労働省では、令和元年9月20日 「ひきこもり支援施策の方向性と地域共生社会の実現に向けて」というセミナーを全国の市町村を対象に行っています。
ここでは、身近な市町村でどのように支援体制を構築したりしようとしているのか、その一部をご紹介します。(まだ検討の途上にあるものもあります)
①平成21年度より、各都道府県、政令指定都市に「ひきこもり支援センター」(全国で75か所)が開設されています。県内では「静岡県ひきこもり支援センター」、静岡市と浜松市に「ひきこもり地域支援センター」が開設され、相談、家族教室、居場所の運営などを行っています。
・静岡県ひきこもり対策連絡協議会 年1回開催(2月2日)(中村会長がメンバー)
有識者や行政(教委、社協、雇用など)と家族会で構成。課題の共有などを行っています。
・ひきこもり家族会との交流会 年1回開催(3月4日中村・中谷・柴田の3名参加)
「静岡市ひきこもり地域支援センター」「静岡市子ども若者相談センター」「静岡県ひきこもり支援センター」「いっぷく会」の4団体でそれぞれの活動状況を報告し交流をはかりました。
②ひきこもり支援従事者養成研修、ひきこもりサポーター養成研修
これらは平成25年度から行っています。行政担当者の教育や、家族会では「ピアサポーター養成研修」で、いっぷく会でもピアサポーターの認定を受けた方が7名ほどがおります。
③生活困窮者自立支援制度 平成29年度より
ひきこもりを含め生活保護に至る前の段階から早期に支援を行うことにより、生活困窮状態からの早期自立を支援する制度です。各種の支援機関が連携して取り組んでいます。
これとの関連性は分かりませんが、「静岡県内市町ひきこもり相談窓口一覧」を昨年7月に皆さんに配布しました。各市町のひきこもり相談窓口が詳細に書かれています。
④就職氷河期世代活躍支援プラン
就職氷河期世代(平成5年~平成16年に学校卒業期を迎えた、年齢概ね34歳~49歳)の方々の活躍の場を更に広げるための支援です。
(・就職、正社員化の実現 ・多様な社会参加の実現 などがあります。)
・ハローワークに専門窓口で、働きながら無料で受講可能な訓練の提供、資格取得の支援など。
・各地の地域若者サポートステーション(通称 サポステ)
「就職氷河期世代個別就労相談会」などを通じてきめ細かな相談体制、就労支援の整備
⑤就職氷河期世代ひきこもり支援強化事業
県内ひきこもり状況調査を受け、8050問題などに見られる複合的な福祉課題の一つであるひきこもりについて、各市町に相談体制の整備に向けた支援をする。
令和2~4年かけて各市町に、相談体制整備(勉強会、相談会、居場所)家族交流会の開催など。
(これに関しては、いっぷく会も必要な協力をさせて頂きたいと考えています)
⑥各市町における包括的な支援体制
ひきこもりや介護、貧困といった複合的な課題を抱える家庭に対して、一括して相談に乗れるよう市
区町村を支援するもので、8050問題などの課題もひとつの支援機関で包括的に支援を受けられるよ
うになるというものです。(令和3年度から実施か)
ひきこもりの長期・高齢化している状況を踏まえて、身近な所で支援を受けられる体制ができてきています。孤立化しない、させないことが大事です。このような公的な支援も利用して下さい。
5月例会のお知らせ
日時 :令和3年5月9日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
連続学習会テーマ:「可能性の限りを尽くすコミュニケーション」
講師:人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
尚、当日は10時より同場所で準備会を行っています。配布物の準備やら、話し合いを行ったりしていますので是非お出かけください。例会時とは一味違った雰囲気で、気軽な話もできます。皆さんの参加をお待ちしています。
今回の学習会も静岡市番町市民活動センターとの共催で、会員の方にはオンラインでの参加ができるように準備していますのでお申し込み下さい。
◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
受付当番 : ■富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 □藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
東部地区会のご報告と次回のお知らせ
3月21日(日)13〜16時30分、春の嵐のなかプラザヴェルデ沼津を会場に参加者9名で東部地区会を開催しました。やはり静岡まで出かけることに比べると楽ですね。東部地区の会員の半分近くが集まりました。自己紹介で2時間かかりましたが、今後の計画を話合い、いろいろな意見や希望が出ました。継続したいという思いも一致したので、次回を下記に設定しました。また、パソコンを持ち込んで、静岡市番町の事務所をホストにZoomを使ったリモートのテストも同時に実施しました。今後が楽しみです。
会場が密にならないようにするため、新規参加希望の方はご一報ください。
日時 :令和3年4月25日(日) 13:00 ~ 17:00
会場 :プラサヴェルデ408小会議室 (沼津駅北口すぐ、有料駐車場有50円/30分)
参加費無料、途中からの参加も途中での退出も自由にしていただいて構いませんから、時間のご都合がつく方は少しの時間でもお寄りください。 幹事:味岡範子 090-9223-2873
あんなこと・こんなこと
[皆さまからの投稿をお待ちしています]
私たちは、結婚して50余年になります。
お互いに空気のような関係になっていましたが、そんな中での昨年の出来事でした。主人が末期のガンとの宣告を受けたのです。大変なショックを受けた私は、しばらく落ち込んで過ごしていました。せめて思い残すことの無いようにできることは何かないかな?
と考えて思い切って言いました。「清水の舞台から飛び降りるつもりで言うけど、『一日一回握手したい』」と。主人もはじめはビックリしていましたが、黙ってうなずいてくれました。最初はまだ力のある握手ができましたが、少しずつ衰えてゆく様子が分かりました。亡くなる一週間前まで、ちょうど1ヵ月続けることができました。
そして最後は家で看取りましたが、思い切って言えた一言が悔いのない別れになったと思っています。
ありがとうございました、私たちを天国から見守ってください。
いっぷく会は、会員制で、会員の会費で運営されています。会員以外の方もご参加されることは大いに歓迎していますが、その場合は参加費を一回1500円負担して頂いています。ただし初回は体験として無料で参加いただけます。そして年会費6000円(年度途中での加入は月割額)で、加入していただければその後の参加費は無料です。詳しくは事務局まで問い合わせ下さい。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川 E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。