活動内容
いっぷく会便り 2020年12月号
令和2年12月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2020年11月8日(日)
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テーマ
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「負の世代間連鎖を阻止する」
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講師
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人間関係と心の相談舎 代表 菊池恒氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル202012.pdf
11月例会のご報告
11月例会は、11月8日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」2F 大会議室で開催しました。
◇準備会 10時~
15名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り11月号」「忘年会案内」を入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。そして最近は、ミニ学習会も行っています。
あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者29 家族35名参加でした。
◇連続学習会
テーマ「負の世代間連鎖を阻止する」
講師 人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
今日の学習会に参加して習得したことが、そのままご自身の家庭で役に立つかどうか、慎重に考えることが必要です。「何かヒントを得る」「気づきを得る」ということに役立てていただければと思います。
ひきこもり、不登校に対して特効薬はないと考えますので、他の家ではよかったことが、わが家ではできないことも多々あります。いろいろな学習をして「自分の家ではどのように取組んだらよいか」というように身につけていっていただければ幸いです。
1、世代間連鎖
①親から代々受け継がれしもの
ひきこもりは、世代間連鎖をしているものがあるのではないかと考えます。
これまでに子どもは親をみて感じていることが多くあるはずです。「文句ばかり言う」「何も話さない」「押し付ける」などの「親の癖」。子どもはそれを日常接していて疑問に感じ「不信」に思っているかもしれません。
親の「口癖」「考え方」「やり方」「行動パターン」などを子どもに指摘された時には、それに対して向き合わざるを得ないわけです。「さて、私(親自身)の癖はどこからきているのだろうか?」と…。
親自身が考えていかなければなりません。そして紐解きをしてゆくと、大体はその上の世代(親の親)から受け継いできていることが多いです。
自分の癖と向き合ってゆくということは、その癖はどこからきているのか?「自分の内面と向き合う」ということ。それは親自身が、自分の親と向き合ってゆくということにもなります。だから世代間連鎖してきたということを自覚することが必要なのです。
そして、「なぜ負の連鎖か?」 単純に言えば「その生き方に生きづらさを抱えている」からです。
そして今は、子ども自身が非常に生きづらさを抱えているからです。
②ゆく手を阻むもの
その最たるものが「精神的なもの、目に見えないもの、形のないコミュニケーション」であり、だから自分の中の「価値観」「考え方」「口癖」などがどこからきているのか、振り返って見ることが必須です。
どんな感情があるから動けなくなったり、ロックされてしまうのか?
それは「恐怖と不安」の二つです。これが邪魔します。「僕にはできないかもしれない(不安)」「そんなこと無理だ(恐怖)」というようなことです。
そして、特にコミュニケーションでは「マイナス的なものほど、早くしかもよく伝わる」ということを知っておいていただきたいのです。
子どもからすれば、親が「やる気がありそうか」「信用できそうか」「安全かどうか」大体は瞬間的にわかります。
2、理解するためのヒント
①伝えたいこと/すれ違う思い~ある少年の手紙と父の手紙
「ある少年が父親に向けて書いた手紙」と、それに対して「父親から子どもにあてた手紙」を聞いてみてください。話すことに長けていなくても、自分の気持ちを文章では記すことができることは多くあります。子どもは「分かってくれ」と思いの丈を書いているのに、父親は「こうあるべきだ」という正論で書いてあり、お互いにすれ違っています。これで子どもは「不安と恐怖」の解消ができるものでしょうか?
正論は子どもにとって、わかっていても重圧を感じます。正論を振りかざすこと自体が、実は大きなミスであることも多いのです。
②存在を賭ける意味
そこで「意味」と「意義」ということについて考えてみましょう。
正論はほとんど「意義」の世界です。「意味」とは「本人にとって何が重要か」ということです。
例えば、社会的にはとても「意義」があることとしても、個人的に「意味」がなければ、やる価値はなくなってしまいます。大人は大体「意義」でものを言います。子どもは「意味」で捉えるのです。
理解するヒントは、単純に子どもの「好きな食べ物」「好きな飲み物」「好きな本・アニメ・音楽」?
その子の興味・関心をもっているものを親も体験してみて下さい。一番手っ取り早いです。
きっと意味が分かるものと思います。
3、本心の声が聞こえるか
①自分自身の真意、気づき~自覚と洞察
カウンセリングでは、子どもの言っていることを「意訳」してみることをよくお願いしています。
子どもが「どういう意味で言ったのか?」皆目分からないという言うこともあるかもしれませんが、そういう時には意訳して下さい。
ワークとして「親自身が言われて嬉しかった言葉」「親自身の座右の銘」「親自身が今言われたい言葉」これらを書き出してみましょう。きっと自分の内面の振り返りに役立つと思います。
そして、これを子どもが言っていると想定して意訳してみて下さい。何を言いたいのか?
