活動内容
いっぷく会便り 2020年5月号
令和2年5月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
テーマ
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「ひきこもり、存在をかけた自己証明のプロセス」
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講師
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人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
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PDFファイル202005.pdf
講師からのメッセージ
新型コロナウイルス問題で緊急事態宣言が発出されましたので、4月、5月の例会を中止させて頂いています。そこで、5月に予定した連続学習会の講師「人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏」から当日の講義予定の内容についてお送りいただきました。それをここにお伝えします。
テーマ「ひきこもり、存在をかけた自己証明のプロセス」
0.序
本来ならば、5月の連続学習会にて皆さんにお会いして伝えるべき内容です。残念ながら今回は文章にて読んでいただくこととなりました。新型コロナウィルス感染拡大の影響が、正直ここまでとは予想をしておりませんでした。私にとって活動を止めることは非常に悔やまれ、本意ではありません。こうして綴ることで僅かでも皆さんの日々の生活に何かを感じていただけるなら…そう願いながら、手紙を綴るつもりで思い巡らせ、記してゆきます。
1.存在をかける意味
ひきこもりと呼ばれる現象は、十把一絡げにできるような単純なものではない…と私は考えています。その人その人、それぞれの経緯があり、状況等に合わせた対応が必要であり、それゆえの難しさがあり…だからこそ丁寧さが必要になると思います。ただひとつ、もしも共通点があるとするなら、ひきこもりは命を守る行動であり、自分の存在を維持するための活動であるということでしょうか。それは、今回の新型ウィルスに対する自粛、命を守るための行動のようなものかも知れません。
人は何かの障害にぶつかり、衝撃を受けた時、活動する力、エネルギーを失います。今まで自分がしてきたこと、これからすることの「意味」を見失ってしまう可能性があります。それは、他人からどう見えるか、社会的にどう評価されるかということとは別の、その人の中に存在している「意味」です。だから障害にぶつかった時に他人と衝撃度を比べたり、程度を並べて考えることはできないのです。自分という人間が、自分という誇りを持って、自分らしく生きてゆくことができるかという、極めて命に重要な意味を持ちます。その人にとっては、生きるか、死ぬかがかかっているのです。
2.自己証明は上辺だけのものでは図れない
自分が生きていくための極めて重要な意味を感じたり、自分の命を守るための行動は、自分自身の存在を証明することです。難しい表現をしましたが、「私が、今、ここにいることを認めてください」という欲求そのものです。その欲求に親が応えていくこと、それには段階を踏まねばならず、エネルギーが低下した状態であればあるほど、社会的な枠組みではどうすることもできません。
社会的な枠組み…つまり「社会的意義」、例えば学歴や出世、地位、名誉、学業や労働や名声に集約されるようなものでは、「自分にとっての意味」に通用できないのです。何故なら、社会的意義は自らの存在に比べれば上辺だけのものに過ぎないからです。学歴ではなく、地位でもなく、自分という人間を心から認めて欲しい…そこに形式的なものは太刀打ちできないのです。だから存在をかけて、全身全霊で自己証明をしようとする…ひきこもりの大切なメッセージではないでしょうか。
もちろん経済観念、お金も大事です。間違ってはいけないのは、お金のみが大事なのではなく、お金を通して何を見るかが大事なのだと思います。経済観念を優先させすぎるから、自分らしさとお金の板挟みになり、苦しんでしまうことになるのです。
「例え失敗したとしても、やってみて失敗したかった。」…とある少年の言葉です。上辺だけのものでゆく道を閉ざされ絶望に至るのか、自分が存在しているという誇りで希望とともにゆく道を開いてゆくのか…そのことを支える根本は家族であり、親という存在に他ならないのだと思います。生まれてきた時の、その人の存在だけで認められ、尊重されていたことを知っているのは、親だけなのですから…。
3.生まれてきたわけ
人は、あまりにも苦しい思いをしたり、追い込まれた時、「何故自分は生まれてきたのだろうか…生まれてこなければよかった」と思うことも、珍しいことではないのかも知れません。その思いは、親にしてみればあまりにも残酷なこと。でも、本当に苦しいのは子どもです。追い込まれた子どもを、親が救わずして誰が助けるというのでしょうか。命をかけて訴えかけてくる子どもに、親も命をかけずして、何が伝わるというのでしょうか。
私の知人が、自分の子どもを追い込んでしまったことや苦しませてしまったことに対して、こう言ったことがあります。「子どもが、“生まれてきてよかった”と思えるようにするのが、親の役割だ」と…。そのためなら、最大限可能性のあることなら何でもする、そう言わんばかりの重みがありました。
