活動内容
いっぷく会便り 2018年5月号
平成30年5月1日 発行
NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 静岡県「いっぷく会」
会長 中村 彰男
日時
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平成30年4月8日(日)
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テーマ
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「長期高齢化の課題 ~本人への対応&家族の支援~」
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講師
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NPO法人オレンジの会 理事 (社会福祉士) 鈴木 美登里氏
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会場
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静岡市番町市民活動センター
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PDFファイル201805.pdf
「平成30年度いっぷく会総会」が開催されました
4月の例会の冒頭で「平成30年度総会」が開催されました。
総会では、まず「平成29年度の活動報告、決算報告・監査報告」が行われ、続いて規約の改正を提案(一般社団法人とすることでの名称変更、専用の事務所の設置で所在地変更)
次に、「平成30年度の活動計画案、予算案」が審議され、すべて原案が承認されました。
新年度も毎月の「連続学習会」を中心として、ひきこもりの知識と対応を学び、相談活動の充実や交流会、講演会なども織り込んで、皆さんに役立つ「家族会」としていきたいというものです。
◆例会と連続学習会(毎月第2日曜日です)
月 |
日 |
学習会テーマ |
講 師 |
会 場 |
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4 |
8 |
長期高齢化の課題 ~本人への対応&家族の支援~ |
オレンジの会理事 鈴木 美登里氏 |
番町センター |
5 |
13 |
ひきこもるこころを理解する ~当事者の声から~ |
ひきこもりUX会議 代表理事 林 恭子氏 |
あざれあ |
6 |
10 |
家族のコミュニケーション状態の確認 |
人間関係と心の相談舎代表 菊池 恒氏 |
あざれあ |
7 |
8 |
ひきこもり・不登校には親の取り組みが必須!! |
SCS 代表理事 桝田 宏子氏 |
番町センター |
8 |
12 |
(仮)不登校・ひきこもりへの対応 |
静大大学院 准教授 伊田 勝憲先生 |
番町センター |
9 |
9 |
~親が取り組むから出てくる~「子の欲求反応」 |
SCS カウンセラー 藤江 幹子氏 |
あざれあ |
10 |
14 |
アイデンティティーの大切さとそれを育むすべての事 |
SCS カウンセラー 臨床心理士 桝田 智彦氏 |
未定 |
11 |
11 |
親が失敗しやすい状況とパターン |
人間関係と心の相談舎代表 菊池 恒氏 |
未定 |
12 |
9 |
会員交流会 |
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未定 |
1 |
13 |
親をベースに……気が済むまで |
SCS カウンセラー 三宅 正之氏 |
未定 |
2 |
10 |
恢復に被害妄想・強迫神経症は伴う |
SCS カウンセラー 高橋 晋氏 |
未定 |
3 |
10 |
親としての実感 |
SCS 代表理事 桝田 宏子氏 |
未定 |
「SCS」は、「一般社団法人SCSカウンセリング研究所」の略です
<タイムスケジュール>
10:00~12:00 準備会
13:00~13:15 例会受付
13:15~13:30 例会開会挨拶、連絡事項など
13:30~16:30 連続学習会(休憩、質疑応答、全体懇談を含む)
尚、例会の参加費は、共同募金の助成金が決定しましたので、会員皆さんの負担軽減のため平成30年度中は、「一家族500円」とさせていただくようになりました。
又、役員中心に運営しておりますが、会の運営には色々な準備やら役割があります。役員も当事者を抱えた同じ立場ですので「これ位なら手伝える」など、多くの方のご協力をお願いします。
平成29年度版 学習会記録集を作りました
いっぷく会は、親の学習会を中心に活動しています。
毎月の「いっぷく会便り」でその内容の報告をしておりますが、昨年度に続き「平成29年度連続学習会記録集」を作成しました。