②相手の真意を想像して意訳する
人間の「問い方」には種類があります。
①日常的に問う ②科学的に問う ③哲学的に問う
何を伝えたいのか、何を言いたいのかを考えながら会話する癖をつけておかないと気持ちが分かりません。本心の声が聞こえますか? 子どもは必ずしも本心を言ってくれているとは限りません。
言葉尻とか、表現の仕方、表情、動作とからアンテナを張って推し量ってゆくしかないのです。
重要視するキーワードは、「自然体かどうか」自然体でできていない時は、きっと何か理由があります。
それが何であるのか、その気持ちを想像するということです。
是非ともそういう意識で段階を踏んで取り組んでみていただければ幸いです。
今日はこのように学習をしました。ありがとうございました。 以上
1月例会のお知らせ
日時 :令和3年1月10日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」 5F 501会議室
連続学習会テーマ: 『 就労は、“あせらず、せかさず、ためらわず” 』
講師:SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 長島 俊行氏
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、初参加の方、当事者の方 無料
尚、当日10時より同場所で準備会を行っていますので。お気軽に是非ご参加下さい。
◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
受付当番 : □富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 ■藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
「いっぷくサロン」 気軽にお出かけください(当番がいます)
毎週火・木曜日 午後1時~4時(但し、祝日、年末年始は除く)
静岡市葵区一番町50番地 静岡市番町市民活動センター2F KHJ静岡県いっぷく会 事務所内
尚、お出かけにあたりましては「マスクの着用」などお忘れなくお願いします。
こんな事がありました(N)
先日、小さな消え入るような声で女性の方から電話をいただきました。
「ひきこもりの家族会ですか? 私は親ではなく、ひきこもりの本人ですが、あの~ゴミがたまってしまって出せないのですが・・・」
私は一瞬「え~?」と思いました。そして「おひとりでお住まいですか?」と話を聞いていくと、お母さんと住んでいたけれど、母親は今介護施設に入っているらしい。ほかに同居している人もいるのですが・・という事なので、ではその方にお願いしたらと言っても「ええ・・」と心もとない声。
「どちらにお住まいですか?」と聞くと「埼玉県です」
「あら、静岡県の人じゃないのですか」さてどうしたらいいのだろう?
と思いながら20分余りお話しして、これは地元の役所(福祉関係の窓口)につなげるしかないのではないかと思い、「市役所の福祉関係の窓口にお電話をして、今私に話してくださったことを言ってくださいよ」以前イヤな思いもなさったようですが「このごろは福祉関係の窓口の方ならあなたのお話を丁寧に聞いてくれると思いますよ。必ず電話をしてくださいね」と電話を切りました。
これはゴミだけの問題ではなくこの方の生活全般(食事も含めて)がどうなっているのだろうとずっと気になっています。
本当に小さな声で聞き取れないところもあり、こんな対処しか出来ませんでしたが、地域で支援を求めない人や、支援の求め方が分からないなどの当事者が私達の周りでもこんな風に暮らしているひきこもりの方がいるのではないかと非常に心配になりました。
桝田智彦氏著 「親から始まる ひきこもり回復」から抜粋(84頁)
「07 親の正論はいらない ~ 百害あって一利なし ~ 」
子どもは既に分かっている
わが子がひきこもり状態にある場合、多くの家庭で行われがちなことがあります。
それは、「勉強しないのならば、働け」「親もあと数年で年金生活になるのだから、自分の人生くらいなんとかしろ」などの親の正論や社会の常識をわが子に延々と言って聞かせる、就労・就学していないことを吊るし上げるようにして責めることです。
多くの親御さんがそのようにしてしまう、そうせざるを得ないお気持ちは分かる気もします。
高度成長期を担ってきた親御さんからすれば、嫌でも頑張りながら、辛くても堪えつつ、がむしゃらに前を向いて生きて来たご経験が大小異なれあるのだと思います。その経験が大きければなおのこと、血を分けたわが子が同じように頑張れないのが歯がゆいのだと思います。
こういった経験をされ、前述した思いを抱いてしまう親御さんは、82ページの「ひきこもりビリーフ」の項目を今一度読み返してみてほしいのです。ひきこもりビリーフの項目が浮き彫りにしているのは、ひきこもる青年たちは何が社会的に望ましいか、どういう姿が正しいか、親がどういうことを望んでいるのか、実年齢に対して社会が何を望んでいるのかを、しっかりすぎるほど分かっているという事実です。
すなわち、親が正論として言いたいことは、言われなくても既に彼らは分かっているのです。
ひきこもる青年たちは、そういった社会的に望ましい行動ができていないし、できる気がしていない、自分に誇るべき現実がないことが何よりも苦しいのです。
事実、「これではいけない、こんな自分ではいけないと思っていた」「親に申し訳なくて、でもできなくて、正論を言われると逃げていた」「親の言う通り勉強してきたが、不登校からひきこもりになってしまい、親の正論の何を信じればよいというのだという気持ちであった」「親に正論を言われる度に孤独と不安が襲ってきて、だから酩酊するまでお酒を呑むしかできなかった・・・」など、回復に向かった青年たちが話してくれています。
これらのことからも、わが子に対して親の正論を説くことは、傷に塩を塗り込んでいるようなものであり、回復とは真逆の行いであると気がつくことが最初の一歩なのです。
また、口をついて正論が出そうなときは、回復を望む親自身が、回復の足を引っ張っていると理解されたほうが賢明といえるでしょう。
《会長コラム》
私たち戦後世代は、幸運にも戦争体験をせずに過ごせるのかと思いきやの新型コロナ騒動。もしこの世に神というものが存在するとしたら、これは神のなせる業かも。人類は過去2度の世界大戦を仕出かし、凄惨な殺し合いをしてきました。もし3度目の大戦があるとすれば、今や人類を何回も滅亡させることができるほどの軍事兵器を手にしている人類は、愚かにも突き進んでしまうかもしれません。そこで神はパンデミックを仕掛けて警鐘を鳴らした・・・・・余りにも突飛な見方でしょうか。「ひきこもり」もどこかからの警鐘と思えてなりません。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
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