活動内容
いっぷく会便り 2021年10月号
令和3年10月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
PDFファイル202110.pdf
行政の動向について
9月例会は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されておりましたので、その期間の活動はすべて中止にさせて頂きました。このため「ひきこもりに関する行政関係の動向について」わかる範囲でのことをお伝えします。(内容は事務局の理解です)
厚生労働省では、令和元年9月20日 「ひきこもり支援施策の方向性と地域共生社会の実現に向けて」というセミナーを全国の市町村を対象に行っています。
ここでは、身近な市町村でどのように支援体制を構築したりしようとしているのか、その一部をご紹介します。(まだ検討の途上にあるものもあります)
①平成21年度より、各都道府県、政令指定都市に「ひきこもり支援センター」を開設
県内では「静岡県ひきこもり支援センター」、静岡市と浜松市に「ひきこもり地域支援センター」が開設され、「相談」「家族教室」「居場所の運営」などを行っています。
②ひきこもり支援従事者養成研修、ひきこもりサポーター養成研修
これらは平成25年度から行っています。行政担当者の教育や、家族会では「ピアサポーター養成研修」で、いっぷく会でもピアサポーターの認定を受けた方が7名ほどおります。
③生活困窮者自立支援制度 平成29年度より
ひきこもりを含め生活保護に至る前の段階で、早期に支援を行うことにより、生活困窮状態からの早期自立を支援する制度です。各種の支援機関が連携して取り組んでいます。
④就職氷河期世代活躍支援プラン
就職氷河期世代(平成5年~平成16年に学校卒業期を迎えた、年齢概ね34歳~49歳)の方々の活躍の場を更に広げるための支援です。
(・就職、正社員化の実現 ・多様な社会参加の実現 などがあります。)
・ハローワークに専門窓口を設け、働きながら無料で受講可能な訓練の提供、資格取得の支援など
・各地の地域若者サポートステーション(通称 サポステ)
「就職氷河期世代個別就労相談会」などを通じてきめ細かな相談体制、就労支援の整備
⑤就職氷河期世代ひきこもり支援強化事業
県内ひきこもり状況調査を受け、8050問題などに見られる複合的な福祉課題の一つである「ひきこもり」について、各市町に相談体制の整備に向けた支援をする。
令和2~4年かけて各市町に、相談体制整備(勉強会、相談会、居場所)家族交流会の開催など。
昨年3月末現在の「県内各市町におけるひきこもり相談窓口一覧」を配布しましたが、この支援強化事業で担当窓口の変更もありますので、年内位には新しい体制をお知らせできると思います。
⑥身近な市町村におけるひきこもり支援の充実
令和4年度予算要求の段階では「身近な場所(各市町村)で、これまでの「ひきこもりサポート事業」に加えて、支援の核となる相談支援、居場所づくり、ネットワークづくりを一体的に実施する「ひきこもり支援ステーション事業(仮称)」を創設して手厚い支援をする」とあります。
⑦今後の方向について
令和3年6月18日に骨太の方針が閣議決定され、(孤独・孤立対策)で「ひきこもり」のことが初めて取り上げられました。
今までは支援者サイドだけで決まっていた支援も、当事者や家族の視点に立って進める方針が明確になりました。以下抜粋です
「ひきこもり支援 について、現状の支援施策を再点検した上で、当事者や家族の視点に立って、ひきこもりに
至った要因と将来も考慮した息の長い支援の実施、良質な支援者の育成と支援手法の開発等の取組を推進する。こうした官・民・NPO等の取組の連携強化の観点から、各種相談支援機関、NPO等の連携の基盤となるプラットフォームの形成を支援し、人と人とのつながりを実感できる地域づくりや社会全体の気運醸成を図りつつ、官民一体で取組を推進する。」
このように、身近な市町村において、当事者や家族の視点に立った支援を推進するという方向になっておりますので、早期に実現するように期待しましょう。
KHJ静岡県いっぷく会 【 その2「生い立ちの記」 】
親だからこそ
KHJ静岡県いっぷく会は、ひきこもりの子どもを持つ親の家族会です。例会は毎月1回開かれ、メインは「連続学習会」です。
家庭内で子どもがひきこもり状態になった時、親は「困ったことになった」と混乱します。親の会に集まった親たちは、この学習会で「ひきこもりとは何か」「今、家の中で何がおきているのか」「子どもは何を考えているのか」を学んでいきます。そして、ここに集まった親たちと話し合いながら過ごすことによって「同じような人たちがこんなにいるのだ」と感じ、連帯と安心感を共有します。それによって、親が落ち着き、徐々に子どもと向き合っていくことができるのです。
