活動内容
いっぷく会便り 2021年8月号
令和3年8月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2021年7月11日(日)
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テーマ
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「私のひきこもり体験」
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講師
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元ひきこもり当事者 橋本 太氏
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会場
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静岡市番町市民活動センター
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PDFファイル202108.pdf
7月例会のご報告
7月例会は、7月11日(日)静岡市番町市民活動センター大会議室で開催しました。
◇準備会 10時~
14名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り7月号」「8月会員交流会案内」などを入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、各種情報などについて話し合いました。あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13:15~16:30 参加者26家族30名(内初参加2名含む)(オンライン参加6家族)
◇連続学習会 テーマ「 私のひきこもり体験 」
講師 元ひきこもり当事者 橋本 太氏
(事務局より;私たちが橋本さんを知ったのは、いっぷく会主催の講演会「こもりびとを語る」(3月27日開催、講師;ジャーナリスト池上正樹氏)に出席していただいたことがきっかけでした。
今回、「ひきこもり体験」をお話いただけないかとお願いした処、快くお引き受けいただきました。
自らの、ひきこもりのはじめから現在に至るまでの状況を赤裸々にお話しくださり、質疑応答のコーナーではたくさんの質問に率直にお答えいただきました。また「いっぷく会便り」の6月号で掲載しましたが、中日新聞に投稿した「ひきこもり
心の傷ゆえ」では自らの体験を発信しておられます。このように「自らの体験を発信することで、ひきこもりで苦しんでいる当事者や家族の方々のお役に立てば幸いです」と言っていただいています。
質疑応答も含めて3時間にわたりお話いただきましたが、ここではその一部を紹介しました。)
1,ひきこもりはじめてから・・・
高校2年生(17歳)の時に、身近の人とのトラブル(行き違い)で自信を失い、結構良かった学業成績も急激に低下し、二浪して大学進学したが、就職活動ができずにひきこもりの生活に入ってしまった。
今は障害者の認定を受けて、年金と就労による収入で生活をしています。
幼少期から良い子で、成績も良かった。どちらかというと、自分のやりたいことは隠しながら、親には嫌われないようにしていたように思います。
ひきこもりの初めころ、家業の経営がバブルの崩壊時期と重なり行き詰まり、倒産してしまいました。
父親はメンツにこだわるような人で、それらもあって家庭内もぎくしゃくした状態となり、カッとなった時に父親に暴力をふるい、更にそれを繰り返すような状態にまでなってしまいました。
父親が素直に、困っていることを「困っている」「助けて」を求めていてくれたら違っていたのではないかと思います。
その後、父親はガンを患い、手術をしたが残念ながらそれが原因で死去することになってしまいました。
2,支援機関の利用から・・・
父の死後に、弟が支援機関の利用をすすめてくれた。浜松市の支援センターのカウンセリングを利用することになった。担当していただいた人がとても相性が良くて、同感して、自らの苦労話などもしてくれたので積極的に利用するようになり、居場所にも通い色々と活用を広げさせて頂くようになりました。
そんな頃に、厚労省の事業で「ピアサポーター養成研修」が開催され推薦頂き参加することになり、大学で学んだ「心理学」が役立つと実感し、皆さんに自分のことを話す機会があり、聞いて下さった方に「役立っているんだ」と実感して、手詰り状態からの突破口になったように思います。
神戸での集会では、ピンチヒッターでお話しする機会があり「ひきこもりUX会議」の林恭子さんにもつながり、段々自信もつき、苦しんでいるご家族のお役に少しでも立てれば・・という気持ちになっています。もともと絵や文章を書くのが好きだったので、何か役立ちたいとの思いから、色々な情報をまとめた「勝手に橋本新聞
