活動内容
いっぷく会便り 2020年3月号
令和2年3月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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2020年2月9日(日)
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テーマ
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「ひきこもりから自己実現へ」~親が取り組むすべてのこと~
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講師
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SCSカウンセリング研究所 副代表 臨床心理士 桝田 智彦氏
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会場
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静岡市番町市民活動センター
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PDFファイル202003.pdf
2月例会のご報告
2月例会は、2月9日(日) 静岡市番町市民活動センターで開催しました。
◇準備会 10時~
15名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り2月号」「令和2年度グループカウンセリング募集案内」「3月個別相談会案内」などを入れて出席者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせをして、近況、先月の学習会についての感想、各種情報などについて話し合いました。あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
弁当持参ですが、どなたでも例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からでも構いませんので、是非とも楽しいゆっくりとした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時30分 参加者38家族47名(初参加4名含む)
◇連続学習会
テーマ「ひきこもりから自己実現へ」~ 親が取り組むすべてのこと ~
講師 SCSカウンセリング研究所 副代表 臨床心理士 桝田 智彦氏
今日の学習会は心理学を学び、調査研究してきた結果でお話しますが、それは「正しい方法で、正しい順番で継続して取り組めば結果は出る」という事です。SCS桝田宏子代表の21年に渡る取り組みにより体系化された「親育ち、親子本能療法」。これをベースにして学んでいきましょう。
1、心の根本的な問題 ①
・社会参加の準備不足
人生に対する希望や自らの意思を尊ぶ力、就労・就学など社会参加への目的の熱量が希薄であること、劣等感が強いまま、不安な環境下で、本心とは違った社会参加をしなくてはならないという気持ちのままの状態。⇒それでも、自分で何とかしたい。加えて親や周囲の期待に応えて頑張ってみるが、限界が来てしまう。⇒結果
「ひきこもる」
・ひきこもりとアイデンティティ アイデンティティとは何か? 二つの要素でできている。
まず「自分は自分で良い」という感覚。(自己肯定感とも言いかえられる)
そして「あなたで良い」と社会から思われているという確信(社会に認められているということ)
この二つの概念が連動し、補完しあう。 このようになる必要があるのです。
2、心の根本的な問題 ②
・「自分は自分で良い」と思えない。そして、「社会もそんな自分を受け入れないであろうという思い」
これが「アイデンティティの拡散」 多くの場合、意識・無意識両面でこの思いを抱え込む。
このアイデンティティの拡散状態がひきこもりの正体です。
3、社会的ひきこもりの特徴 ひきこもりビリーフ(ひきこもり青年に見られる特有な信念)
・「完璧な仕事をしないといけない」「不完全な自分では何もできない」
・「親の期待に応えるべきだ」「親に迷惑をかけるべきではない」
などを含む「ひきこもりビリーフに振り回される」
「ダメだし」「対人ストレス」「緊張」「不安」「心身の疲労」 ⇒ 「どうせ自分はダメなんだ」と思ってしまう。
4、ひきこもり回復とその目指すのは
・ひきこもり回復は、「親が」わが子の「心の根本的な問題」に取り組む。ひきこもり回復は、親から始まる。
・目指すのは、「自分は自分で良い」「社会からもそんなあなた(自分)で良いという確信」
=「アイデンティティの獲得」と「自己実現欲求を育むこと」
これをしないと就労してもダメになってしまう。心理学的には可能なことです。それを学習しましょう。
5、回復の必要十分条件 それは「安心してひきこもれる環境を作る」ことです。
・親の取り組みは必須 (兄弟姉妹の理解は求めるが、回復には巻き込まない)
・無条件の肯定的関心が必要不可欠
・回復には親の想像を超える事態になることを覚悟し、親は態度を一貫する。
・夫婦で共通認識・共通目標をもつ
・親・社会の「正論」「叱咤激励」は100害あって一利なし。
・(親は)必要なサポートを学んで実行する。
6、親育ち・親子本能療法(親の価値観の広がりで、子の「欲求」が不安や恐怖を追い越してゆくのです)
・無条件肯定を徹底する。
・退行を意味あるものとして受け入れていく。
・安心・安全な風土を家庭内に作る。
・退行を通して「発達課題」の5つのプロセスをやり直し、わが子の「欲求感」(want to~)を育んでいく。
・まず親が行動の伴う変化(価値観を広げ、頼れる親に成長)し、子の変化に添っていく。
・「直さず、治っていく過程」に寄り添い続け、自己実現欲求へ支えていく。
・わが子のアイデンティティの(再)獲得を目指す。
・親も成長しながら、わが子の「心を見つめ、心を支え、心を育んでいく」
7、回復のプロセス5段階 これを支える魔法の言葉「そう」(そうだね、そうか、そう思うのね など)
⓪絶望 辛いのは「親が自分を分かろうとしないこと、自分を信じてくれないこと」もっと辛いのは「自分が自分を信用できないこと」 など
①希望 絶望状態から、わが子のこころに「人生の希望の火」が灯るように、親は一貫性を持って「無条件肯定」で支える時期。おこづかいもあげる。
家庭内に安心・安全な環境を作り、風土として根付かせる(安心してひきこもらせる)
親子の「基本的信頼」を経て、人生に必要な希望を育む。
②意思 恨みつらみ、後悔、迷い不安、好き嫌い、無理難題、ああしたい・こうしたいなど…ネガティブを基本とした陰陽混在する感情を親がしっかり聴きとる。退行が生じることもある。
このプロセスがある意味で一番重要であり、親と子ども両者にとって試練の時期。
③目的 こころの中に湧き上がってくる「これをやってみたい!」という欲求に基づき、こころに響いたことへ少しづつチャレンジ・行動がはじまる。親は経済・心理両面で支える。など
回復は「3歩進んだら必ず2歩下がる」親が確実に進んだ「一歩」をしっかりと見つめ、評価する。
④有能性 実際に社会参加を開始する。自分の有能性や劣等性のバランスに直面し葛藤する。など
少し鬱(うつ)症状が出ることもある。(これは医療にお願いしよう)
⑤アイデンティティ
「自分は自分で良い」「社会や他者からもそんな自分(あなた)で良いと思われているであろうという確信」を持った人間であるという思い、即ちアイデンティティの獲得へ取り組んでいく時期。親はそれを自然に支え、祝福して行く時期。
8、まとめ
・「親の力」だけが、絶望しているわが子の心に希望の火を灯すことができます。
・そして「親の愛」が「希望・意思・目的・有能性・アイデンティティ」という発達課題を辿った時、わが子の欲求が自己実現欲求まで立ち上がります。
・この時に、わが子は「幸せを感じられる人生」を取り戻すのです。このことをどうか覚ておいて下さい。
途中、ワークとして「信頼できない人」「信頼できる人」はどんな人か?各人で書き出してみた。
さあ親としてあなたは子どもから信頼されていますか?
