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活動内容

いっぷく会便り 2019年6月号

令和元年6月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男

日時
2019年5月12日(日)
テーマ
「引き裂かれる心」~経験者・相談員が語るひきこもりの深層~
講師
ヒューマン・スタジオ 代表(相談員)丸山 康彦氏
会場
静岡市番町市民活動センター


PDFファイル201906.pdfLinkIcon

5月例会のご報告

5月例会は、5月12日(日)静岡市番町市民活動センターで開催しました。

◆準備会 10時~
11名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り5月号」を入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせについて話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早く出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで構いませんので、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。

◆例会 13時15分~16時30分 参加者40家族46名参加(非会員2名含む)

◇連続学習会
テーマ「 引き裂かれる心 」~ 経験者・相談員が語るひきこもりの深層 ~
講師 ヒューマン・スタジオ 代表(相談員) 丸山 康彦氏

講師は、自身も高校に不登校状態で7年かけて卒業、大学卒業後にもひきこもり状態で復帰に7年かかったという経験者です。現在は神奈川県藤沢市で「ヒューマン・スタジオ」という支援機関を作り相談員をしておられます。

2002年からメールマガジン「ごかいの部屋」を執筆しており(ネットで見られます)、これらをまとめた著書「不登校・ひきこもりが終るとき」~ 体験者が当事者と家族に語る理解と対応の道しるべ ~(㈱ライフサポート社発刊)で詳しく記されております。(定価1600円税別)

まず今日の講話の概要は次のようなことを頂きました。

1、ひきこもり状態は「自己内分裂状態である」と解釈できます。
①本人の心的世界⇒自宅と社会の裂け目に落ちた心。進むも地獄、退くも地獄。常に社会のことを気にしているが、社会に向かっていく事も離れていく事もできないような状態です。
②本人が動けない心理⇒普通に生きたい・社会に戻らなければという「願い」と、自分を守り大切に生きたいという「思い」、このふたつの本心に引き裂かれている。この間で葛藤しているのです。
③適応力と自律力がセットにならない⇒発揮できない力を発揮しようとして悪循環になっています。
社会には適応しなければ・・という「適応力」私としては自分で自由に選んで判断するという「自律力」
適応力…発揮できない⇒育てるため常識的な対応・支援→本人は「周りに連れてこられた感覚」
自律力…発揮している⇒自律力を活かすため個別的な対応・支援→本人は「自分で歩く感覚」

2、対応を考えるには、引退したイチロー選手の野球人生と野球観が参考になります。
①セオリー無視からセオリーの範囲内へ(野球人生) 自分に合ったフォームで(自律)国内で新記録を打ち立て、メジャーに対応できるフォームに応用(適応)して、世界的な新記録を打ち立てた。
②積み重ねがすべて(野球観) 打率という確率の変動より、ヒットを打って積み重ねることを重視。
「小さなことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っている」と。

3、対応を考えるには、亡くなった小出監督にちなんでマラソンの伴走をイメージしてもいいです。
「マラソンの伴走」は、ひきこもり状態を完走する為に必要な家族の基本姿勢と重なります。
①「社会復帰」というゴールに向かって、安全で確実なペースを守らせる。急ぎ過ぎないことが大切です。
②心に「水分・栄養」を適度に補給する。常識・規範は脂肪のようなもので消化不良をおこします。
③一定の距離を保つ。遠すぎると放置された感覚になるし、近すぎると邪魔になるし衝突する危険がある。

4、まとめると、本人への見方や対応のあり方には、次のようなものがあります。(家族・支援者が)
①本人への見方
野球のような一発逆転の変化は期待せずに、ひとつの変化(サッカーのような攻守が頻繁に入れ替わり、ワンゴールを積み重ねる)を評価する。波の上下の連続であるのが当然と認識する。
②本人への対応の目的
すでに一般的な人生とは違う道にいるわけで、そこから再スタートする気で。
自分の現状に合った生活をしないと再スタートに至りません。自分に合ったもの(自律力)を優先して適応力は気にしないでも、あとからついてくるものと思って下さい。
「願い」と「思い」を統合し、自分らしい生き方・人生観を生み出す。確かな歩みにつながります。
③本人への対応の考え方
打率思考から安打思考へ。
安打(本人は;プラス思考・経験。家族は;適切な対応)を積み上げる考え方で。
プラスの言動・経験は状態が下がっても実績として残ります。増え続けるという積み重ねが大切。
人それぞれ動き出すのに必要な「安打数」がある。どれ位かわからないがそこまで積み上げるのです。
逆転満塁ホームラン(一発逆転の経験・対応)はありません。安打・四死球(地道な経験・対応)の積み重ねで加点する姿勢で取り組んでください。

5、質疑応答(たくさんいただきましたが一部です)
・過去の出来事にこだわりをもってその人の事を知りたい、一方で就労も考えないといけないと思い、悩み、どうしてよいか分からないと言っていますが?
重い「荷物」(過去の出来事へのこだわり)を背負って、「よろい」(就労しなければという世間の常識)を着ている。とても難しいです。まず「荷物」を少しでも軽くしてあげることが先決だと思います。こだわりに親が寄り添ってゆくことが大切ですね。それにより荷物を軽くしてあげないと動けません。
・自己肯定感について?
本人が満たされていない感情のひとつに「自己肯定感」があります。親が「それでいいんだよ」「否定することないよ」と言葉で言っても自己肯定感がよみがえることは少ないです。私は「肯定オーラ」と言っていますが、親の「態度と接し方まで」すべてで肯定しないと伝わりません。