不定期」を発行しはじめ、今年は150号を超えました。
3,就労へ
自信もついてきてようやく就労の訓練に向かうことになり、しっかりした給料は出ないが、一日3時間位一週間2日位で仕事の練習をはじめることから、色々な仕事の経験を重ねていきました。
面白かったことも多くありましたが、上手くできず叱られることもありました。
その時期に、身体的な問題として、発達障害が疑われることになり病名をつける方が良かろうということで病名がつけられることになり、障害者枠での就労とか福祉諸制度で助かることが出てきました。
今は、介護が必要になってきた母と二人で、就労による収入と年金で生活しています。
父親にはできなかったが、せめて母親にはやってあげたいとの思いで、良い関係になってきたと思います。
4,質疑応答から・・・
・居場所など今後のことに関して・・・行くか行かないかは本人が決めることです。それは認めてやってほしいと思います。例え100回言って100回行かなくても。ただ情報は強要しない程度に、伝え方も工夫して。それとなくチラシを置いておくとかもありですね。
・どんな父親であったら?・・父親もメンツにこだわっていたので自分の弱さを見せられなかったように思います。私自身も働いていないので父親に要求することは理不尽なことなのです。
お互いに素直に弱さを見せられたら違っていたものと思います。
・いじめられた相手のことが頭から離れないと言っているが?・・自分も同じようなことがあったが、相手に認めさせるよりも気分の良いものを重ねて行くと良いのではないでしょうか。
支援者、居場所などで新しく知り合った人など、人間関係も趣味も、新しい楽しいことを見つけて、重ねてゆくことで以前のことは薄まってくるように思います。
・就労について・・・ひきこもりから就労にはハードルが高いと思います。心の傷を癒すためにカウンセリング、居場所へ参加して、大丈夫となってはじめて就労の窓口へ向かうような、一段階づつの方が良いと思います。安心させることが大事です。
中間的就労など小さな成功を褒めて、積み上げながら取り組んだら良いように思います。
・行政機関、カウンセリングの利用などで・・・人には相性もあるし、それぞれ得意分野もあります。
一か所の窓口ですべてを解決しようというのは無理があると思います。担当者だけでなく色々な人に声かけをしてみたら解決するということもありますので、少しづつ幅を広げられれば良いと思います。
・完璧を求めている・・・自分も他の人が完璧に見えたりして、そうでないといけないと思い苦しかった。
「失敗してもいいんだ」と思ったときに立ち直りができるようになりました。ハードルが下がってね。
褒めることも、大きなことだけでなく、小さなことでもできたことに褒めるといいですね。
また、人は誰でも失敗を重ねながらやっているんだと。まあまあの存在と思うようになったら、助けてくれる人が増えたように思います。プライド、完璧は敵をつくるのではないでしょうか。
概略こんなことをお話いただきました。
記事はすべて事務局での責任で書かせていただきましたのでご了承ください。
9月例会のお知らせ
日時 :令和3年9月12日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F 第3会議室
連続学習会テーマ: 『 親も子も、他者基準から自分基準に 』
講師:SCSカウンセリング研究所 副代表理事 KHJ千葉県なの花会 理事長 藤江 幹子氏
尚、当日は10時より同場所で準備会を行っています。配布物の準備やら、話し合いを行ったりしていますので是非お出かけください。例会時とは一味違った雰囲気で、気軽な話もできます。皆さんの参加をお待ちしています。
◆新型コロナの状況により、変更せざるを得ない場合がありますのでお含みおき下さい。
◆今回の会場はネット環境未整備のためオンラインでの参加ができません。ご了承下さい。
受付当番 : ■富士市以東 □静岡市駿河区、清水区 □静岡市葵区 □藤枝・焼津市以西
■の地区の方よろしくお願いします。
KHJ静岡県いっぷく会【発足の背景】
KHJ静岡県いっぷく会は、ひきこもりの子どもを持つ親たちの協力で2002年5月に設立されました。
みなさんの記憶に新しい事と思いますが、2019年にひきこもりに関与した衝撃的な事件がふたつ立て続けに起きました。5月末、川崎市での通り魔殺傷事件。朝スクールバスを待っていた小学生や保護者が男に手あたり次第に刺された(2名死亡重軽傷者18名)という事件で、直後に自殺した加害者は長年ひきこもっていたといいます。その3日後、東京都練馬区で元農水省事務次官が長男(当時44歳)を殺害したという事件。長男もまた、不登校から長年ひきこもっていた青年でした。
1980年代から主に20代30代の人たちが社会とのつながりを自ら絶ち、ほとんどの時間を自室で過ごす-ひきこもり-現象が社会の注目を集めるようになりました。そんな中、精神科医・斎藤環氏の著書「社会的ひきこもり」が上梓され、大きな話題となり、「社会的ひきこもり」という言葉が定着したように思います。
