活動内容
いっぷく会便り 2020年9月号
令和2年9月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2020年8月9日(日)
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テーマ
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「現状打破」
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講師
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NPO法人てくてく 代表 山本 洋見氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル202009.pdf
8月例会のご報告
8月例会は、8月9日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」501会議室で開催しました。
◇準備会 10時~
12名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り8月号」(寄稿文別刷付)などを入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。
そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◇連続学習会
「 現状打破 」
講師 NPO法人てくてく 代表 山本 洋見 氏
今日のテーマは、「現状打破」です。皆さん、ドキッとするかもしれませんね。
これまで平穏に過ごしてきたのに、今のままだと何故ダメなの?、反対にこのままだと将来もずっとこのままかと不安を抱きますよね。
最善を尽くしてきた今(現状)を否定的に捉えようと言うのではありません。我が子を信じ、恐れること無く、一人の人間として接することで現状を改善して行きましょう。
1.ひきこもる人とは
自分ひとりの壁(殻)があり、自分の風(ああでもない、こうでもない、昔あんなことがあった、こんなことを言われた・・・)だけが吹き荒れる中で生きています。
壁(枠)は、家庭・家族・自分の部屋であって、その壁があることによって、安心・安全が得られるけれど不自由です。
この安心・安全の壁を取り払ったらどうなるのでしょうか。
自分に向かって吹いていた風が、壁が無くなったことにより外に向かって吹いていくのです。すると、不安だけど、自由を手に入れることが出来、そして出会いが生まれてくるのです。
2.外に向かっていく風をどうやって起こすか
窓を開けてみる
・家庭内に秘密があれば、それを全てオープンにする
・家の中への人の出入りを活発にする
・父母間に溝があるならば、溝を埋めて、笑顔、笑い声が絶えない家庭を築く
壁を取り除いてみる
親が持っている常識を子どもも持っているものです。そして、その常識で苦しんでいるのです。
・普通だったら、学校に行って卒業して、就職して、結婚して・・・・
・男はこうでなくちゃ
・女のくせに
・働かないと生きていけない
これが、実現できないがゆえにひきこもっているのです。これらの常識を止めてみるのです。
そして、財産を残さなければならないと思っている親御さんが多いのですが、いくら財産を残したとしても、ひきこもりの子どもは社会的経験値が少ないこともあり、他人の言うことをすぐに信じてしまい騙されやすいのです。あっという間にお金は無くなってしまいます。
また、ひきこもりの子どもは自己実現のためにお金を使い切ってしまう傾向もあります。
実例:かなりの財産を残して両親が他界、一人息子は相続するが、やがて親戚、セールスマンがやって来て、なんだかんだとアドバイス、そのアドバイスに従順、またギャンブルに手を出したこともあって、挙げ句の果てには土地家屋を失った上に借金が残り、今では路上生活を余儀なくされています。
親としては、財産を残すことよりも、社会資源(自立支援などの各種制度、精神障害者生活支援センターなどの各種施設、精神保健福祉センターなどの公的機関、精神科病院などの医療機関、家族会などの人的資源)に繋がる道を残すことが重要です。子どもを一人ぼっちにさせないためにもです。
親の役目
情報を仕入れておくことです。
特に、県内・県外問わずに当事者向けの良い居場所を見つけておくことです。国内留学ですね、近所にアパートを借りてその居場所に通います。知り合いが誰もいない、何よりも親がいない、当事者にとっては新天地です。そこに行った子どもは、全員が回復しています。但し、統合失調症の子どもについては、対応の仕方が全然異なるため、子どもが統合失調症でないかの見極めが大切です。
3.風が吹き始める時
壁(枠)の中では、その中に居る本人に向かって風当たりの強い風が、学校から・社会から・親から・そして自分自身から吹いてきます。ところが、これが本人一人だけになると、その風は遠く薄れていきます。すると、自分が興味を持っている物や場所や人に目が向けられるようになり、そこで出会った仲間・居場所を通じてアルバイトへと繋がって行ったりもします。
本人が抱えている学校・社会・親という問題を一旦取り払ってみるとスッキリするものです。すると、自分が抱えている問題に気が付き、自分の思いが見えてきます。その時、自分の思いを外に出す風が吹き始めるのです。
ひきこもる人に精神疾患がある場合
ひきこもっている人には結構な割合で精神疾患があるものです。ところが、親も子もなかなか障害として認めることが出来ずに抱え込んでしまい、社会資源への繋がりが遅れてしまう傾向があります。
実例を踏まえながら社会資源への結びつきがいかに大切かを学びました。
社会資源と結び付くことによって、色々な支援を受けることが可能となります。そして、本人が親以外の色んな人と出会うこととなり、自分の中でぐるぐる回っている思いが自然に晴れて行くものです。
4.ひきこもりの人の回復と自立
初期のころは、親は自責の念に駆られ、なんとかしなければと焦り、子どもの将来を危惧して色々と悩むものです。それが、
・家族会などでの勉強の積み重ね、外部の助けを借りることによって、家族だけで抱え込まない
・一人の人として接し、関係性に距離を置く(子どもの領域から外に出て見る)
・子どもの事は子どもに任せる
・親は親の人生をちゃんと生きる、それを見て子どもは楽になりエネルギーが満ちてくる
・親の仕事は、子どもの自立を見送ること(子どもを見ながらの後ずさり)
そして、
・子どもは、自分だけの事を考えればよくなり、自分の道を見つけるために歩き出す
ここからが回復の始まりです。
山本先生が代表をされている『てくてく』の活動紹介あり
てくてくファームでのノンバーバル(言葉を使わない)な働きかけです。無農薬自然栽培で野菜や花を作り出荷しています。ここでの農作業の経験が活かされて、関連業務に結びついた若者もいるそうです。
この後で、“我が家の風の起こし方”について出席者個々に各家庭での取り組みを紹介しました。
10月例会のお知らせ
日時 :令和2年10月11日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」 5F 第3会議室
連続学習会テーマ: 『 親が信じはじめたら起きること 』
講師:SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 臨床心理士 公認心理師 坂本 崇代氏
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。是非ご参加下さい。
◆新型コロナウイルス感染症の今後の状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
受付当番 : ■富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 □藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
居場所となる場所を探しています。
いっぷく会では、家族も当事者も、いつでも自由に利用できるような「居場所」として使える場所を探しています。今の財政状況ではあまり負担はできませんが、適当な場所がありましたら、是非とも役員まで情報をお寄せください。よろしくお願いします。
書籍の斡旋
下記の書籍は例会場で斡旋しています。ご希望の方はお買い求め下さい。
・親から始まるひきこもり回復 SCS副代表 桝田智彦著 2,000円
・中高年がひきこもる理由 SCS副代表 桝田智彦著 1,000円
「2019年度の連続学習会記録集」 冊子にして頒布
有料200円
「いっぷくサロン」 気軽にお出かけください(当番がいます)
毎週火・木曜日 午後1時~4時(但し、祝日、年末年始は除く)
静岡市葵区一番町50番地 静岡市番町市民活動センター2F KHJ静岡県いっぷく会 事務所内
尚、お出かけにあたりましては「マスクの着用」などお忘れなくお願いします。
ひきこもり対応の応援歌
青少年交流スペース「アンダンテ」様から提供いただきましたので順次ご紹介します。
“ 助言より 気持ちを聴いて 受け容れる それがこの場の対処の基本 ”
“ 聞くときは 耳を傾け 最後まで 子どもの気持ち 逃さずに聴く ”
“ 聴くことは 言いなりになる のではない 行為はNOと言うこともある ”
《会長コラム》
皆さんもご同様でしょうが、コロナと酷暑で外出が億劫となり確実に運動不足です。
これはイカンと今日も1時間歩いてきました。思えばこの半年世の中の風景は全てモノクロであり、感動を覚える場面も皆無で、つくづく人の心の弱さを痛感します。しかし散歩の途中に柿の木があるのですが、今まで真っ青であった柿の実の幾つかが朱く色づいており、季節の移ろいを実感しました。
皆さんも無理のない範囲内で歩き体を動かしましょう。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。