川崎市殺傷事件についての声明文 (KHJ本部から発信されました)

2019年5月28日に川崎市で発生した事件について、被害に遭われた方、ご家族の皆様に謹んで哀悼の意を表する。

この襲撃事件は、全国の家族に「自分の子も、あのような事件を起こしてしまうのではないか」という衝撃を与えた。実際、内閣府の中高年ひきこもり実態調査のときよりも、事件の後のほうが当会への相談の問い合わせは増えている。

ただ、ひきこもり状態にある人が、このような事件を引き起こすわけではない。ひきこもる行為そのものが問題なのではない。むしろ、ひきこもる人は、職場や学校で傷つけられたり傷つけたりするのを回避した結果、他者との関係を遮断せざるを得ない状況に追いやられた人が多く、無関係な他者に対し危害を加えるような事態に至るケースは極めて稀である。

事件の背景に「ひきこもり」という単語が出てくると、メディアは「なぜここまで放置したのか」などと家族を責め立てるが、周囲が責めれば責めるほど、家族は世間の目を恐れ、相談につながれなくなり、孤立を深める。

報道によれば、親族は14回にわたって市の精神保健福祉センターに相談し、助けを求めるなど切実さを鮮明に示していたが、事件を防ぐことはできなかった。現実は、家族や本人の受け皿が十分でなく、あるいは困難な状況で放置され、適切な支援につながりにくい実態を示している。社会的に
孤立せざるをえない高齢家族(8050問題)の深刻さを映した事件と言える。

ひきこもり支援は、制度と制度の狭間に置かれがちである。行政の縦割り構造をなくし、部署を超えた多機関で情報共有して、密な連携が取れる仕組みをそれぞれの地域につくることが喫緊の課題である。ひきこもる本人や家族の心情に寄り添える相談スタッフの育成も重要だ。

家族が、藁をもつかむ気持ちで、法外なお金をかけ引き出し屋といわれる支援業者に依頼する場合もある。しかし問題解決よりも、トラブルに見舞われることが多いのが現実だ。また、自己責任を問う風潮から、周囲の理解が得られず、「安心して相談したり、家から出ていける場がない」とい
う声が当会に数多く寄せられている。大事なのは、同じ苦しみを抱えた仲間たちのいる家族会で分かち合いをしたり、本人が受け入れられる居場所とつながることだ。

今回の事件は、『ひきこもり状態だから』起きたのではない。社会の中で属する場もなく、理解者もなく、追い詰められ、社会から孤立した結果、引き起こされた事件だったのではないかと推察する。
また、同じような事件が繰り返されないためにも、今後、社会全体で、なぜこのような事件が起きたのかを考えていく必要がある。
メディアは、ひきこもる人、その家族の不安、偏見を助長するような報道は控えて頂くようお願いしたい。

2019年6月1日
特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会
共同代表 伊藤 正俊 中垣内 正和

特別学習会の報告

5月25日(土)静岡市番町市民活動センター中会議室で開催しました。
当日は、最近加入された方を中心に、13家族15名の方の参加をいただき、講師を囲む形で席につき、じっくりと話を聞き、多数の質疑応答をして勉強をさせて頂きました。
テーマは「ひきこもりからの回復に向けて 親の役割とコミュニケーション」
講師は、SCSカウンセリング研究所副代表 藤江幹子氏(KHJ千葉県「なの花会」理事長)でした。
ひきこもり状態にある本人にとっては、社会は「わが家」だけなのです。家の中に住んでいる人、それが本人にとっては社会なのです。その社会が不安定であっては元気になりません。だから親が勉強して、家の中が安定して、まずは本人にとっても「安心できる環境」にしてゆく必要があります。
そのためには親の役割が重要であり、欠かせないことです。「大切な親の姿勢」「親の無条件の肯定的関心」について具体的にお話を聞き「親が学習して力をつける」「同じ立場の人と交流する」ことで親自身が自分を肯定できるようにする。それを繰り返して行く。この「家族会」はとても良い機会なのです。
更に、親子のコミュニケ―ションの取り方についても学習させていただきました。

7月例会のお知らせ

日時 :令和元年 7月14日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F 502号室
<連続学習会テーマ>
『 本人の「生き方」を支える家族のかかわり 』
講師:KHJ全国ひきこもり家族会連合会 事務局長 上田 理香氏

※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、 初参加の方、当事者の方 無料

尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。家族、当事者の方など、どなたでも参加できます。むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とは一味違った雰囲気で、気楽なお話もできます。
また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。


《会長コラム》
私はこの数日悶々として過ごしています。川崎市での無差別殺傷事件、有ろうことか3日後には福岡市での親族殺傷事件、その翌日には東京で元農林水産事務次官の父親が息子を刺殺と続きました。
明らかに最初の事件に誘発されたものです。今後原因背景を探ると称する報道が洪水のように流れてくることでしょう。しかも事件の悲惨さからして圧倒的に「ひきこもり」叩きになることが予想されます。KHJなどが報道姿勢の自重を求める内容の声明文を出しましたが、所詮無理な話です。
私たちは覚悟しなければなりません。会員相互で声を掛け合い、臆することなく毅然として対応し学習を続けて行きましょう、子供たちにも伝わるように。


初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp

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