1999年東京巣鴨で、自身もひきこもりの子どもを持つ奥山雅久氏(故人)が池田佳世氏(現名誉会長)と共に全国組織を有する唯一のひきこもり当事者家族会として、「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」を設立。その後も各県で増え続け、現在の56支部に繋がっています。
ちなみにKHJとは(Kazoku/Hikikomori/Japan)頭文字です。
静岡県在住の親たちからも奥山氏に多数の相談が寄せられ、それらの事をキッカケにして2002年5月奥山氏来静の元、静岡県に初の全国組織に繋がるひきこもり家族会「いっぷく会」が発足しました。その集会には200名もの参加者があったと聞いています。
しかし、それからが大変でした。この会をどのように運営していけば良いのか?会場手配は?講師は?すべて手探りで、静大・県立大の先生方、県内で不登校問題等に関わっている方々に講師をお願いし、アドバイスを頂きながら「会員ひとりひとりを孤立させない」を第1の課題として、ずっと学び続けています。
(副会長;中津川舜美)
(静岡市番町市民活動センター情報誌「ばんたび」2021年7月号に掲載されたものです。最近入会された方のために知っておいていただきたく掲載しました)
あんなこと・こんなこと
[皆さまからの投稿をお待ちしています]
(7月学習会の感想の中から)
・貴重なお話を伺い とても勉強になりました。橋本さんの体験をお話いただいて本当にありがとうございました。参考になりました。長い時間がかかりますが、息子を信じてこれからも頑張っていこうと思います。
・当事者目線での様々なお話や、皆さんからの質問にも的確に答えられていて素晴らしいと思いました。
落ち込んだ時のプラス発想の練習 これは親サイドも充分に役に立ちますね。頑張ってください。
・ほとんど外に出ないので(1年の内2~3回位かな)運動もしていないので食欲もあまりなく健康上の問題が出てこないか心配です。
うちの子は、一日の大半は動画を見たり、ゲームをやったりしていますが、ほかの方は何をやっているのか? 一日の生活の動きを知りたいです。(何時に起きて、何時に寝るのかなど)
・ここまで来るのは大変だったのではないかと想像いたします。お父さんのこと伺いましたが、うちの息子も反発しています。(お父さんの正当論に対して、しっかり見ていて批判して反発しています)兄とも仲が悪く困ります。今日はたくさん話して下さり大いに参考になりました。
・貴重な経験をお話していただきありがとうございました。
家族だから許せないこととかもあるのだなと思います。わが子も、親だからイライラするって時があるようです。暴力とかはありませんが、気持ちを話すこともありません。どう思っているのか?どうしてほしいのか?考えてばかりです。まだまだ時間はかかるかもしれませんが、あきらめずに頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。
・ひきこもり以外にも苦しみはある。そのことを知ると心が広がるように感じます。
就労6年した後にひきこもり7年、33歳の長男がいます。親子ゲンカが発端で、両親に対して怒っているので、挨拶しても返事がない状態です。私が声かけするのも、ひとり言を空に言ってるようです。いいですねこの言い方。声かけするのも時々むなしくなるのですが、今日の橋本さんの言葉を思い出すと元気が出そうです。
・本人の実体験をお話していただき、その時々の心の動きや感情が分かるように説明して下さいました。
本当にありがとうございました。わが子が助けを求めて色々と言ってきます。もっと本人の気持ちを理解し、肯定して良い親子関係を作っていきたいと思います。今後は本人の決めることを待ちます。
・今度 当事者のための居場所を考えているところです。静岡に居場所ができたときには仲間になってほしいです。当事者たちにお話をしてほしいです。力を貸してください。
・「嫌な人を思い出して暗い気分になるよりは、楽しくなる人との時間を大切にするように・・と自分で決めました」という言葉。何とポジティブな考え方だと感心しました。考え方ひとつでかなり違うんですね。これからもよい活動をなさいますよう祈っています。
(Gさん)
いっぷく会は、会員制で会員の会費で運営されています。会員以外の方もご参加されることは大いに歓迎していますが、その場合は参加費を一回1500円負担して頂いています。ただし初回は体験として無料で参加いただけます。そして年会費6000円(年度途中での加入は月割額)で、加入していただければその後の参加費は無料です。詳しくは事務局まで問い合わせ下さい。
事務局 電話 090-6081-0766 E-mail:ippuku-kai@outlook.jp
電話番号が変わりました。また、ファックスは利用できませんのでご了承ください。
本会の活動は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営しています。