この学習会を「連続」と記してあるのも、ひきこもりの問題には様々な要因があり、じっくり勉強し、失敗や反省を繰り返しながら取り組む必要があるので時間がかかります。よって、連続して学習する必要があるのです。
学びの中で覚えた単語に「当事者」や「気づき」があります。ひきこもり本人を当事者としていますが、会の初期のころは当事者年齢も若く、当事者の人たちを「青年たち」と表現していました。ひきこもりの要因も不登校などが多くあったと思います。しかし、時の流れとともに当事者の年齢も上がり、ひきこもりの期間も長くなり、その要因も社会生活での生きづらさなどによって起こることが多くなりました。
それと共に親の年齢も上がり、今や「8050」問題となっている現実があります。
親は当事者にとって、いちばん身近な存在です。しかし、親だからこそ、困難さも伴います。
―親だからこそできることがあるー
親たちはこれをいつも頭に置きながら学習を続けています。 (「いっぷく会」世話人)
(静岡市番町市民活動センター情報誌「ばんたび」2021年10月号に掲載されたものです。8月号で発足当時のことを紹介しましたがそれに続くものです。最近入会された方のために知っておいていただきたく掲載しました。)
ひきこもり対応の応援歌
青少年交流スペース「アンダンテ」様から提供いただきましたので順次ご紹介します。
“ 深まった 親子の溝を 埋めるには 言葉をかわす試みが要る ”
“ こもる子に 関わるときは 親もまた 自身の生きる姿勢問われる ”
“ 干渉や 放任でなく 穏やかな 関わりを得て子どもは育つ ”
11月例会のお知らせ
日時 :令和3年11月14日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
連続学習会テーマ: 『 無条件に・・・肯定的に・・・そのことに疲れたなら・・・』
講師:人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
尚、当日は10時より同場所で準備会を行っています。配布物の準備やら、話し合いを行ったりしていますので是非お出かけください。例会時とは一味違った雰囲気で、気軽な話もできます。
皆さんの参加をお待ちしています。
◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
◆会員の方にはオンラインでの参加ができるように準備していますので申し込み下さい。
受付当番 : □富士市以東 ■静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 □藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
あんなこと・こんなこと
[皆さまからの投稿をお待ちしています]
・8月の会員交流会で「いけばな」を体験しましたが、その中で小野和代先生からのお話。
「お師匠さんから、いけ終わった後に『少し離れて自分のいけばなを見てごらん』と言われてそのように見ると、いけている時には夢中でわからなかったことを発見します。心が目いっぱいの時はそうした作品になっていて、窮屈そうな部分を少しゆったりいけなおしてみると、自分の気持も不思議とゆったりしてきました。このような経験から『少し離れてみる』は今の生活でとても大切にしています」と言われました。
私たちも生活の中で毎日子どもの行動を見ていると、何か「足りないところ」「悪いところ」ばかりが目について「どうして?」と否定的になったりしますが、少し離れてみたら「ああこんないい面もあるんだ」「これはよかったね」などのことも見えてくるのではないかと思いました。
「少し離れてみる」大事にしたい言葉だなと思いました。
・社会参加(就労を含めて)していない息子(20代後半)は、やはりネットやTVで情報をたくさん受けているのですが、実体験としては世界が小さく、狭いです。すぐにでも自立・・と追い立ててはいないのですが、こもり歴が長くなっていて、今の世の中どうなるか分からないと思うと、できるだけ生活や人生を楽しめる日々を送ってもらいたいと思っています。
楽しいこと、興味のあること、やりたいことを見つけたら・・というと「そんな気になれない」と言われてしまいます。
どちらかというと、後ろ向きな彼を否定はしませんが、何か楽しくなるきっかけ作りにアドバイスを欲しいと思います。
・28歳の息子をもつ親ですが、ひきこもり6年になります。資金援助はした方が良いですか?
(事務局より;親の学習会では「脅かしや兵糧攻め」は全くいけません。「小遣いは毎月年齢にふさわしい金額であげて下さい」と言われています。安心して動ける環境を・・と)
・両親が教育熱心ではなく放任していた。自己主張の少ない子どもがひきこもりになった。日常会話はしています。自分のことは、食べるものをつくる、洗濯、部屋の掃除などもしています。
放っていていいか分からない。3人兄弟の第一子。
(Iさん他)
情報コーナー
KHJ全国大会 (オンライン大会)
日 時 11月27日(土)12時~17時:28日(日)9時~12時
参加対象者 本人・家族・支援者・行政関係者・関心のある方、
参加費 1人2000円(資料代込) 当事者無料 (定員)500名(先着順)
テーマ ポストコロナ 新しい社会を創る ~すべての人が生きやすい社会をめざして~
問合せ・申込み KHJ本部 Tel03-5944-5250 Fax03-5944-5290 E-mail ; info@khj-h.com
(詳しくは別紙のチラシで確認して下さい。)
お知らせコーナー
◆9月号「いっぷく会便り」でお知らせしましたが、臨床心理士会から家族会活動への支援をいただけることになりました。当面 下記の二つのことに関して支援を受けて開催しますのでご利用下さい。
(詳しい内容については別紙のチラシで確認ください)
◎「地区会」の開催について(臨床心理士・公認心理師が参加されます)
それぞれの地区会に是非とも参加して下さい。(どこの地区会に参加しても構いません)
・東部地区会 10月30日(土) 沼津 プラザヴェルデ404会議室
・西部地区会 10月30日(土) 藤枝 藤枝市文化センター第5会議室
・中部地区会 11月6日(土) 静岡 静岡市番町市民活動センター中会議室
時間は 13時30分~16時30分です。途中からの参加、途中退席でも構いません。
(その後も続けて開催したいと考えますが、今回の様子を見て次回の開催を決めたいと思います)
◎「臨床心理士・公認心理師による相談会」開催について
来年3月までは 第2土曜日、第4土曜日の13時30分~16時30分で開催します。
各ご家庭のことについての相談になりますので、1日2家族で事前予約をいただいて進めたいと思います。11月からで年内は 11月13日、27日 12月11日、25日になります。
場所は 静岡市番町市民活動センター。参加料は無料です
◆図書、関係資料の提供についてのお願いです
いっぷく会の事務所にも、今まで発行された図書、DVDなどの資料があります。これらをより有効に利用する為に「いっぷく文庫」なるものを作り、必要な方に貸し出しする制度をスタートさせたいと考えています。親、家族としての学習に、少しでもお役立ていただければと思います。
そこでお願いです。皆さんの中に読み終わった「ひきこもり関連の書籍、学習資料など」がありましたら是非とも提供していただきたいと思います。
例会時に、あるいは「いっぷくサロン」にお出かけいただく時にでもお持ちいただければ・・と思います。それらを事務所分と合わせて整理したうえで、貸出し制度「いっぷく文庫」の準備をしてまいります。是非とも皆さんのご協力をお願いします。
◆アンケートのご協力をお願いします
正会員の皆さんには、今日の配布物に同封して「会員アンケート」を送りました。従来も2年に1回、皆さんのご意見をいただき、会の活動・運営に反映しておりますが、今年は臨床心理士会のご協力もいただき少し質問も見直しています。ご家庭の実態、要望などを遠慮なく率直にお書きいただきたいと思います。皆さんのお役に立てる家族会をめざして取り組んでまいりますので是非ともご協力下さい。返信用の封筒に切手が貼ってありますので、そのまま投函ください。
無記名で結構です。10月末までにお願いします。
いっぷく会は、会員制で会員の会費で運営されています。会員以外の方もご参加されることは大いに歓迎していますが、その場合は参加費を一回1500円負担して頂いています。ただし初回は体験として無料で参加いただけます。そして年会費6000円(年度途中での加入は月割額)で、加入していただければその後の参加費は無料です。詳しくは事務局まで問い合わせ下さい。
事務局 電話 090-6081-0766 E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
電話番号が変わりました。また、ファックスは利用できませんのでご了承ください。
本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。