活動内容
いっぷく会便り 2017年8月号
平成29年8月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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平成29年7月9日(日)
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テーマ
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「長期化する事例を考える」
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講師
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NPO法人教育研究所 理事長 牟田 武生氏
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会場
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静岡県男女共同参画センター「あざれあ」
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PDFファイル201708.pdf
7月例会のご報告
7月例会は、7月9日(日)静岡県男女共同参画センター「あざれあ」で開催しました。
◆準備会 10時~
14名の参加をいただきました。
まず「いっぷく会便り7月号」「島田市社協主催の講演会案内」などを入れて、参加者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせ事項について話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。
場所も例会場と同じですので、弁当持参ですが、例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。
都合のつく時間からで結構ですから、是非ともゆったりした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時40分 ; 参加者33名(内初参加5名)
◇会長挨拶・連絡事項 中村会長
社会情勢のことなどを中心に挨拶を頂きました。
そして、関係機関の講演会、9月に開催予定の「ひきこもり つながる・かんがえる 対話交流会」などについて連絡しました。
◇連続学習会 13時25分~16時40分
テーマ「長期化する事例を考える」
講師 NPO法人教育研究所 理事長 牟田 武生氏
(NPO法人全国ひきこもり家族会連合会の監事でもあります)
まず前段の話として、ここ30年位の間に社会構造が大きく変化してきています。学歴社会からキャリア重視に、非正規雇用の増加、デフレ、競争社会で、不登校、ニート、ひきこもりの増加があります。
行政も、就学(文部科学省)就労(厚生労働省)の谷間で困難を抱える人の支援に「子ども若者支援法」(内閣府)が策定され、最近では「生活困窮者自立支援法」(厚生労働省)が立法化されています。
一方、ひきこもりビジネスという産業化も出始めています。
また、新卒者の就職後の離職率が高いという現状、教育そのものにも問題点を抱えています。
そんな中で、長期化するこの問題を考えていきましょう。
(1)状況の対立
・世界観の変化
無業者・無就学の壮年者(35歳から44歳)の内、親と同居の未婚者数の推移(1980年から2008年まで)1980年、29万人 1990年、26万人 2000年、17万人 2004年、33万人 2007年、35万人 現在は50万人位と推定される。(総理府)
・幅広いひきこもり状態(思春期~後期青年期問題としてのひきこもり)
①発達障害の特性 ⇒ 思春期、青年期(就学時)になって顕在化
②家族全体の貧困・孤立 ⇒ ネグレクト、脱落型不登校
③中年期以降の不安定職、失業 ⇒ 未婚の子と高齢親の同居など(家族共倒れ危機)
④高齢化 ⇒ 要介護の親と子の同居(介護離職などによる困難の累積)
施策問題 学校教育・障害福祉サービス・子育て支援、子ども家庭福祉・就労支援・セーフティーネット確保・高齢者支援・若年者支援
・起こっている問題 (家族と社会と本人)
①家族と社会の壁
家族が相談に踏み出すことができない、支援を受け入れることができない、家族全体の貧困や孤立。
(例)親;多忙などによる相談に乗り出す時期の遅れ
状況を変えることへの不安、抵抗感
支援機関、窓口の対応への失望
②本人と家族の壁
家族内部のコミュニケーション困難、本人の支援のための環境が整わない。
(例)親;子育てへの罪責感、本人の暴力などに由来する家族の萎縮
高齢などで、本人のきめ細かい理解が困難
③本人と社会の壁
本人の特性、本人に合う支援が行われていない、本人とマッチする社会資源が存在しない。
(例)支援者;支援機関、窓口の「ひきこもり」理解の不足
相談からサービス提供に結び付ける支援の不足
本人; 障害・疾患にも関連する社会との多種多様なミスマッチ
(参考)厚生労働省 平成28年度 生活困窮者就労準備支援事業費等補助金 社会福祉推進事業
「長期高齢化したひきこもり者とその家族への効果的な支援及び長期高齢化に至るプロセス調査・研究事業」より
(2)ひきこもりの長期化と高年齢化・当事者の声 ひきこもり大学から見えてきたもの
ひきこもりの人の支援を含む生活困窮者自立支援法によって、全国各地の福祉事務所に相談窓口が設置され、生活困窮者就労訓練事業もスタートした。
行政の体制、組織も整備されつつあるが、それぞれの担当者に意見を聞くと、予想していたとおり、ひきこもり本人の相談者が少なく、芳しくない。そうだろう、ひきこもりなんだから、外に出れない、人に会えないから「ひきこもり」なのだ。
そこで、日本財団の助成で行われた、KHJ全国ひきこもり家族会連合会が行った「ひきこもり大学」全国キャラバン、当事者たちの声(元当事者も含む)報告書を精読してみた。
心理的、精神的、経済的に様々な悩みや困難を抱え、孤立し現実逃避せざるを得ず、親と自分自身、歳を重ね、問題は潜在化していく姿が読み取れる。
たとえ、勇気を振りしぼり相談や受診しても、心情を理解してもらえず、「働かざる者喰うべからず」の論調が強い社会である。
その後、いくつかの質問に対して、丁寧に説明をいただきました。ありがとうございました。
◇「牟田武生ブログ」に、関連する記述がありますのでご覧ください。
◇主な関係著書 「ひきこもり、不登校の処方箋」 2001年 オクムラ書店
「子どもが不登校になったとき~心の扉を開くヒントと対応~」
「ニートとひきこもりへの対応」 2005年 教育出版 その他多数あり。
9月例会のお知らせ
日時 :平成29年 9月10日(日) 13:30 ~ 16:30
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」 5F 501会議室
9月は連続学習会ではありません。KHJ本部主催の企画に参加をいたします。
「ひきこもり つながる・かんがえる 対話交流会」(通称;つなかん)
詳しくは、別紙のチラシにてお知らせしておりますが、当事者、経験者、家族、支援者
関心のある一般の方など、広く呼びかけて行います。
会員の参加費は、会で負担しますので無料です。ご夫婦で出かけて下さい。
参加の可否については、準備の都合上8月の例会で伺いますが、当日直接でも構いません。
多くの方の参加をお待ちしています。
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています。会報の発送作業や家族同士の歓談などを行っています。家族、当事者のかたなど、どなたでも参加できます。
むしろ、来ていただく方が多いほうが準備の都合上助かります。例会時とはひと味ちがった雰囲気で、気楽なお話もできます。
また、居場所として活用するのもひとつの方法です。是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
下半期の例会と連続学習会について
本年度活動計画で、総会時点で未定となっておりました特に下半期の計画が、下記の通りまとまりましたので、ご案内します。是非、多数の方の参加をお願いします。
月 |
日 |
学習会テーマ |
講 師 |
会 場 |
---|---|---|---|---|
10 |
8 |
被害妄想・強迫神経症は必ず伴う |
桝田智彦先生 |
あざれあ |
11 |
12 |
ひきこもりを多角的に捉えてみる |
菊池 恒先生 |
あざれあ |
12 |
10 |
会員交流会 |
|
番町活動センター |
1 |
14 |
「働かねば」と「働きたい」は別物 |
三宅正之先生 |
番町活動センター |
2 |
11 |
親の取組み・子の反応 |
藤江幹子先生 |
あざれあ |
3 |
11 |
「反抗・吐き出し・退行」の対応 |
桝田宏子先生 |
番町活動センター |
◇講師、桝田・三宅・藤江先生は、「SCSカウンセリング研究所」です
菊池先生は、「人間関係と心の相談舎」です
◇公開講演会は、年明け位に開催するように講師を検討中です。
ひきこもり関係講演会のお知らせ
◆静岡県ひきこもり支援センター主催
ご家族が出来る対応のコツ 学んでみませんか?
テーマ「CRAFTに基づくひきこもりの家族支援」
中部地区 日時 平成29年9月4日(月)午後1時30分~4時
場所 藤枝総合庁舎別館2F大会議室
東部地区 日時 平成29年9月5日(火)午前10時~12時30分
場所 三島市民文化会館3F大会議室
講師 徳島大学大学院社会総合科学域 准教授 境 泉洋氏
参加料は無料です。但し、事前の申し込みが必要です。
不登校やニート、ひきこもり等の悩みに個別に応じる「合同相談会」 のお知らせ
◆静岡県教育委員会主催の「合同相談会」です。
「参加料無料」 「事前申込不要」 「入退場自由」です。
各種相談機関、支援機関などがブースを設置して、個別相談に応じます。
ご本人、保護者の方、どなたでもお気軽に参加下さい。
★8月19日(土)午後0時30分~3時30分
場所 静岡市教育センター
★8月26日(土)午後0時30分~3時30分
場所 三島市民生涯学習センター
★9月16日(土)午前10時~午後3時30分
場所 富士市教育プラザ
★10月21日(土)午後0時30分~3時30分
場所 静岡県総合教育センター(掛川市)
「いっぷく会」もブースを出しますので、ご利用下さい。
《会長コラム》
政権が揺れています、もはや末期症状でしょう。それにしても次から次へとよくもまあお粗末なお大臣様が続くものです。私が心配するのは、彼等彼女らの言動が巻き起こす喧騒が、どのように子供たちの目に映り耳に響き、そして脳に残っていくかの点です。普段道徳教育云々でご高説を述べている方々が、最も反道徳的な姿を晒しているわけです。情報の洪水の中で漂っている子供たち(孫が多いかも)とささやかでも対話を試みるのも良いチャンスかもしれません。真夏の夜の夢となるやもしれませんが。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。