印刷費もかかっておりますので、一部200円のご負担をお願いします。
希望者は、例会にご出席の折にお買い求めください。尚、郵送希望の方は事務局まで申し込み下さい。
4月例会のご報告
4月例会は、4月8日(日) 静岡市番町市民活動センターで開催しました。
◆準備会 10時~
15名の参加をいただきました。まず「いっぷく会便り4月号」「総会資料」「5月個別相談会案内」「加入のお誘い」「会費払込書」「本部のひきこもり長期高齢化に対する声明書」を入れて、参加者への配布、欠席者・関係機関への郵送作業を行いました。そしていくつかの報告事項、打ち合わせ事項について話し合い、あとは昼食をとりながら楽しい歓談の時間を過ごしました。弁当持参ですが、例会に少し早めに出かける感じで参加してみて下さい。都合のつく時間からで構いませんので、是非ともゆっくりした時間を共有しましょう。
◆例会 13時15分~16時40分 参加者38名
◇挨拶と連絡事項(略)
◇平成30年度総会(前頁報告の通り)
◇KHJ高知県親の会「やいろ鳥」の会 訪問して(次号で報告予定)
◇連続学習会
テーマ「 長期高齢化の課題 ~本人への対応&家族の支援~ 」
講師 NPO法人オレンジの会 理事 (社会福祉士)鈴木 美登里 氏
(オレンジの会は、KHJ全国家族会所属、名古屋で、ひきこもり、障害、生活に不安を抱える方々に対して自立するための各種支援を行っている団体です)
・講師は、自身が「不登校、ひきこもり」で生きづらさを経験した。家庭環境(親との関係、経済問題など)についても色々なことを体験した。そして50代半ばで社会福祉士の資格を取得して支援活動しています。
このことから、親子の葛藤の処でKHJではよく「親が変われば子が変わる」「親が受容しなさい」と言われますけど、私は今までの講師とは真逆のことを言いますので、「そう言う意見もあったのか」と言うように聞いて下さい。私は基本的に、親が特に全面受容しなくても良いと思っています。
・それは、家族の関係の中に受容をもってきますと葛藤が生まれますので、そのような関係にしてきませんでした。それぞれの役割を果たして「自立」する。特に成年すぎた子は、自立させなければならないと思っています。
Ⅰ、親の自立と子どもの自立
①子の自立をどうとらえるか
ひきこもって、生活機能が低下し買物や外出、電話応対などができない。働くことができない。
「精神的自立」「身辺の自立」「経済的自立」「社会的自立」
役割として親をし続ける中に葛藤(ストレス)があるわけです。皆さんも人間関係はどこでもあるわけで夫婦でも、親子でも、兄弟でも、ある立ち位置に立って平たい関係「もうこれで家族解散」といって、解散のあとは葛藤が生まれないのでしょうが、解散しない限り運命共同体としての家族の葛藤はあるわけです。
ひきこもっていることにおいて大切なことは、親子の葛藤があるとどんどん家からでなくなります。
家から出ないと解決は半分位難しいです。高齢化の中で、親の介護、死亡などがありますと経済的にも、実生活においても「自立」を求められます。また本人の自立度が上がれば家族との関係は良くなります。
嫌なことも乗り越えてゆく力、それが自立です。親自身も自立していないと子どもの自立はないです。
子がやらないのは、親がさせないからです。そのために親が変わるということは必要です。
②親の自立をどうとらえるか
「精神的自立」「親を卒業する」「親であることによる子への抑圧」 親だと思う意識そのものが抑圧です。もう放っておいて欲しいというのが子どもの気持ち。
「高齢になっていく親自身の自立とは」 高齢になってゆく親自身の自立ですね。
介護とか、認知とか様々な問題が発生してきた時に、子どもに世話にならずできることが必要です。
施設に入居は費用もかかります。また父親が亡くなったりすると年金が減り、経済的にも大変です。
子どもが同居することで介護、ヘルパーさんの関係など難しい問題も出てきます。
③親でなく子でもなく共に生きる家族
「親を卒業する」「親と子でいることによる制約」 逆に親子でいることが制約になります。
子どもが未成年でしたらまだ親をやって下さい。成年したら親でなくていいです。卒業して下さい。
そして横並びの関係になるのです。
別に自立しなくても良いですが、正直な話食べていけないですね。OSD(親が死んだらどうする)という組織を作りましたが、本当は「親が死ぬ前に何とかしないといけない」ということです。
7040問題、8050問題とか言われていますが、親が死んだら経済的にどうするか? 残るのは土地・家屋の資産が中心で、お金はどんどん減ってゆく、資産があると生活保護が受けられないなどの問題もあります。
兄弟姉妹の関係もあります。生活してゆくには保証人なども必要な場面があります。関係性は必要ですが経済的には協力は難しいですね。だから「自立」できるようにしてゆく必要があるのです。
④理解と交流は必要か