今回の新型コロナウィルスでは、まさしくいつ、どんなことが起こるかわからないことを教えてくれた気がしています。例えどんな世の中になっても、どんな社会になっても、自分らしく生きてゆくことは最大の誇りであり、幸せであると思います。子どもがそうなれるように、親もともに自分らしく生きてゆく…そのことがとても大切ではないかと思います。
とりとめのない抽象的な文章になりました。もしご質問等がありましたら、ご遠慮なくいただければ幸いです。また学習会でお目にかかれる日を楽しみにしております。その時は、またいろいろお伝えすることができるよう、私も自分を磨いてゆくつもりです。またよい表情の皆さんにお会いできる日を、楽しみにしています。
菊池 恒 soudansha@office‐ashra.net
6月例会のお知らせ
日時 :令和2年6月14日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F 502号室
<連続学習会テーマ>『ひきこもり実態調査から見えるもの』~行政の立場から~
講師:静岡県精神保健福祉センター長 内田 勝久氏
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。是非ご参加下さい。
投稿 Kさん
新型コロナウイルスが大変なことになっている。
その内に感染者の「変なうわさ話」らしいものも入ってくる。どうも同じ人物の話らしいが話のルートによっては真逆な話になっていたりする。うわさは怖いね。
「万一、家族の誰かに感染者が出たら大変なことになるな~。」と思いつつ、でも「ひきこもっているうちの息子は大丈夫」と思っているが、たまにコンビニには出かけるぞ「せめてマスクをするようにさせないといけないな~。」
「ここにマスクを置くから出かけるときにはマスクしていきなよ」と伝えてあるが、使った様子がないようだ。
こんな心配をしながら私は「外出自粛」で、そこにあった本をめくっていた。
「思考」に気をつけなさい それはいつか「言葉」になるから
「言葉」に気をつけなさい それはいつか「行動」になるから
「行動」に気をつけなさい それはいつか「習慣」になるから
「習慣」に気をつけなさい それはいつか「性格」になるから
「性格」に気をつけなさい それはいつか「運命」になるから
このマザー・テレサの教えが目に入ってきた。
息子がひきこもりになって、「せめて仕事について欲しい」「結婚して欲しい」など「ひとなみ」の生活がしてほしいと願っているが「こころの悩み」は簡単ではない。
いっぷく会で学んでいるのは「親が変わらねば子どもは変わらない」
これを反対に見ると「親が変われば子は変わる」
毎月、入れ替わり立ち代わりの講師の話を聴いて「果たして自分は少しでも変わっているか?」
自問自答する。長年積み上げてきた自分の価値観。なかなか変えられていないことに気づいた。
理屈は分かっているのに変えられない自分がいる。何でだろうか?
「あれもこれも」と考えると結局何もできない。そうか「一点突破」だ。たった一つで良い。
「一つだけ言葉を変えてみる」
「一つだけ行動を変えてみる」
「一つだけ習慣を変えてみる」
そうすれば何か変えられるかもしれない。
「よし!!一つだけでもやってみよう」こんなことを考えながら「ステイホーム」を過ごしている。
その一方では、わが人生でも初めての経験で、この先どのような社会に変化してゆくのか?
楽しみでもある。「生き難かった人にも生きやすい社会」になってゆくかもしれない。
期待しよう。
「いっぷくサロン」の休止について
緊急事態宣言発出され、4月21日から休止させて頂いていますが、まだしばらくは休止させて頂きます。再開できることになりましたら連絡しますのでご了承ください。
(よってその間、当番者もいません)
会の運営での問い合わせなどがありましたら、事務局(☎054-245-0766中津川宅)まで連絡下さい。皆さん、くれぐれも感染防止に努めて下さい。早期の終息を祈ります。
「個別相談会」のお知らせ
新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活も様々な対応を迫られていますが、個別相談会においても今回は番町に於いての対面式の相談を中止し、電話やSNSを使った相談を実施することといたしましたのでご案内いたします。
詳細につきましては事務局までお問い合わせください。
通信手段:①電話 ②スカイプ通話 ③ライン・ビデオ通話 ④デュオ・ビデオ通話
日時:令和2年 5月29日(金) 9:30 ~21:00
30日(土) 9:30 ~21:00
31日(日) 9:30 ~18:00
(カウンセラー) 「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
《会長コラム》
いやはや大変な世の中になりました。今まで見たことも聞いたこともないようないような現象が毎日展開されています。これがパンデミックの世界、しっかりと目に焼き付いて忘れることはないでしょう。
人が動かない=金が動かない=経済が動かない。何れ終息するでしょうが、戦争と異なり物理的な破壊はないものの、人身及び人心の破壊はどこまで進むことやら。良くも悪くも世界は大きく変わらざるを得ないでしょう。私たち以上に子供たちの心境が気になります。親や家族の危機意識を身近に感じ、自身も不安でいっぱいではないでしょうか。逆に身近に迫った危機的な状況が立ち直りのキッカケになることもあるようです。子供たちの変化を注視しましょう、会話を心掛けましょう。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp