活動内容
いっぷく会便り 2019年4月号
平成31年4月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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平成31年3月10日(日)
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テーマ
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『親としての実感』
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講師
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SCSカウンセリング研究所 代表理事 桝田 宏子氏
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会場
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静岡市番町市民活動センター
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PDFファイル201904.pdf
3月例会のご報告
3月例会は、3月10日(日)静岡市番町市民活動センターで開催しました。
◆準備会 10時~12時
11名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り3月号」「4月~6月学習会案内」「4月14日総会日懇親会案内」を入れて、出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせについて話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
弁当持参ですが、例会に少し早く出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで構いませんので、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者35家族、41名(内初参加1名含む)
◇連続学習会 テーマ『 親としての実感
』
講師 SCSカウンセリング研究所 代表理事 桝田
宏子氏
講師の桝田先生は、32年余りにわたり、ひきこもり問題に取組んできて、とにかく子どもの回復には「親の取組みが絶対に必要である」と色々な事例をあげてお話しくださいました。
途中2~3名での話し合い、終盤の「全体会」を通じて、今日の話のポイントを整理してみました。
・今日の参加者にも、長く学習を続けておられる方を多く見受けますが「親の持久力」です。とても大切です。
・時期が来ると子どもの中のエネルギーが必ず動き出すのです。だから親も学習して色々取組んでみるのです。
・回復してはひきこもり、結婚して子供が生まれても回復したとは言えないことがあります。
社会に動けば(就労、結婚など)よいということとは違う何かがあるのです。
・面接に行き採用されても実際には行かない、面接に行っただけ疲れてしまうのです。
又行き始めても続かない「まだ時期が早いんだ」と思いました。
それで無理に働くのはやめようと、集まって「まずは遊ぼうよ」と、そんなことも始めました。
・先日お笑い芸人「みやぞん」がテレビに出ましたが、5人兄弟の末っ子(姉4人)お母さんは子どもを連れて離婚。そのお母さんに「怒られたことがない」と。問題があっても「私が産んだ子だもの・・」と言っていた。
この方の生き方が参考になります。親も子も、自分に正直に生きているのです。とても大切です。
・ひきこもりの青年達にとって、暮れから4月頃の時期は特に苦しいのです。社会が(周辺が)大きく動いて変化してきますから、自分が取り残されていると感じてしまう。その為に問題行動が起きやすいです。
・警察とか、隣近所などのつながりも大事です。緊急事態の場合もありますし、死なせないことも大事です。
また、緊急で措置入院させる必要がある場合などでも、家族だけでは対応できない場合がありますので、他人が関わる事も大切なことです。
・SCSでは、母親講座・父親講座も開催しており、年2回は「父母合同一日講座」も開催しています。
昨年11月に開催した講師は、ひきこもりから回復してきた経験者に話して頂きました。その中で、まず「親の取り組みが動き出すきっかけだった」と話しています。
父親は「だって自分の子だから」母親は「私が行きたくて個人面接に行っている」
又、回復までにたどってきた経験、居場所の経験、やりこんだ趣味も役に立ったとのことでした。
そして「絶対的な親の取組の上に、本人のビジョンや努力が実を結ぶ」と言っています。実体験です。
・KHJではOSD(親が死んだらどうしよう)とやっていますが、SCSではOIS「親が生きている間に信頼が」つながりますと必ず直ります。親の気持ちが伝わってゆくのです。無条件に本人を信じてサポートしましょう。
・親の役目とは「子どもの絶対的味方である。」そして「例え殺人を犯しても!」です。
皆さんも子どものことを思っているから、こうして学習会に来ているのですよね。
自分自身が、自分に正直に生きられるようになることがとても重要です。
・子どもは、ひきこもることでエネルギーが蓄えられるのです。次の行動のためになります。(無駄ではない)
・子どもが「明らかに無理難題と思われる要求をしてきた場合」皆さんどうしますか?
この時の対応はとてもとても重要です。
「うん
わかった!」この一言で引き取るのです。出来るかできないかは別にして、無条件の肯定です。
出来るかできないかは本人がわかっているのです。それを「快諾する」ことで気持ちが治まるのです。
・愛情とは、「自分自身あるいは他者の精神的成長を培うために、自己を拡げようとする意志である」
子ども(家族・他人も)の健全な成長のために、親自身が変わらなければならない(考え方・行動・経験)座学にはマンネリ化もあるので、SCSの「エンカウンター」色々と体験できて、自分の成長につながります。
・回復の過程では、サインとして以下のようなことも起きてきます。(親からの安心がつながると)
①微熱が続く(数年にわたっても、1度位は当たり前に)
②食べ物が美味しく太る、体重が増える(親に対して安心感が出てくると)
③よく眠れるようになる(長時間睡眠 10~15時間も)
④怖い夢をみる(叫んだり、自分の声で目が覚めたり)
⑤高熱が出る(知恵熱に近い 1~2日)
これは身体の掃除になります。
こんな症状が出たら、回復の過程にあると思って下さい。よい事なのです。
・親は子どもの状態を常に観察して、それがどのような状態で、どのように対応する必要があるかを学んで適切に対応する。学習会、講座への参加、個別のカウンセリングの利用もあります。
親だから出来ることでもありますし、親でなければできないことでもあります。続けてまいりましょう。
内閣府の40歳以上ひきこもり実態調査に対する見解
NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会代表 平成31年3月29日
今回の調査では、40歳代以上においても、これだけ数多くのひきこもる当事者がいることが明らかになったことがポイントだ。これまでも私たちの中では、40歳代も数多くいることはわかってはいたものの、それを裏付ける数字が国のエビデンスとして初めて示され、客観的に受け止めることができた。
また、専業主婦や家事手伝いと言われてきた中にも、ひきこもっている人が一定数、存在していることがわかり、男性だけにある問題ではなく、見えなかったひきこもり層も新たに顕在化したと思う。
これだけたくさんの人たちが長期化している要因や背景についても、なぜ本人や家族が相談につながれなかったのか、せっかく相談に行っても適切な見立てをしてもらえず、支援の対象から落とされる人がたくさんいるのはなぜなのか、皆できちんと検証していかなければいけない。
ひきこもり状態になったきっかけは「退職したこと」が最も多かったことについては、何らかの理由で職場から離れた人の中に、多くの方が社会に戻ることができずにひきこもる状態になっている現実を見ても、昨今、職場環境が劇的に変わってしまったことが考えられる。
有効求人倍率が上がって雇用は良くなっていると報じられているが、コスト競争に追われる職場環境の「働きづらさ」は改善されたわけではない。職場での不安定な待遇やハラスメント、いじめ、恐怖体験などによるトラウマで、就労するのが難しいという現実もある。
今の社会構造では、1度レールから外れてしまうと、なかなか元のレールに戻ることができない。復帰したいと思っても、自分の望むタイミングでサポートを受けられるような選択肢がなく、画一的な支援しか用意されていなかった。
社会に戻るというと、不登校なら「学校」、学校を出てからのひきこもり状態なら「職場」という狭い選択肢しかない。それぞれの状況や特性に合わせた、もっと多様な生き方が保障される社会を準備しなければいけないと思う。
雇用されることが前提でつくられた従来の制度設計を見直し、福祉や教育も含め、人それぞれが生きていくために必要なサポートを受けられる仕組みづくりを皆で考えていかなければいけない。これからの支援の施策をつくるにあたっては、家族や本人を交えた協議の場を設けて頂きたい。
国においては、この調査結果をすべての自治体の相談窓口や支援部所に下ろして頂き、ひきこもる人の気持ちや特性を理解できるスタッフの配置や、理解を深めるための研修によって人材を育成し、細やかな支援をすると共に、ひきこもり対策推進事業の着実な実施により、障害の有無や年齢、性別に関わらず、すべての国民の誰もが生きやすい社会の実現に努めて頂きたい。
5月例会のお知らせ
日時 :令和元年 5月12日(日) 13:15 ~
16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
<連続学習会テーマ>『 引き裂かれる心 』~
経験者相談員が語るひきこもりの深層 ~
講師 :ヒューマン・スタジオ 代表 丸山 康彦氏
*経験者
※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、 初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。家族、当事者の方など、どなたでも参加できます。むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とは一味違った雰囲気で、気楽なお話もできます。
また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
書籍紹介
「親から始まるひきこもり回復~心理学が導く奇跡を起こす5つのプロセス~」
著者;SCSカウンセリング研究所副代表、臨床心理士
桝田智彦氏
出版社 株式会社ハート出版
定価2000円(税別)2019年3月28日出版
筆者からのメッセージ
「どうすれば、わが子はひきこもりから回復しますか?」とよく質問頂きます。
そして「その後ろにいるひきこもり状態に苦しんでいるお子さんの姿」を想像すると胸が苦しくなることがあります。私も人生に絶望したことがあるので尚更なのかも知れません。
何よりも大切なのは「わが子を回復へ動かす」のではなく「わが子が回復へ動きたくなる欲求を育んでいく」ことです。
(途中省略)
今回は多くの方に役立つように、回復までの道のりを5つのプロセスに分け、具体的な取り組み方・考え方・親の在り方・会話方法などを事例を挟みながら書かせていただきました。
親が「正しい方法を、正しい順番で、継続すれば」、ひきこもりをはじめとする心の問題は必ず回復していきます。そして、人生を取り戻し、本来持っていた生きる力を取り戻します。
当書籍を通して、一人でも多くのひきこもる青年が「幸せを感じることのできる人生」を取り戻すことを祈っております。
桝田 智彦
希望者はまとめて購入しますので、事務局(054-245-0766中津川)まで申し込み下さい。
《会長コラム》
今年も桜を見ることができました。しかしながら、桜を愛でる心境には程遠いのが現実です。皆さんとて同様でありましょう。毎朝の散歩では鶯が出迎えてくれます。もうひと月前からで啼き方も上手くなってきました。来月頃からは恋の季節が始まり啼き方も変わってきます。季節は確実に巡り、私たちを促しているようです。促されるまでもなく外へ出ましょう、そして変化を身に浴びましょう。遅々として見えなくても全てが確実に変化しているはずです。私は自分にそう言い聞かせております。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp