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活動内容

いっぷく会便り 2017年12月号

平成29年12月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男

日時
平成29年11月12日(日)
テーマ
「ひきこもりを多角的に捉えてみる」
講師
人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏
会場
静岡県男女共同参画センター「あざれあ」


PDFファイル201712.pdfLinkIcon

~ KHJ全国ひきこもり家族会連合会・実践交流研修会 ~ に参加して

第12回KHJ全国大会は、10月28日(土)~29日(日)の2日間、東京にて大会テーマ《 つながろう~生き方の多様性を認められる明日(地域社会)をめざして 》として開催されました。1日目は、大田区産業プラザPIOで行政説明、基調講演、全体シンポジウムが、2日目は、明治大学アカデミーコモンでテーマ別分科会交流会が行われました。いっぷく会からは、中村会長、小松が両日、中谷、中津川、星野が分科会に参加しました。全国各地の支部の方たち、行政を含む関連機関の方たち、報道関係の方たちなど300名を超える参加者で、1日目の様子は当日のNHK夜のニュースで放送されるほどの、現代社会の抱える大きな課題に向けた大変意義のある大会でした。

行政説明は、小野博史氏(厚生労働省社会・援護局 地域福祉課)による「国におけるひきこもり施策」、基調講演は、境泉洋氏(徳島大学大学院准教授 社会産業理工学研究部)、大橋史信氏(全国大会in東京実行委員長)による「KHJのこれまでの歩みとこれからの展望」、全体シンポジウムは、「多様な生き方を認め合う明日(地域社会づくり)のために私たちは何をしたいのか」、会場全体でこれからの実践に向けて共に考えました。

テーマ別分科会交流会は、当事者発信、地域連携、長期高齢化を考える青年期から壮年期の支援のあり方、発達障害、家族発信、ピアサポート、居場所・中間的就労、兄弟姉妹の8テーマ毎に3セッションが行われました。

第12回KHJ全国大会 in 東京 大会宣言

  1. 私たちは、ひきこもり当事者(ひきこもっている本人、親、兄弟姉妹等の家族)が幸せに生きていくために、継続して創意工夫をこらして活動することを決意する。
  2. 私たちは、全国組織を有する唯一のひきこもり当事者団体「ひきこもり家族会」として、世代を越えて共に連携・協動し、全国の市町村単位・地域単位にまで活動が広がることを目指す。
  3. 私たちは、ひきこもっている本人とその家族が安心して暮らしていくために、偏見と排除のない包摂社会と、生き方の多様性を認められる地域社会づくりを目指す。
  4. 私たちは、ひきこもっている本人とその家族が本当に必要としている地域資源の創出のために、本人及び家族の意見を各市町村単位で掬いあげていけるような仕組みづくりを求める。
  5. 私たちは、ひきこもり支援の年齢枠が、全国で撤廃されることを求める。
  6. 私たちは、以上の項目を幅広く、産・官・民・学が協働することによって、ひきこもる必要のない社会、誰もが自分らしく安心して暮らせる共生社会の実現を目指す。

(次回平成30年度の開催地は広島です。)     (小松 記)

11月例会のご報告

11月例会は、11月12日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」で開催しました。

◆準備会 10時~
13名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り11月号」「12月会員交流会案内」「12月忘年会案内」「11月個別相談会案内」を入れて、参加者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そして、いくつかの報告事項、打ち合わせ事項について話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。場所も例会場と同じですので、弁当持参ですが、例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで結構ですから、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。

◆例会 13時15分~16時30分 参加者35名(初参加2名、非会員2名、当事者1名含む)
◇会長挨拶と連絡事項
中村会長;出席のお礼と、10月のKHJ全国大会への出席の感想などを話されました。今回の特徴は、ひきこもりの当事者、経験者の方々を前面に押し出して、彼らに行動、活動させる場面が結構見られました。これもひとつの方向性と感じました。来年は広島での開催予定です。
連絡事項;いくつかの連絡事項をしました。おおよそは便りに書いてある事項です。KHJ本部からアンケートの依頼が来ました。厚労省の助成金で実施するもので、今後の行政の役立てる資料にもなりますので、会員全部の方に、本人用、家族用をお渡ししますので、できるだけご協力をお願いします。(封筒が入っていますので、自宅から直接返信してください。)個別相談会、2か月に1回やっていますが、11月25日~26日の予定の枠が満員になりましたので検討した結果、27日午前中まで延ばして2枠増やしました。新規の方も希望ありましたら是非申込み下さい。