「理解することはできるのか」理解できないと思います。ジェネレーションギャップがあるのです。
それぞれの生まれ育った時代が違うし環境が大きく違います。理解は夫婦でも兄弟でも難しいです。
「理解すれば何かが変わるのか」私はあなたを信頼しているし、共に生きてゆくという立ち位置が大事で、わかり合えるとかは理解したからではなく、成長したからなんです。それで関係性が変わって過去の大きな誤解が歩み寄れる立ち位置になったのですね。
「互いの理解は解決を生むのか」互いの成長と歩み寄りに関係性が変わる。しかし、それが解決を生むものではありません。
「交流を拒否する意味」交流を子どもが親に対して拒否していたら、それでいいのだと思って下さい。
かたくなでいいんです。20代は友達欲しい。30代は自分の立ち位置、役割、社会参加などを求めてきます。40代はどうやって生きてゆくか。親は子どものために家にいる。それは邪魔です。自分の安心した老後を支えるためにもいつまでも働き続けて下さい。
⑤親が変われば子が変わるという神話
「親と子という関係性そのもの(日本的な家族システム)が問題という見方」
私は、日本的な家族システムがひきこもりの問題を作っていると思います。外国では成人したら自立する、あとは社会の問題として社会で抱えるのですが、日本では家族が抱える問題としてきています。
今迄は経済的にも何とか家族で抱えてこれたが、長期化・高年齢化(親も子も)で、家にひきこもれなくなると思っています。社会の問題として多様性を受け入れられる社会を作ってゆく必要があると感じています。
⑥まとめ
今まで皆さんが聞いてきた支援は「本人が困らないように家族が支えてあげて下さい」という支援です。でもそうすると長期化するのです。本人がやるべきことをやってもらって自立のための負担をかけてゆく、本人が問題を感じて「働かないといけない?」と感じる。支援を受けようかな…という動機になるのです。
とかく家族が支援を受けることに消極的で「無理です」と家族が支援を拒否してしまうことが多いです。どうか親が生活を変えることを恐れないでください。
Ⅱ、平成29年度厚生労働省社会福祉推進事業調査から見えてくる長期高年齢の問題
別紙 「家族会と生活困窮者相談窓口にみるひきこもり事例の高年齢化」にありますが、家族会の調査では、当事者の年齢は30代41.2%、40代が24.1%と2つの年代で3分の2にのぼっています。
親も高齢化して、片親死亡、両親死亡なども出てきています。
基本的には当事者の「自立」を目指して支援してゆく一方で、国の課題として取り組むべき問題として取り上げられるように活動してゆくのもKHJの大きな役割になってきています。 以上(文責中谷)
「個別相談会」のお知らせ
日時:平成30年 6月2日(土) 9:30 ~ 21:00 小会議室
3日(日) 9:30 ~ 12:00 中会議室
13:00 ~ 18:00 大会議室
4日(月) 9:30 ~ 12:00 小会議室
場所:静岡市番町市民活動センター 2階
(カウンセラー)「人間関係と心の相談舎」代表 菊池 恒 先生
相談時間 1家族=50分 80分 110分の各コース(会員限定・有料)
お申込み・お問い合わせは TEL・FAX 054-245-0766(中津川)まで
6月例会のお知らせ
日時 :平成30年6月10日(日) 13:15 ~ 16:30 (受付 13:00~)
会場 :静岡県男女共同参画センター「あざれあ」5F 502会議室
<連続学習会テーマ> 『 家族のコミュニケーション状態の確認 』
(講師)人間関係と心の相談舎 代表 菊池 恒 氏
※事前の参加申し込みは必要ありません、当日会場へお越し下さい。
<参加費>今年度も赤い羽根共同募金からの助成金交付が決定しましたので
1家族 ワンコイン! 500円
初参加の方 体験日として 無料
当事者の方 無料
尚、当日10時より準備会を同場所で行っています、是非、皆さんのご参加をお待ちしています。
《会長コラム》
長年の懸案でありました事務所の件は、番町市民活動センターの事務ブースが借りられることに決まりました。6月1日からのスタートにしたいと思います。今までは個人宅(中津川さん)でしたので、会員の方が集まれるのは月1回の学習会の日に限られていました。これからは週に何日か曜日と時間を決めて、誰でも気軽に立ち寄れるサロン風の場所にしたいと考えております。
今月中に簡単な運用ルールを作成します。
もう一つ法人化の件も一般社団法人の方向で進めており、来月には実現したいと思います。
初めてご参加の方、初回は体験として無料です。その後よろしければいつでも入会手続きができます。年会費は6000円で、出席した時には参加費のご負担をお願いします。
その他、いっぷく会へのお問い合わせは事務局までお願いします。
事務局 電話・FAX 054-245-0766 担当 中津川
連続学習会は「赤い羽根共同募金」の助成を受けて運営されています。