その後「質疑懇談」の時間で 多数の質問に答えて頂きました。
時間の都合で本日の「グループでの話し合い」は見送りました。
講師 著書 (いっぷく会でも斡旋しています。)
・「親から始まるひきこもり回復」~心理学が導く「奇跡を起こす5つのプロセス」~
青春出版 価格2000円(税別)
・「中高年がひきこもる理由」~臨床から生まれた回復へのプロセス~
ハート出版 価格990円(税別)
4月例会のお知らせ
日時 :令和2年4月12日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡市番町市民活動センター 2F 大会議室
令和2年度総会 13:15~14:00
連続学習会 14:00~16:30
テーマ:事件に学ぶひきこもり対応 ~ 経験者相談員の立場から ~
講師 :ヒューマン・スタジオ(相談員) 代表 丸山 康彦氏
※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>1家族 ワンコイン! 500円、 初参加の方、当事者の方 無料
4月の例会は年度総会の月でもあります。昨年度の活動を振り返り、新たな年度に向けて話し合いを持ちます。いっぷく会は皆様から会費をお預かりして運営させていただいております。
是非、総会にご出席いただき、いっぷく会にご支援、ご協力をお願いします。
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。
家族、当事者の方など、どなたでも参加できます。むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とは一味違った雰囲気で、気楽なお話もできます。また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
4月例会の 受付当番(輪番制)は静岡市駿河区、清水区の方です。よろしくお願いします。
「個別相談会」のお知らせ
日時:令和 2年3月27日(金) 9:30 ~ 21:00 小会議室
28日(土) 9:30 ~ 21:00 小会議室
29日(日) 9:30 ~ 18:00 小会議室
場所:静岡市番町市民活動センター 2階
(カウンセラー)「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
厚労省事業「未来の居場所づくりシンポジウム」に参加して
2月21日(金)14:00~19:00、東京・池袋で行われたKHJ本部主催の「未来の居場所づくりシンポジウム」に中村会長と中津川 で参加しました。
参加者200名、国会議員(自民党・立憲民主党・公明党)の方々の挨拶もあり、
○基調報告「当事者本人・家族が求める居場所とその効果について」境 泉洋 氏
○社協の取り組み「社協が未来の居場所づくりに果たす役割」
○行政説明「ひきこもり支援施策における居場所の重要性」
{第一部・第二部シンポジウム・居場所づくりの実践報告から}
居場所は「支援」として与えられるものではなく、そこに参加している人が自分の居場所と感じられることが大事であること。ひとりひとりが私たちが必要とする居場所をみんなで作っていきましょうという思いがシェアされました。
厚労省からもこれからの制度は各自治体が柔軟な運用をしていけること。自治体として社会資源を活かしていくことが大切との発言がありました。
本人が居場所へ行くための経済的支援(参加費・交通費の補助)の必要性も大事な問題だという指摘もあり、参加費を安くするためには(出来たら無料)会場費の問題が大きく、各行政の支援をお願いしたいと強く思いました。
親たちは「居場所」については社会へ踏み出すための一歩と捉えがちですが、当事者目線からの捉え方は全く違ったものと感じました。
そこで何かをしなければならないのではなく、そこへ行けば自分自身に不安感がなく、ここに居ていいのだと実感できる場所。それが「居場所」だということです。
このような場に参加して実際に元当事者の言葉で彼らの思いを聞くと、我々の堅い頭・刷り込まれた常識的な考え方も少しは変化することが出来るのではないかと痛感した次第です。
いっぷく会でも居場所の問題は考えていかなければならない問題です。
厚労省も居場所の重要性に言及していますので、社協や行政との連携を強めていかなければならないと思いました。(中津川)
「いっぷくサロン」 気軽にお出かけください(当番がいます)
オープン:毎週火・木曜日 午後1時~4時(但し、祝日、年末年始は除く)
場所 :静岡市葵区一番町50番地 静岡市番町市民活動センター2F KHJ静岡県いっぷく会 事務所内
《会長コラム》
新型コロナウィルスで世の中騒々しい。見えない敵を相手に不気味ではあるが、過剰反応ではとの思いもあります。2月29日畠中雅子さんの講演会も予定通り開催し、【8050問題】を先送りすべきではない、明日からでもできることに手をつけるべきであると改めて背中を押されました。思えば今までも何回も何回も背中を押されたような気がいたします。何故スタートできないのか、年のせいかな?否、明日のお米に困っていないからでしょう。しかし、明後日のお米に不安がある私には、何とも身につまされる内容でありました。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
E-mail:ippuku-kai@outlook.jp