◇11月連続学習会
テーマ「ひきこもりを多角的に捉えてみる」
講師 人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒氏

今日の学習会は、今まで思っていた概念を外すことと、コミュニケーションの実践について考えて行きましょう。今まで見ていた一つの視点だけでは行き詰まりますので、それを突破するには2つ目、3つ目、あるいは枠を壊す、反対側から見てみるなどを考えてみたいと思います。

まず「凝り固まった感覚・思考・価値観を柔らかくして豊かな対応力をつける」必要があります。
①先入観とイメージ ②人との違い ③物事の裏と表、錯覚、思い込み
「木村医師は世界屈指の外科医・・・・」の話を例にして、普段の中でも、思い込みをしてコミュニケーションのズレが生じることが多いです。これは耳の癖ですね。頭を柔らかくする、どう自分が思ったか、どう受取ったか、先入観に気づくことが大切です。
同じ画像を見て、見る角度(右から、左から)により捉え方が違うこともあります。視覚の癖ですね。
初めてあった人に、笑っていたか困っていたか、表情で判断する場合は逆に見えますね。(出典/神々の沈黙、ジュリアンジェインズ) また、壺に見えるか向かい合った顔か?これも白と黒のどちらを見るかによって全く別のものになります。(ルビンの壺)。
「コップに半分の水がある」この事実を「半分しかない」「半分もある」「半分入っている」という見方で人間は期待を持っているので、こういう言葉を使って無意識に価値観を入れています。
更に「プラシーボ効果」と言われる現象では、その気になったら人間は自分を騙せるのです。
(偽薬でも効果があると思えば、本当に効果が出ると言われます)
そして、周囲からの吹聴とか示唆によって、自らの中に本物を作り出してしまう可能性があります。
しかもそのつけどころが「不安」と「恐怖」です。人間は不安と恐怖を覚えると自分を追い込みます。

1、ひきこもりを多角的に見る視点を増やす

  1. 社会的に見てみると…、その他の視点
    事象とか現象とかで、ひきこもりに対しても「肯定的な見方」「否定的な見方」があります。
    ひきこもりは、「困ったものですね」という社会的視点が多くありますが、心理的視点、哲学的視点、
    生物的視点。それに精神疾患、精神医療というのが入ってきますね。
  2. 「意味」を考えると見えてくるもの/「意義」と違うもの
    「意味」と「意義」は違います。「意味」は極めて個人的な中にあるものです。ですからこれをなくしてしまうと気持が途切れてしまいます。逆に、辛い仕事でも自分に「意味」を感じれば続けられるものです。一方「意義」というのは極めて社会的なものです。だから自分の中で「意味」を見失ってしまったことは、どんなに社会的に「意義」がある事でも人間は力を失っていきます。
    そういったことがありますので、子どもたちの中にも、当然その全然違う感覚はあるはずです。
  3. 発想の転換が必要な時
    まさに行き詰まっている時、一つの見方によって「もう限界だよ」という時に、別の見方に変えてみる。その中でのベースになるのが「無条件の肯定的関心」です。
  4. 無条件の肯定的関心/unconditional positive regard
    「無条件の肯定的関心」はカウンセリングの専門用語として使われていますが、「乳児に接するよ
    うに推し量ってゆく」というような感じで対応するということです。
    そういうことからすると、いわゆる「関心」については「配慮」「敬意」「尊重」の方がわかりやすいと思います。これをしていったときに「安心」につながるのです。難しいことですが、とても大事なことです。また、今のことだけでなく、過去のことについても話が出てきますが「この子にとってはそうだったんだ」と推し量ってゆくことは、今からでも必要ですね。

2、コミュニケーション実践編

  1. 事実判断と価値判断
    人間は「会話をする」「コミュニケーションする」わけですが、それには2つの種類があります。
    「事実判断」は、客観的なもので、誰が見ても同じ、同一判断になるものです。
    「価値判断」は、きわめて主観的ものです。だから時間、地点によって判断とか見解が人によって変わってきます。自分の中でも時間によって変わってきたりします。
    私達は、日常これらをきわめてぐちゃぐちゃに使っていますね。またグレーゾーンのこともあります。
    ぐちゃぐちゃに使っているので、感情的にもなりやすいし、すれ違いが生じたりします。
    事実判断の会話の時に、価値判断の会話で返してしまうことも多々あります。又、親の方が先を見越して先走ってしまうこともありますね。親は先のことを勝手に見越して心配して言ってしまう。
    すると「だから何?」「何が言いたいの?」「僕それが嫌なんだよ」ということになったりします。
    また、ラジオにAM,FM放送や周波数があるように、子どもの言葉を受ける親は、広く受け止められるよう用意しておかないといけません。子どもが発するものは同じパターンばかりではないということです。
  2. 気づいたことの事実を表現する
    コミュニケーションが全くない場合、どこからはじめますか? まず「あいさつ」から始めて下さい。
    これは初歩です。親は今まで価値判断の会話を投げてきています。これを事実判断の会話に切り替えてゆく必要があります。それは「気づいたことだけをシンプルに伝える」ということです。
    コップの水が「半分しかない」というのは価値判断が入っています。プラスだから良いとは限りません。「すごいね」などの言葉はマイナスよりはプラスの方が良いが、価値判断の入った声かけはなるべくしない。朝起きたら「おはよう」「起きたね」これは事実判断の会話ですね。「昨日より早いね」は価値判断です。
  3. 発せられた言葉の意味と心理を想像せよ
    発せられた言葉により、子どもの内面とか、言いたいこととか、状態とか、とにかく子の気持をイメージする。想像する。「何故そう言った?」「何故それを伝えてきた?」「どういう気持ちだろう?」
    それを想像するということは、先ほどの周波数帯を増やすということです。そして価値判断は、常に変わってゆく可能性があると承知しておかないといけません。
    今は「そう思っている」「そう言っている」「そう感じている」裏を返すと明日は変わるかもしれません。そこで子の言うことに「一喜一憂しない」ということが大切なことです。
  4. コミュニケーションは生もの、そこのある唯一のマニュアル
    生ものということは「その場で処理しなければならないことは、その場で処理しないといけない」と。
    言ってはいけないことを言ってしまうこともありますね。それが「生もの」ということです。
    だから、自分が言ってしまったことにも「一喜一憂しない」で下さい。「今日の答え方は良くなかったかな?」「次はこうしよう」と 楽に考えて下さい。やり取りの90%以上は失敗です。一喜一憂していたらとても対応できません。マニュアルはありません。マニュアルが無いというのが唯一のマニュアルです。その場、その瞬間で向き合っているしかないのです。ただ、親が言葉かけをして、子どもがどのように反応(表情・言葉・雰囲気)をしてきたか・・・それを記憶しておく、それがマニュアルになります。その繰り返しで「親がちゃんと話を聞いてくれている」「向き合ってくれている」と思えることが大切です。

その後、歌「負けるな小さきものよ」を紹介。彼らの心の葛藤をどのように感ずるか・・・です。
書籍「孤独論 -逃げよ、生きよ-」芥川賞受賞作家 田中慎弥著 紹介。

概略このような学習をさせて頂きました。ありがとうございました。

アンケートにご協力ください。

KHJ本部では、2004年より毎年全国調査を実施しております。
これは厚生労働省の助成を受けて行うもので、結果はひきこもりの理解と支援に、そして行政にも寄与するものです。できるだけ多くの方のご協力をお願いします。調査は、家族には「家族用」ひきこもり本人及び経験者には「本人用」があります。会員の皆さんには各1部配布します。(11月例会出席者には当日配布、欠席者には12月の便りに同封します)それぞれご記入いただいて、添付の返信用封筒で1月末までに返送して下さい。(郵便料受取人払です)よろしくご協力をお願いします。

1月例会のお知らせ

日時 :平成30年1月14日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
<連続学習会テーマ> 『“働かねば”と“働きたい”は別物 』
(講師)SCSカウンセリング研究所 カウンセラー 三宅 正之氏

※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>今年度も赤い羽根共同募金からの助成金交付が決定しましたので1家族 500円、 初参加の方および当事者の方 無料

尚、当日10時より準備会を同場所で行っています、是非、皆さんのご参加をお待ちしています。


《会長コラム》
私は、競艇というものに行ったことはありませんが、つい最近の記事から得た豆知識。
ボートレースでは選手は一列に並んでスタートしない。岸壁ぎりぎりまでいったん下がり、加速するのもいれば、ラインぎりぎりの所を選ぶのもいる。好位置は自分なりに工夫して決めるのだ。
人生の出発点は自分では選べないが、そのバラバラの位置からどう工夫して進んでいくかはボートに学べる。~鷲田清一「折々のことば」より~
私などはもうゴール寸前であるから如何ともしがたいが、子供たちはどう進んでいくのであろうか? 決してレースから降りたのではないはずである。


初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川

連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。

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